ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日本の大学の体制を考える

2017-04-25 16:51:47 | 東工大

前回に続いて大学の体質強化の話である。大学教授は待遇面でも一般企業とかなり異なっている。大学教授は社会的なステータスは高いが給料はそれほど高くない。私立大学は別かもしれないが、国立大学は有名教授だからと言って特別に給料が高くなるわけではない。今、苦境に立っている東芝でも、東大教授以上の年収の人が東大教授全体よりもかなり多くの人数が居るだろう。役員になれば東大教授の数倍貰っていると思う。大学教授は給料はそれほど高くはないが、降格されることは無い。よほどの不祥事でも起こさない限り定年まで職を追われることはないだろう。これは日本だけではなくアメリカでもテニュア制度と言って大学教授は定年まで勤められる代わりに給料はそれほど高くない仕組みになっている。

競争が激しい現代にあって、このテニュア制度を廃止するべきだろうか? 学問という性格上、個々の教授は社長だとみなして介入しないという原則と合わせて考えると、このテニュア制度も維持したほうがよさそうに見える。そうすると各教授がすべて研究室内で准教授を跡継ぎとして立てれば、新陳代謝は起こらず、研究室の数は増えるだけということになるだろう。戦後、教育システムが崩壊したところから再立ち上げして、経済発展してきた時期は、教授数が増える一方でよかったが、経済が飽和し、人口が減少を始めて現代ではこのやり方は維持できないことは明らかである。そうすると、准教授の教授昇格審査を厳しくして、教授に昇格できない研究室を作るか、教授のパフォーマンスが悪いところは准教授を持てないようにする方法などが国としては不可欠だろう。2割くらいは跡継ぎの教授が居ない研究室ができる一方で、15%くらいは新しく就任する教授ができる、というような形にしていけば、新陳代謝が起こりつつ、人口減少に合わせて教授数も減っていく、という調整ができそうである。

大学教授の評価をすることは極めて難しいし、教授同士で評価をしたがらないという傾向もある。しかし、総数の枠を抑えて減らさないといけないというようにしていけば、どうやれば納得性の高い評価ができるかは大学が工夫するのではないだろうか? 今の政府の取り組みがどういう方向に向かっているのかを私は知らないで書いているのだが、新陳代謝が必要、枠は増やせない、テニュア制度は維持するという条件を付けるとこんな方法しかないのではないかと思える。


日本の大学のレベルを上げるには

2017-04-22 09:29:08 | 東工大

先日、私が東工大の特任教授になる際に声をかけてくれた安藤教授の最終講義があり参加してきた。最終講義は定年で引退する教授が行うものであるが安藤教授の場合には東工大の副学長になっており、電子情報通信学会の会長になることも決まっているので、これからは暇になるどころかますます忙しくなって日本の大学教育、学術振興に関して尽力しないといけなくなるだろう。

日本の大学は世界でランキングがどんどん低下してきており、この傾向は今後も続くと思われる。大学だけでなく産業界全体、つまり日本全体の競争力が低下してきているので、大学だけの問題ではないのだが、大学のランキング低下は産業全体の低下よりも早いペースで続いている感じがする。これは何が根本原因なのかを考えてみたいと思う。

日本の大学の停滞感の最大の原因は新陳代謝の悪さにあると思う。これは組織が硬直化してきていて、新しい発想が出にくくなっているということである。大学は教授個人が中小企業の社長のような感じでほぼ独立した運営権を持っており、大学全体でみると中小企業の集合体のような形になっている。中小企業の社長はそれぞれが自分の会社を維持したいと願うから、大学全体の予算が増えない現状で新しい中小企業ができることは極めて稀で、これが組織の硬直化につながっていると思う。

