ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

何を世界の脅威と感じるか?

2015-08-31 08:25:18 | 社会

英国Economist誌の記事であるが「何を世界の脅威と感じるか?」というアンケート結果が出ていたので紹介する。お国柄が出ていると思う。

上のグラフがその結果であるが、新興国は気候変動と経済問題、先進国はISに対する意識が強いことが伺える。経済問題が入っていないのは日本、アメリカ、イギリスで比較的経済が順調であることを示していると言って良いだろう。アメリカとイギリスがイランを脅威と感じているのはイスラエルとの戦争心配しているのだろう。イギリスはロシアも同程度に心配としている。日本だけ、色が変わっているので目立つのだが、中国を強い脅威と感じている。

新興国は全体として政治よりも経済の問題意識が強いことが伺える。「政治問題はいつでもあるものだ」という意識が強いのかもしれない。中国が全体的の問題意識が少ないのは世界に目が向いていないのではないかと思う。中国は経済不況と言われているが全体としては満足感が高いのかもしれない。ロシアでは欧米に対する経済制裁の反発キャンペーンを行っていると思うが、国民には脅威とは映っていないらしい。

日本人が中国に脅威を感じているのは政治問題だと思うが、案外経済問題のほうが問題が大きいかもしれない。日本でISを脅威と感じているのは漠然とした脅威だと思うが、欧米では国内でテロが起こる危険がかなりあり、実際的な脅威を感じているようである。

話はそれるがEconomist誌の購読期限が来て契約更新のレターが来た。私は3年前に3年間の契約をして、その時は6万5千円くらいだったのが、今度は3年間で10万円になっている。円安の影響だと思うがずいぶん上がった感じがする。継続割引なども何もないので、継続購読を行わずにいったん期限が切れて、しばらくしてまた読みたくなるかどうかを自分で確認したいと思う。多分また購読することになると思うが・・


中国経済の実態はどうなのだろう?

2015-08-30 14:29:52 | 経済

最近、中国政府が「元」の切り下げを行い、それに伴って世界の株価が大きく下がった。一応下げ止まって回復に向かっているが先行きは見通しずらくなってきている。このブログにも何度か書いたのだが、中国景気は減速している、という話は昨年からあった。それでも政府が言う7%成長はできるというのが大方の見方だった。少なくとも今年の初めには大部分のエコノミストが7%程度はいけるだろうと言っていた。私自身今年初めに調べた時には「本当に7%も成長ができるのだろうか?」と疑問に思いながらも「自分は経済の専門家ではない。大部分の専門家が【できる】といっているのだからできるのだろう」、と思っていたし、ブログにもそう書いた。

それがここへきて専門家の意見として7%などとても無理で5%ではないか、いやもっと低いなどという声も出てきた。「7%成長はできる」と言っていたエセ専門家が意見を変えたのか、その時は黙っていた人が意見を言い始めたのかは分からない。専門家の意見というのもあてにならないものだと思った。

私の反省として納得していないのに、「専門家が言っているのだから信じよう」という態度は止めようと思う。ネット時代には多くの情報が流れる。しかし、大部分は他の人の意見をそのまま転送しているか、多少脚色しているだけである。本質的な意見は案外少ないものである。私自身、このブログの意見は自分で考えて書いているつもりでいるが、元ネタは新聞やネットであり、それらを結び付けて自分の意見を作っている。元ネタが間違っていれば自分の意見も間違えることは避けようもないのだが、もし元ネタが間違っていればどこかにしっくりこない感じが残るはずである。ひとつの意見だけを参考にする場合には、反対することはあっても同じような意見を書くことはしていないので、ある程度問題は避けされるはずである。

