真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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覇権や利益の維持・拡大目的で謀略をくり返すアメリカ、下山事件

2023年04月07日 | 国際・政治

 「日本の黒い霧」(文春文庫)の著者松本清張は、同書で、下山事件に関して集めた様々な情報を基に、下山国鉄総裁が、GHQの組織、参謀第二部(G2)の謀略によって殺害されたことを論証しています。
 GHQ民政局(GS)の民主化政策で、”強大となった日本の急進労働運動もなんとかして食い止めなければならない”ということで、G2が下山総裁を拉致し殺害した上、その死体を線路上に横たえたという事実を、さまざまな証拠をあげて明らかにしているのです。
 下記に抜萃したのは、「下山国鉄総裁謀殺論」で、下山事件の背景や殺害の動機を中心に論じている部分です。
 下山総裁が行方不明になった経緯、轢死体や身に着けていたものの状況、また、列車の運行状況、下山事件の不自然な捜査の打ち切りなどを、下記のような背景や動機と考え合わせると、下山事件がG2による謀略であったことは間違いないと思います。
 そして、下山事件を契機に、”三鷹事件、横浜人民電車事件、平事件、松川事件などが相次いで”起って、民政局(GS)による日本の民主化は頓挫し、「逆コース」が始まったということです。
 その結果日本は、今もなお、アメリカの属国のような状態にあると言えるように思います。
  
 だから私は、アメリカという国が自国の覇権と利益のためにこういう謀略をくり返してきたことを踏まえて、ウクライナ戦争を理解し、台湾有事の可能性を考える必要があると思うのです。
 現在をよりよく理解するために、歴史を学ぶのだと思います。下山事件からも学ぶべきことがあると思うのです。

 でも、日本の主要メディアは、アメリカによる国外はもちろん、国内の謀略の数々にさえ目をつぶり、現在もなお、アメリカからの情報を何の検証もなく報じていることを見逃すことができません。

 現在アメリカは、自国の覇権と利益を維持するために、ロシアや中国を弱体化しなければならない状況にあるのだと思います。台湾の人たちの多くが、現状維持を望んでいるのに、アメリカはく繰り返し台湾に武器を売却し、政府や軍の要人が蔡英文総裁などに接触して、中国を挑発しているように思います。あたかも、台湾が中国によって武力統一されるかのような報道は、いかがなものかと思います。アメリカが台湾に武器を売却したりして、台湾独立を支援するような挑発をしなければ、中国は台湾を武力統一することなどないと思います。

 陸自のヘリが、宮古島沖で消息不明となり、機体の一部など発見されたという報道が続いていますが、私は、近々アメリカが日本の自衛隊機を撃墜するなどして、中国軍機が撃墜したというような偽情報を流すのではないか、というような不安さえ覚えるのです。
 kla.tvなどの情報から、ウクライナおける「ブチャの虐殺」も、ロシアを陥れるためのアメリカとウクライナの「謀略」の可能性があると思っています。
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                   下山国鉄総裁謀殺論