大学が中小企業の集合体であるということは、大学が学問という分野を扱っており、多様性が重要視されることから仕方のないことであり、世界中で多かれ少なかれ、そのような性格を持つことは必然性があると思う。しかし、日本では大学教授たちが研究室を持つことを既得権と考え、パフォーマンスの悪い研究室をつぶすことが極めて困難であるという風土があるし、そのような仕組みになっている気がする。少し前に文部科学省が「文科系の学科を減らす」と発言して袋叩きにあったが、社会的に役に立っていない分野には補助金を減らすというのは自然な発想であり、メディアが文科省に反対の意見ばかりを取り上げるという、日本の風土では大学の改革は進まないだろうと私は思ったものである。

中国などでは国が事業を行っている分野がかなりあり、大学がその開発センターの役割を担っている場合も多い。このような分野には開発資金が投入されるので予算規模が全く違ってくる。国際ランキングを上げる上で大学に資金投入が大きいほうが良いことは間違いないので、中国の大学がランキングを上げてくるところが増えるのは止めようがないだろう。日本の大学は経済状況が似通った状況にある欧米の大学との比較で考えるべきだと思う。

欧米の大学との比較で私が気になっているのは研究室の雰囲気である。長年GoogleのCEOを務めたエリック・シュミットが「How Google Works」という本の中で「私がGoogleに経営陣として招かれた時には、いよいよ彼らのビジネスの世界で戦う決意をしたのだな、と思ったのだがラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンから依頼されたのは、『大学の研究室のような雰囲気を保ちつつ、Googleを発展させてほしい』ということだった。そして今、Googleは6万人を雇用する大企業になったが大学の研究室の雰囲気を保っている」と誇らしげに描いている。ここで言う「大学の研究室のような雰囲気」の組織とは、権威主義的でなく、自由な発想でモノが言えて、良いアイデアが採用されていく、ということを意味している。そしてエリックがこういう言い方を本の中でしているということは「大学の研究室のような雰囲気」という概念が広くアメリカ国内で共有されているということだろう。

日本の大学ではどうだろうか。教授と学生の距離が社長と新入社員の距離よりも近い、ということは事実である。これは研究室が中小企業的な小さな所帯だからだろうと私は思っている。一方、「権威主義的でない」かという点に関してはかなり怪しいと思っている。「誰が言ったか」で受け止められたかが大きく異なるのが一般的な研究室の空気ではないだろうか。これは言うまでもなく教授の個性による点が大きく、権威主義的な研究室もあるし、そうではない研究室もあるだろう。だからこそ、全体として権威主義を排して自由な発想が出やすくすることは難しい。私自身答えを持っていないのだが、大学全体の雰囲気を変えていくことは大学のマネージメント上極めて重要だと思っている。


トップアスリートには末っ子が多い

2017-04-21 10:55:31 | 生活

2-3か月前のテレビのバラエティ番組で、プロ野球選手やオリンピック選手には末っ子が圧倒的に多い、という調査結果が紹介されていた。長子、末っ子、中間子、一人っ子に分けて様々なジャンルの人を調べると、スポーツ選手や、囲碁・将棋の名人、ピアノやバイオリンの一流演奏家などには末っ子が圧倒的に多い。比率で言うと10倍くらい末っ子が多い感じである。東大生などは長子が多いそうである。

おそらく兄や姉がやっているのを真似て小さいころから始めるので、小学生くらいまでに体で覚えないと一流になれない分野では、小さいころに頑張る環境が与えられやすい末っ子が伸びることが多いということだと思う。私の趣味である囲碁・将棋で兄弟・姉妹でプロになっている人たちを何組か知っているが、殆ど年下のほうが強い。フィギュアスケートの浅田姉妹などもそうである。

大体、同じ指導者につくので指導方法は同じである。開始年齢が早いことと、本人が頑張る気持ちになりやすいことが本質的な理由だろう。東大生には長子が多いというのも面白いデータである。こちらは私には理由はよくわからないが、何かがあると思う。バラエティ番組の中で紹介されたデータだが、歩との才能を伸ばすための重要な条件が含まれていると感じた話しだった。