本当のところ、中国経済はどうなのだろう。実態が5%ならかなり大きな社会問題になる感じがして、今の状況から見て今度は5%は低すぎる感じがする。上海株は一時的にせよ年初来安値を付けたので、株バブルの収束はできたと思っている。それでも昨年の5月頃からみれば4-5割高くなっている。勘ぐりすぎかもしれないが世界同時株安は中国政府が演出した面もあるのではないかと思っている。上海株を取引停止にしても再開すればまた売り圧力が高まる。それを政府が一手に買い支えることはできない。しかし、世界同時株安なら、目立たずに株価が下げられる。実際、この世界株安のおかげで上海株は適当なレベルまで下がってきた。ここで通常の金融政策を取れば、急激な株安は抑えられるだろう。実際株安は止まったし中国を含めた世界経済も落ち着きを取り戻している。

以上は根拠もない私の推測に過ぎない。エコノミストはこの先どうなるか見通せないと言っているが、私自身はこれで世界株安は収まって通常常態に戻ると思っている。


世界陸上、ゲンゼベ・ディババに魅かれた

2015-08-26 07:38:45 | 生活

陸上競技の世界選手権が北京で行われており、テレビで見ているがなかなか面白い。次々と色々な競技でトップアスリートの技が見られて、引き込まれる。その中でも私が魅力的に感じているのが女子1500mで優勝したゲンゼベ・ディババである。この人を見るのは今回が初めてだが、予選を見た時に「魅力的だな」と感じた。昨夜の決勝で彼女がテレビに映し出されると、走り始める前から眼が離せなくなった。

レースは非常にゆっくりと始まり、彼女は1周目は後ろから2番目くらいだった。しかし中盤からするすると前に出てきて、まだ1周半くらい残っているあたりからロングスパートをかけてトップに出た。その後、トップを維持し、最後の半周くらいでまたギアを上げて差を広げたような感じだった。最初が遅かったので記録的にはどうということは無かったが、駆け引きを含めて見事な走りだった。

ディババを見ていた自分の気持ちを分析すると、アスリートとしての魅力だけでなく女性としての魅力も感じていたように思う。予選を見た時には、何となく「きれいな走り方をする人だ」という程度の印象だったのだが、決勝が放送され始めるとレースが始まる前のスタートラインの向かうあたりから彼女から目が離せなくなった。自分の意識の中に彼女が残っていたのだろうと思う。特にレース前の何かを考えている表情が気に入った。走っている最中では、バックストレートを走っているときの走るフォームが何とも言えず美しいと感じた。彼女は5000mにも出るそうなので、また見たいと思う。

私はアイドルなどに対してもあまりファンになるというような気持ちも持つことは無いのだが、彼女に対してはファンになったような気分である。


エネファーム導入

2015-08-24 20:58:36 | 生活

我が家にエネファームを導入した。エネファームというのはテレビの宣伝で名前は知っていたがどういうモノなのか私は理解していなかった。先日、東京ガスの人が来て、我が家の床暖房に大幅メンテの時期が来ているので「この際エネファームにしませんか?」と勧められた。話を聞いてみるとエネファームの原理は燃料電池だそうである。車を走らせるような大出力の燃料電池ではなく、約500W をコンスタントに発電する仕組みだそうである。

ガスを燃やしてお湯を沸かすよりは燃料電池で発電しそれでお湯を沸かすほうがはるかに燃料効率は良い。ただし、パワーは無いので一日中少しずつお湯を沸かしてそれを大型の断熱タンクに貯めておく。床暖房やお風呂にはこのお湯(約60度らしい)を適度に水で薄めて使う。家の外にエアコンの室外機のような感じで発電機とタンクを設置する。タンクが満たされているときは電気として500W まで使える。ガス代は変わらないが電気代がかなり安くなるそうである。装置導入にかなりお金がかかるが省エネになるので国から補助金が出るとのことである。停電になっても500W までは電気を使える。化学反応を使うので触媒の交換が4年に1回必要だが10年間までは無料で交換してくれるそうである。

今日家に帰ってみるとエネファームの取り付け工事が終わっていた。風呂に入って、設定温度を上げて温度調整をやってみたがガスを燃やすことなく熱いお湯が出てきた。燃料電池というと自動車ばかりを想像していたが、自宅で使うようになるとは思ってもみなかった。機器はパナソニックが、少なくとも東京ガスとは独占契約をしているらしい。なかなかしっかりしたビジネスをやっているなと思った。

今月、来月と電気代とガス代ががどうなるか、楽しみである。


NECの良いニュース

2015-08-22 14:13:39 | 経済

木曜日だったと思うが、久々に私が過去に勤めていたNECに関するニュースで「良いな」と思うものがあった。

 NEC、人工知能で防犯 日立は業務助言に応用

である。良いと思ったのは「年間530万円から利用できる」というように売り切りではなくサービス事業を目指している点である。日本のコンピュータベンダは90年代まではコンピュータシステムのハードウェアを売るビジネスを中心としていたのだが、90年代後半あたりからソルーション事業、つまり顧客企業のコンピュータシステムとして使いやすいシステムを構築することを主な事業にしている。最近はクラウドとか言ってネットワーク化したシステムを構築しているが、出来上がったら顧客に引き渡すのではこれまでの変わらないと私は思っている。

これからベンダにとって重要なのは顧客の仕様書をもらってそれに合わせてシステムを作るのではなく、自らでサービスソフトを作って利用料を取って利益を上げるビジネスモデルが重要だと思っている。NECはこれに踏み出したということだろう。

こういったシステムは、顧客に引き渡さないので内部構造は分かりにくく、企業の技術力が試される。いわゆるビッグデータ分析になり、経験を積むほど賢くなってくる。人工知能としてはIBMのワトソンが有名だが、NECは監視カメラの分析では強いらしく、この分野で世界の市場を集めて強固なビジネス基盤を作ってほしいと思う。

このような分野は最初にある程度顧客を集めて、分析サービスを提供し良い評判をとると、どんどんデータが集まり好循環に入る。そうなると後発は苦しくなってくる。目先の利益にとらわれず、技術開発、マーケティング、営業に思い切って投資して世界トップに地位を確立してほしいものだと思う。


中国人のネットリテラシー

2015-08-21 14:31:50 | 社会

今、世界的株安になっている。どうも原因は中国にあるらしい。

最近、中国が元の切り下げを行った。中国の景気が停滞しているというのは以前から言われていたが、突如中国政府が元を切り下げたことで「中国の景気はそんなに悪いのか」という思惑が広がっていた。私は元の切り下げは上海株のバブルがはじけた後始末の一環だったと思っていた。上海株はピークから3割くらい下がったところで政府が介入して下げを止めた。しかし、1年前からは2倍になっていたのでまだ2割くらいは下がるはずで、政府が一方的に買い支えるわけにもいかないので、元を切り下げたのだと思っていてそれほど大きな問題ではないと思っていたのだが、違っていたのかもしれない。

中国経済が景気に影響しているので一言入れたが、今日の主題は、中国のインターネット利用である。今年の情報通信白書によると、中国のスマートフォンの普及人数が9億人になっており、日本よりはるかに普及率が高い。通常スマートフォンは先進国で普及しており、新興国ではまだフィーチャーフォンが多い。実際人口が同程度あるインドではまだ1.5億程度である。中国の地方ではまだ3GやLTEは始まっておらずGSMだと思うのだが、それでもスマートフォンを使いたいのというのは何か理由があると思う。私が中国人はテレビのニュースを信用できないのでインターネットを見たいのではないかと思っていた。最近、日経電子版の「データ・ディスカバリー」によると、スマートフォンを何に使っているかという質問で中国が最も比率が高い。「やはり」という気がする。

中国ではネットも規制されているが、ネットの規制は放送の規制よりもはるかに難しく、中国の人はネットとテレビを合わせて情報を入手しているのだろうと想像している。テレビの信頼性が低い分、かえって中国人は複数のソースから情報を入手して客観的にものを見られるのではないかと想像している。中国はE-commerceの利用率も日本よりはるかに高い。中国のアリババの取扱量はアマゾンよりはるかに多く、ネット販売が利用されている。アリババのセキュリティのシステムはよく知らないが、中国では偽物が多く、取引も現金と引き換えでないと危ないといわれているが、そういった危なさがネットの普及を高めているのではないかと思う。一人一人が必要に迫られてネットを利用するので中国人のネットリテラシーは、セキュリティ対応も含めて日本人より高くなる、あるいはすでに高いのではないかと思う。