北朝鮮に接近するロシア

2017-04-20 09:05:34 | 社会

トランプ大統領の北朝鮮への圧力は今のところ効果を示していて、中国も圧力をかけているし、北朝鮮もおとなしくしている印象である。ただし、緊張感を高めただけで、実際にどの程度効果があるかは不明である。何があれば効果が出たとみるかがそもそも難しい。

北朝鮮が核開発を止めれば明らかな効果が出たと言えるのだろうが、それはまず無理だろう。せいぜいが開発ペースを落とすというところだろうと思われる。経済制裁も北朝鮮政府が軍事費にばかり資金をつぎ込んで、また餓死者が増えたりすれば中国への難民が増えるので好ましくない。ある程度は締め付けるが、北朝鮮が本当に苦しくなれば表向きには見えにくい何らかの形で援助をするだろう。中国政府からすれば、自分に頼らざるを得ない国があり、世界とは違う価値観で動くこと自体は悪いことではない。しかし中国の言うことも聞かなくなると困るので時々締めあげて「中国から締められると困るだろう」というところを見せつける。今は韓国を締め上げている。数年前は日本を締め上げた。中国としては「第3国にこのやり方に口出しをしてほしくない」というのが基本的スタンスだが、今回はトランプ大統領の要請を受ける形で北朝鮮を締め上げている。トランプ政権の様子を見ようということだと思っている。

北朝鮮は困っている。マレーシアとの関係で東南アジアとの付き合いも難しくなっているところへ、中国に締め付けられているからだ。そこでロシアに接近した。ロシアは受け入れようとしているようである。日本へは入港禁止になった万景峰号の北朝鮮とウラジオストクとの定期航路を開くことを決定した。世界が北朝鮮に対する経済制裁に動いている中でのロシアのこの動きは、アメリカのシリア攻撃に対する報復の意味もあるだろう。アメリカが中国と交渉して中国が北朝鮮を抑えることに合意したとしても、ロシアがサポートすれば効果は激減する。ロシアとすれば北朝鮮の安い労働力が使えるのは経済的にメリットがある。アメリカが文句を言ってきたらシリアの話を持ち出すつもりだろう。北朝鮮の支配権がロシアに移っては困るので、様子を見ながら中国も締め付けを緩めることになるだろう。

各国がこのように自国の利益を最優先すれば、思惑で動き、色々な国と組んだり離れたりを駆け引きで行うことになる。小競り合いを続けながらも大きな紛争は皆が困るので危うい安定が続くだろう。問題はどこかの大国が経済的に苦しくなった時である。それも中国やロシアのように、国民の利益よりも為政者の支配継続を優先するような国が経済的に困難な状況に陥ると、反社会的だろうが何だろうが自分の立場を護ろうと動く。そうなった時が世界の大きな危機になるのだろうが、まだ少なくとも数年間はそのような大きな危機は来ないと思っている。


卓球女子、平野が中国の丁寧を破る

2017-04-15 09:43:26 | 生活

今日は予想通りの桜吹雪の中を2時間ほど散歩して、今ウィトラのオフィスに到着したところである。暖かく、風もあるのでちょっと風が吹くと薄紅色の桜の花びらが蝶が舞うような不規則な動きをして飛び交っている。春満開の印象である。

うれしいニュースが入ってきた。卓球のアジア選手権で日本の平野みうが世界ランク1位の丁寧に勝った。昨日は彼女の17歳の誕生日だったが誕生日にこれまで1ゲームも取れたことのなかった選手に勝った、自分自身への最高の誕生日プレゼントを作り出した。平野みうは小さい時から有名で、同学年でライバルの伊藤みまと「みうみまコンビ」として知られていた。平野がずっと卓球の成績ではリードしていた感じだったが、リオ五輪の少し前から伊藤が急速に伸びてきてリオの代表は福原・石川・伊藤となり、平野は代表入りを逃した。伊藤は五輪でも大活躍し、見ていた私も「伊藤は将来、福原、石川を超える選手になるだろう」と感じた。