インターネットがこれからあらゆるところで使われるようになる現代においてこの影響は大きいという気がする。

 


安倍総理の戦後70年談話について感じた事

2015-08-16 12:41:55 | 社会

安倍総理が戦後70年談話を出して、色々な人が色々なことを言っているが、私の感じ方は少し違うと思うので書いておきたい。基本的には70年談話には感心した。

このようなものについて感想を述べるときに私はまず「自分だったらどうするか」を考える。世界が注目する、ものすごいプレッシャーの元で自分には到底あのレベルの物は書けないだろう、というのが素直な印象で、感心した。当然ゴーストライターがいるのだろうが、その前の検討委員会の案に対してかなり加えたというから、自分の考えがかなり入っているのだろう。発表はニュースで見ただけだが、自分の言葉で語っている感じがした。忙しい総理にあれだけのことができたのはたいしたものだと思う。

総理の意思で追加したのは最初の部分の明治維新から第1次大戦を経て第2次大戦に至る歴史認識の部分らしい。ここで、日本は針路を誤ったとしているのだが、その前にさりげなく「欧米も植民地政策をやっていたではないか」ということを入れている。そして間違えたのは事実だが歴史の展開である程度仕方がなかったのではないか、ということを反省をしながら匂わせている。うまいものだと思う。

それではあの談話で良いかというとそうでもない。談話は歴史の1ページに残るものになるのだろうが、問題は反省を踏まえて二度と戦争をしないように進めているかどうかである。安倍総理は世界恐慌に伴う経済のブロック化で行き詰った日本は戦争へと走ってしまったと言っている。ではどうすれば良かったのかは不明である。現在、ある意味で経済のブロック化が起こっている。今一番危ないと思うのはロシアに対する経済制裁である。これはロシアを追い込んでいる。安倍政権はどうしているかというと、経済制裁を推進する側に加担している。つまり勝ち組となるアメリカにつこうという考えに見える。

本来は経済のブロック化自体を起こさないようにするべきではないだろうか。アメリカ側についていればアメリカが世界最強国であるうちは良いが弱くなって来ればかつてのドイツとの同盟のようになってくるのではないだろうかと思う。戦前の経済のブロック化で追い込まれて言った状況に対して日本はどう対応するべきだったかというと、もっと辛抱するべきだったのだろう。実際の国力が十分に備わっていないうちに列強の仲間入りをしようとしたことが日韓併合や中国進出ということになったのだろうと思う。今の中国政府はそのあたりをきちんと学習していて、時々強気に出て問題を起こしながらも突っ走ることはせずに抑制する。基本的にはこのパタンを繰り返し、国力がつくにつれて次第に強気の部分を強くする、という波状戦略を取っているように見える。

安倍総理の方針は戦争をしないという方針と、アメリカとの同盟という方針の2本立てである。この2本は大部分は一致しているが完全に一致はしていない。二つが矛盾するような状態になった場合にどちらを優先するのかを考えておき必要があると思う。今の安倍総理はアメリカとの同盟を優先するように見えるが、私は不戦を優先し、ISとの戦いのような部分戦については国連を優先させるべきだろうと思っている。


今年の情報通信白書

2015-08-13 09:14:51 | 社会

平成27年版の情報通信白書が発行された。私はここ数年間、情報通信白書が発行されると結構詳しく読み込んでいるのだが、今年の白書には「覇気がない」と感じた。様々な統計データが含まれており、動向を知る上での価値は高いのだが、シナリオは感じられない。

ここ数年間は、日本の情報通信産業の世界の中での競争力の低下を指摘し、技術動向を分析して「現在政府が行っている政策で何とか挽回できないものかと」考えているという印象があった。具体的な対応策には賛成できないものが多かったが、これは政策は白書の著者が決めたものではなく、他で決められたものであるので、ある程度仕方がないと思う。少なくとも問題意識には共感できた。

今年の白書ではその問題意識が消えてしまった感じがしている。今年の白書は受け身で、周りの動きに合わせて「我々はこうやって対応している」というトーンが強くなった感じがしている。おそらく人事異動で白書取りまとめ部門の「総務省 情報通信国際戦略局 情報通信政策課 情報通信経済室」の主要メンバーが変わったのだろうと想像している。組織の中のどのレイヤの影響が大きいのかは分からないし、白書が発行されるまでには色々と外部から圧力もかかるようだから、どこのレイヤが大きく影響しているのかは分からないが、全体のトーンは情報通信経済室のメンバーが決めているのだろうと思う。

今年の白書のトーンは今政府で話題になっている、そして総務省の自治省系のグループで大きな話題になっている地方創生に対してICT技術が使えるということを強調しているのが特徴である。だが、それすら具体的な踏み込みは甘いと思う。今年の白書に元気がないのが総務省全体の雰囲気なのか、単に情報通信経済室の中だけのことなのかは分からないが、情報通信を国としてどう扱うかは今や一部の業界の話ではなく国全体の将来にかかわることなので覇気を持って取り組んでほしいと思う。現在の日本の情報通信政策は海外からの流れをどう受け取るかという受け身の政策が大部分だと感じている。

最近のニュースで情報通信系のバックグラウンドを持つ桜井氏が総務省の事務次官になったことが大きく報じられた。これで総務省の情報通信政策の動きが積極策に転じていくかどうか、見ていきたいと思う。


戦争体験の何を記憶すべきか

2015-08-11 11:33:38 | 社会

毎年8月には、原爆記念日や終戦の日があって、太平洋戦争の報道が多くなる。特に今年は戦後70年で安倍総理の「70年談話」が出るとあって、盛り上がっている気がする。テレビなどの報道番組はほとんど例外なく「戦争体験を語り継がないといけない」と言っている。しかし、私にはどうも「語り継ぐべきモノ・コト」を取り違えているように思う。

取り違えの典型例がNHKの「原爆の日を覚えている人が少なくなった」という報道である。何月何日に原爆が落とされたかを記憶している人が少なくなった、として戦争の記憶が薄れていると言う。しかし、私は何月何日に原爆がどこに落とされたか、は殆ど記憶する必要のない情報であると思う。少しましな情報として、原爆でたくさんの人が亡くなった、とか、後々後遺症が出て体調を崩した人がたくさん出た、というのがあるが、これでもまだ最重要な語り継ぐべき情報であるとは思わない。マスコミはこの種の情報が一番大事だと思っているようであるが・・・。

私が重要だと思うのは「なぜ戦争を始めてしまったのか」「なぜもっと早く停戦に持ち込めないで原爆投下から無条件降伏というような事態になってしまったのか」「戦後の処理はどういう哲学の元に行われたのか」というような話である。これらについては殆ど報道されていない。

戦争開始は1941年12月8日の真珠湾攻撃と宣戦布告、とされているが、戦争開始に至った経緯としては1937年に開始された日中戦争以来の流れがあり、更に1910年の日韓併合あたりからの一連の日本の大陸へに進出の歴史が下地になっていることは間違いない。この時期の日本社会はどういう空気感だったのか、いわゆる政府発表や特定の思想を持った人の意見だけでなく庶民全体の感覚を知りたいと思う。今の北朝鮮のようにお上に逆らえないから皆が黙り込んだような状態だったのか、今の中国のようにある程度自由にものが言える状態ではあるが、取り締まりもある、という状態だったのか、その中で日本が戦争へと走っていったのは、一部のトップが暴走したのか、今のギリシャのように国民全体が圧迫感を感じて反発していた感じだったのか、というようなことを明らかにしていく必要があると思う。