しかし、五輪が終わって伸びてきたのは伊藤よりも平野のほうだった。10月のワールドカップで中国勢以外で初めて優勝したのをはじめ、今年1月の全日本選手権では三連覇中の石川佳純を破って最年少優勝を果たした。この決勝の試合を私はテレビで見ていたのだが、「実力はまだ下だが、運よく勝てた」というような勝ち方ではなく、「実力を出し切った堂々たる勝利」という印象だった。そう思った最大の理由は「高速卓球」で平野が石川を上回っていたからだ。

日本女子は中国選手と比べると小柄で、パワーでは及ばない。その分、卓球台の近くに構え、スイングをコンパクトにして打ち終わるとすぐに次の球に対して備え、高速のラリーで相手を倒すことを得意としている。石川も平野もこのパタンを武器にしているが、速い打ち合いでは明らかに平野がリードしていた。今後、石川が平野に勝つときは打ち合いではなく変化や作戦といった別の要素で勝つことになるだろう、と思わせる試合だった。

そして今回の平野の中国の丁寧に対する勝利である。丁寧は若干ピークを過ぎた感じはあるが、安定感抜群の選手である。平野が世界トップレベルに肩を並べるところまで来たという証だろう。平野みうの大活躍に比べて伊藤美誠はオリンピック終了後の成績はぱっとしない。平野の活躍に焦りを感じているのかもしれない。先日引退を表明した山の神、柏原竜二と同じような精神的プレッシャーを感じているのではないかと心配している。伊藤美誠も間違いなく才能のある選手だと思う。「みうみま」で世界1,2位を争うような時代を期待したいものだと思う。


女子校生の制服

2017-04-14 09:13:08 | 生活

私は朝1時間半ほど歩いてウィトラのオフィスに通っているが、この時期は気持ちが良い。私の住んでいるあたりはまだ桜が満開で今週末にかけて桜吹雪で散っていくだろうと思われる。この時期の美しい風物の一つである。桜が散ると、葉桜になるが、いつの間にか他の木々にもたくさん新芽が出ていて、緑豊かになっていることに驚かされる。

花と同じくらい目を奪われるものにミニスカートの女子高生がある。私は10通りくらいのルートを大体決めていて、家を出る時間や天候によって選んで歩いているが、そのルート上には市ヶ尾高校、荏田高校、元石川高校という3つの高校がある。いずれも共学の公立高校だが、男子生徒は目に入らず、ミニスカートの女子高生に目が行ってしまう。スカート丈には個人差が大きいが、全体として元石川高校が一番短く、荏田高校が一番長い。私立の高校は荏田高校より長いところが多く、学校で規制しているのだろうと思っている。

制服は3校とも同じような紺色の無地の制服である。若干色合いが違うような気もするが、高校間で合わせているのかもしれないと思っていた。しかし、この4月から元石川高校で一部違う制服の生徒が現れた。青みのある灰色と若干茶色の入った灰色との地味なチェックのスカートの女子高生を見かけるようになった。一年生は新しい制服に切り替えたのだろうと思う。新しい制服は近くで見ると上品な良い柄のように見えるが遠くから見ると前のほうが良かったような気もする。他の高校ではこのような制服を見かけないので、これまでは単によく似た制服だっただけなのかと思っている。

これからは暖かくなるので良いのだが、真冬でも多くの女子高生はミニスカートで通している。上半身は厚いコートに襟巻をしているのに、下半身はミニスカートというアンバランスは寒さ防止という観点ではずいぶんおかしなことに見えるが、「男どもに見せるため」ではなく本人が長いスカートやタイツは「ダサい」と思っているからのようだ。これがファッション雑誌の編集者に誘導されているのか、本人のセンスなのかは私にはよくわからない。

 


中国にとってトランプ政権は扱いやすい?