次が戦争開始後、降伏に至るまでの過程である。この時期は非常事態であるので通常では起こらないようなことが起こったのは間違いないと思うが、国民に対する非人道的なことはどの程度あったのか。また、「勝てそうもない」という判断はかなり早くからできたと思うが、なぜもっと早く降伏できなかったのか。結果としては早く降伏したほうが良かったとは思うが、どちらが良いかということとは別に、なぜ焦土作戦で竹槍で機関銃を迎え撃つ、というようなところまで行ってしまったのかという政府内での力学は解明する必要があるだろう。

そして戦後処理である。日本は無条件降伏したので半分はアメリカ、半分はロシアになったとしても文句は言えない状態だった。その中で世界のパワーバランスで沖縄と北方領土を除いて日本が分割されないで独立国として残されたのは戦勝国側のパワーバランスや判断によるものである。日本国憲法第9条が制定された頃には、「X国に侵略されたらX国にされてしまうことを受け入れてでも戦争をしない」という気分があったのではないかと思う。

こういった状況を整理して語り継ぐのが戦争の記憶として残すべき事柄であると思う。

なお、日本の植民地化に関してであるが、シンガポールの博物館に行くと日本は完全に悪者の侵略者として扱われているのに対して、あのあたりを植民地化していた欧州各国はそれほど悪者にされておらず、むしろ文明を持ち込んだという様な展示のされ方をしている。お詫びもしていないと思う。統治の手法の違いではないかと感じている。

韓国に関しては、侵略されたという意識はずっとあったが、10年ほど前まではそれほど悪い印象ではなかったと私は感じていた。悪い印象になったのはイ・ミョンバク大統領以来の最近の韓国政府の方針のように感じている。


ナノ・コンポジットによる自宅の外壁の塗り直し

2015-08-01 20:57:48 | 生活

7月に自宅の外壁の塗り直しを行った。私が今の自宅を買って(新築一戸建て)引っ越してから13年経つが、10年を過ぎるあたりから外壁の塗り直しが必要になるらしい。周囲の家でもぽつぽつ始めている。雨の時に屋根から流れ落ちた水の跡が黒い縦線のように壁に残ったりし始める。プロが見ると大体わかるらしく、今年に入って、塗装業者からこの種の売込みが来るようになった。

最近は塗装技術も進歩していて色々と長持ちする塗装があるらしい。最も長持ちするのはフッ素入りのペンキで、これを使うと20年くらいは塗り直しが不要になるらしい。フライパンのフッ素加工と同様に汚れが付きにくくなるらしい。私が選んだのは2番目のクラスの「ナノ・コンポジット」という塗料である。これは日本ペイントの特許で、ナノテクを使った親水性の塗料ということである。普通の塗料は撥水性、つまり水をはじくようになっているのだが、この塗料は水に濡れるらしい。それで雨が降った時に汚れを洗い流してくれるそうである。これは15年くらいで塗り直しという相場のようである。私がこれを選んだのは、フッ素よりも安かったのと、親水性塗料というのに興味を持ったからである。春頃にやりたかったのだが、春に契約すると、実施は夏になる。それで7月の暑い時期に外壁の塗り直しということになった。

最初に足場を組んで、窓などを養生してペンキがかからないようにする。風が通らないので部屋の中は暑くなる。高圧洗浄した後で壁のペンキを塗り、その後、屋根を塗り直し、板の部分を塗りなおして終わり、足場を解体、という手順になる。実作業は10日くらいだが雨の日と日曜日は作業をしないので2週間くらいかかった。色は家内に任せたのだが、塗っている最中に「色が違う」と騒いでいた。下塗りの色だったようである。見本で見るときと、実際に壁になってみるのは多少感じが違うし、晴れて日が当たっているときと、曇っているときでは印象が違うが、まずまずの感じである。家の周りを囲っている間はうっとうしかったが終わってみると気持ちの良いものである。工事中は「ナノ・コンポジット」という幟を立てて、周辺の家に売り込んでいた。私の家の周辺で2件ほど契約が決まったそうである。

外壁を塗りなおすと遮熱効果が出て涼しくなるという話もあったが、7月中にずいぶん暑くなってしまって効果が出ているのかどうかは良く分からない。今の時期に暑いのは以前と変わらないような気がする。