2017-04-12 10:07:04 | 社会

トランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談が終わった。大きなことは何も決まらず、基本的なことは平行線だったというが、直接会って話をしたことでお互いに相手の人物を探りあって感触を得たことと思う。結構長い時間顔を突き合わせていたので、十分に相手の人物を計ったことだと思う。

客観的に見れば五分の別れだが、基本的には中国側が自分たちのペースを保ったと思う。アメリカは会談中にシリアを攻撃して、かなり中国側に強いプレッシャーを与えたと思われるが、かなりリスクを取って強気の行動に出て互角だった、というのが私の印象である。貿易不均衡に関して実務レベルで検討することになったが、実務レベルでは統一のとれていないアメリカ側はなかなか押し通せないだろうと思う。

トランプ政権が成立したときには、ロシアと接近して、中国には厳しく当たる、というのがトランプ政権、という印象だったが、3か月を経過してロシアに厳しく中国とは対等、というように中国に対しての態度はかなり和らいできた印象である。ある記事で見たのだが、中国はトランプ氏の娘の事業にかなり金を入れたうえに、経済的にも様々なメッセージを出した。例えば、ソフトバンクの孫氏はトランプ氏と直接会って「5万人の雇用を生む」と発言し大きく報じられたが、アリババのジャック・マー氏は「100万人の雇用を生む」、といったそうである。この裏には中国政府の意図が働いていることは間違いないだろう、と記事は書いていた。イヴァンカ氏の話でも、アリババの話でも中国政府が動いたという証拠はなく観測記事であるが、いかにもありそうな話だと思う。そして実際にトランプ氏の中国に対する態度はかなり変わってきた。

今、中国国内で韓国製品の不買運動が起こっているが、これも中国政府の意向が働いているとみて間違いないだろう。THAAD配備に対しての不満を示し、大統領選挙に圧力をかける意図だろう。このように、中国では欧米では取れないような手法を取ることができる。これは民主主義国でなく、共産党の一党独裁だからできることである。トランプ大統領はこのようなことに対抗するために、同じレベルに降りて行って批判を受けても独断的な決定で対抗しようとしているようだが、しょせんこの種の手法では中国には敵わないだろう。そういう意味で中国にとっては扱いやすい政権だと思う。一見正論だと思われる意見を言いながら、実は自分だけの利益を押し通す、という手法の実行に関しては中国のほうがかなりうまく、アメリカは同じことをやって相手国との摩擦だけでなく、自国内での摩擦とも戦わなくなるだろうと思っている。アメリカの取るべき手法は多くの国の賛同を得ながら行う、というのが本筋であるべきだと思う。

シリアの攻撃に関しては国連を通してはいなかったがヨーロッパ諸国の賛同を得ている。トランプ政権の性格を見せつける上では良く考えた手法だったと思っている。


スズメが居なくなった

2017-04-10 09:23:48 | 生活

土曜、日曜と私は囲碁を打ちに東京に行っていた。皇居の近くを通ったので、桜の名所、千鳥ヶ淵の桜を見た。この時期の千鳥ヶ淵は桜見物の人たちでごった返しており、自分のペースでは歩けない。土曜日は午後に出かけたので遠くから見るだけにしたが、日曜日は囲碁の大会が始まる前、午前9時頃だったし、雨模様だったので、千鳥ヶ淵緑道を歩いた。さすがに見事な桜だった。

桜の話はテレビでもFacebookでも多くのところで盛り上がっているので、今日は野鳥の話をしてみようと思う。私は鳥に関しては全く詳しくないのだが、その私でもよくわかる野鳥として、カラス、スズメ、鳩、などがいる。夏にはツバメも良く見かけた。このうちカラスと鳩は今でもよく見るが、スズメとツバメはほとんど見かけなくなった。特にスズメは以前は一番よく見かけるような鳥だったのに、今はほとんど見かけなくなった。何が起こっているのだろうと思う。

散歩していると結構色々な鳥を見かける。嘴がオレンジ色の鳥(多分ムクドリだと思う)や、尾の長い鳥(セキレイだと思う)などをよく見かける。川沿いに歩いていると、カルガモやアオサギ、コサギ、鵜なども見かける。姿はなかなか見せないが鶯の声も聞こえる。他にもいろいろな種類の鳥がいるのだろうが、私には名前が分からない。それなのにスズメを見かけないというのはよほどスズメにとって暮らしにくい環境になってきたということだろうか。

考えてみれば、蝶々の数も激減した。春の野原ではモンシロチョウをはじめとしていろいろな蝶が飛んでいたのだが、たまに見かけるという程度になった気がする。トンボの数も相当減っていると思う。川の中では当たり前のように居たメダカも絶滅危惧種になっているという。我々が見て楽しんでいるソメイヨシノもできてからわずか140年ほどだというが、全国に広がっている。人間が作る環境が他の動物に与える影響が大きいことを改めて感じている。


囲碁文化を育てた徳川幕府

2017-04-08 08:04:08 | 囲碁

トランプ大統領がシリア政府軍を攻撃した。私はこの行為を肯定的に捉えているが、不十分な情報でコメントすることは差し控えて、今日の本題の囲碁の話にしたい。

 最近、日本、中国、韓国の囲碁トッププロと日本の人工知能Deep Zen Goを含めた4者の大会が行われた。日本の参加者は日本の囲碁プロで圧倒的強さを示している井山6冠だったが、優勝は韓国、2位中国、3位人口知能で、日本の井山氏は全敗、という結果だった。Googleのアルファ碁には世界の誰も勝てない、というのは明らかになっていたが、日本の人工知能であるDeep Zen Goにも井山6冠でも勝てなかった。半年前にDeep Zen Goは過去の名人趙治勲と戦って負けているが、この時と比べて明らかに強くなっていた。中国、韓国の棋士はDeep Zen Goには勝ったのだがそれもぎりぎりの勝ち方だった。

40年数年前、私が大学の囲碁部で本格的に囲碁を始めた頃は日本が圧倒的に強かった。しかし、韓国に抜かれ、中国に抜かれ、最近では人工知能にも抜かれている。しかし今日は日本のプロが世界に通用しなかったことを嘆くのではなく、囲碁がここまで国際的に楽しまれるゲームとして発展したのは徳川幕府の影響が大きかったことを指摘したいと思う。

囲碁はおそらく2000年くらい前に中国で発明され、朝鮮半島を経て日本に伝わってきた。平安時代の紫式部や清少納言が囲碁をたしなんでいたことは知られているが、プロとして囲碁で生計を立てるような人は居なかった。プロ棋士が成立したのが江戸時代である。

徳川家康が囲碁が好きで、本因坊算砂を重用したのが囲碁のプロ棋士の始まりと言われているが、続く秀忠、家光も囲碁が好きで、三代将軍家光の時代に江戸城で将軍の前で家元の代表同士が囲碁を打つ、「お城碁」が定例化されて、4家の家元をベースとした囲碁のプロという職業が確立されたと言えるだろう。

囲碁は日常生活に役に立つわけでは無い芸能の一種なので、プロが生活できるためには「旦那」と呼ばれるスポンサーが不可欠である。しかし、スポンサーを得るのは容易ではない。囲碁は落語や歌舞伎のような芸能と違って素人が見て面白いものではなく、囲碁の面白さを理解するには見るほうにもそれなりのトレーニングが必要である。歴代の徳川の将軍が、囲碁を鑑賞できるレベルにまで勉強したからこそ、「お城碁」という制度が確立されたのだと思っている。そして囲碁の技術は江戸時代に長足の進歩を遂げ、中国や韓国を圧倒した。プロとして囲碁で生計を立てることができる仕組みがあれば発展するのは当然と言える。

囲碁はゲームとして良くできているので民間にも楽しむ人は少なからずいる。トッププロ同士の対戦経過が公開されるにつれ、それを「すごい」と感じる人が増えてきて囲碁のすそ野が広がり、民間にも「旦那」になる人が出てきた。徳川幕府が倒れて明治時代に入るとスポンサーであった徳川幕府が無くなり、プロ棋士たちは生活に困る状況が続く。この時期を支えたのは一部の民間の「旦那」達だった。棋士たちは独自の団体を作ったり、徳川時代の家元の元に集まったりして、組織的なプロ棋士育成システムはうまく機能しない時代が続く。次第に情報産業として確立されてきた新聞社をスポンサーとして頼るようになり、大正時代に「日本棋院」が設立される。だが一枚岩ではなく、「棋正社」や「関西棋院」などが分離して独立した。「棋正社」は事実上消滅したが「関西棋院」はいまでも多くの棋士を抱えている。現在は「日本棋院」も「関西棋院」も現在は「公益財団法人」になっているが、腫瘍スポンサーは新聞社で、政府から援助資金が出ているのかどうかは分からない。

最近は新聞社の経営は悪化してきており、インターネットの企業がスポンサーをする場合も増えてた。先日の日本、中国、韓国に人工知能を加えたワールド碁の対戦もDeep Zen Goを開発したドワンゴが動いてスポンサーを集めた。今後、囲碁のスポンサーは新聞社からインターネットを含めた広い意味でのメディア企業に移行していくのだろうが、「文化」と捉えて政府の援助があっても良さそうに思う。

囲碁のように一見とっつきにくいが奥の深いゲームをサポートし、文化として育てた初期の徳川幕府将軍の見識は「和算」という独特の数学を発展させたことと合わせて高く評価するべきことだと思う。


田園都市線のイメージ劣化

2017-04-06 10:26:59 | 生活

私の住まいの最寄り駅は田園都市線のあざみ野駅である。私はオフィスまで歩いて通っているので毎日通勤電車に乗るというわけでは無いが、都心などに行くときはたいてい田園都市線を利用する。その田園都市線のイメージがここ数年劣化してきている。

その理由は遅れることが多いことである。特に帰宅ラッシュの時間帯、午後6時台に渋谷から乗るとイメージが良くない。非常に高い確率で遅れが出る。渋谷で電車に乗ってからあざみ野まで順調に着くのは30%程度ではないだろうか? ほとんどの場合、「・・・のトラブルがありましたので時間調整します」というアナウンスが流れて途中の駅で長時間停車する。遅れると言っても5分程度が殆どなのだが、電車は結構混んでいるので不快感が強く、あざみ野についたときにはずいぶん疲れた感じを持つ。

そんな訳で、最近は週1回通っている中野からあざみ野に帰るときには中野から小田急線の東北沢まで歩いてそこから小田急線で新百合ヶ丘に出て、バスであざみ野に出ることが多くなった。小田急線も同じくらい混んでいるが、遅れる頻度ははるかに少ない。中野から東北沢までは歩いて1時間くらいかかり、歩くことが主要な目的であるのだが、「田園都市線に乗りたくない」という気分もあることは間違いない。

田園都市沿線は高級住宅地というイメージがあるのだが、私のように田園都市線に乗りたくないと思う人が増えると、沿線全体のイメージ劣化につながるのではないかと思う。この種のイメージ低下はゆっくりと進行し、普通に言われるようになるには20年くらいかかるだろうが、一度イメージが低下すると取り戻すのにやはり20年くらいかかる。田園都市線沿線は住宅や道路の設計は良くできており、緑も豊かなので、交通の便を決定づける東急電鉄には頑張ってもらいたいと思っている。