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 占領軍が日本を支配して以来いちばん心を砕いたのは共産党勢力であった。日本におけるGHQの歴史はこの対共産党の治安工作にかかっていると云っても過言でない。マッカーサーが日本に上陸して以来最初に手を着けたのは、日本に温存されているところの旧軍閥系、右翼系統、右翼的財閥の潜勢力を徹底的に破壊することであった。そして、これらを一掃した後アメリカ的な統治の仕方を敷こうというのが狙いだった。これら国家主義を日本から一掃するために民主化という美しい名前で戦前の秩序体制を破壊し始めて、活動したのがGSである。
 周知のように、GSの局長代理ケージスは絶大な権力をふるって旧秩序を崩壊させ、共産党の勢力を利用しようとした。そのため、終戦まで非合法政党であり、幹部は地下にもぐらざるを得なかった日本共産党が俄かに台頭して、1949年には国会に35名の共産党代議士を送るという進出振りとなった。この頃は共産党勢力の全盛期であって、”革命近し”の声が叫ばれたのである。
 ところが、このGSの政策に対して猛烈に反撃したのがG2で、その先頭にたったのが局長ウィロビー少将である。
 下山事件の起る昭和24年の初め頃から次第に劣勢であったG2はGSに巻き返しを行い、ケージスやダイクの追放を謀略によって図るようになった。このことをもっと詳しく述べたいが、ここには余裕がない。ただ、GHQの中にあるG2とGSとの主導権をめぐる激しい闘いが、下山事件の或る背景となっていると云いたい。 
 G2にしてもGSにしても、それぞれの諜報機関、或は情報機関を日本側行政部の各層にばら撒いていたらしい。警視庁がケージスのスキャンダル摘発のため、彼の行動を尾行させ、ケージスにねじ込まれると、斎藤昇は苦しい言い訳をして糊塗したが、その誤魔化しを、後で一々ケージスに指摘されて、参った話は彼の回想録に書いてある。そして、これによっても警視庁内部に、G2側とGS側との派閥争いがあり、それぞれの筋に忠誠を尽くす一方、互いに追い落としを策し合っていたことは日本官僚の特性としてさして驚くに当らない。
 とにかくこのような情勢の中で初めて国鉄総裁が選ばれなければならなかった。初めこの総裁候補としては、鉄道大臣であった村上義一に交渉がなされた。しかし、白書にもある通り、同人はこれを断った。GHQの意向としては、初代総裁には特別な任務を付さなければならないと考えていたが、その任務とは、日本における最大の労働組合である国鉄労組と対決して大量の首切りを完成させるということであった。従ってその選ばれた初代総裁全く政治的立場を取らない白紙の人間が好ましかったに違いない。数人の候補者が挙げられた。そのいずれもがいわゆる札付きであったり、紐つきであったりして、G2及びGSともこれらに難色があった。従って技術畑出身であり政治的立場の無い運輸次官である下山定則が総裁に選ばれる結果となったのである。
 困難な初代総裁の立場を考えるなら、下山はGHQに、或は、吉田内閣に相当な条件を付さなければ
ならなかった。また実際その条件を出そうという気配が下山にあったのである。ところが「白書」にもある通り、彼は遂に条件を出さなかった。国警長官斎藤昇が長官就任にあたって条件を提出した事情と比較するならば、政治的事情に疎い、或は正直者である下山はまことに就任時からうかつであったと云わねばならない。これが遠い原因となって、自ら破滅を招いたのである。
 ここでその総裁選考の事実上の裁定官であった輸送担当のシャグノンについて少しく書いてみたい。
 シャグノンは確かに教養の低い男であった。しかし、この米国における地方の一鉄道会社の社員は、GHQに在ると絶対の権力をふるった。もちろんシャグノンはCTSの担当官にすぎないので、彼がそのような権力を持つのは不思議だが、実は彼のバックにG2局長のウィロビー少将が控えていたのである。
 シャグノンは初めGSのホイットニー側であったと考えられるフシがある。しかし、どういうわけか途中でG2の方に彼はついたのである。シャグノンがG2の味方であったということから考えると、下山事件も半分は判ってくるような気がする。
 シャグノンとしては二つの任務があった。一つはG2の意向に従っての対ソ戦時輸送の計画であり、一つは、国鉄労組における急進分子の追放であった。いわば外には社会主義国との対決と、国内的には、共産党関係との対決であった。この後者の場合は、GHQが占領直後に自ら蒔いた種を、自ら刈る結果と云ってもおかしくない。なんとなれば、日本支配以来、軍国主義の払拭に、方便として用いた共産党育成方針が思わぬ成果を上げ、日本のあらゆる分野において共産党、またはその同調者が急増したからである。各産業方面においても急進的な労働組合が多くなり、2・1スト以来、彼等の云う「革命」も、あながち夢ではないと思われるくらいの情勢になった。殊に、従来比較的穏健と云われた国鉄労組が急激に尖鋭化しつつあったのである。
 この思わぬ「成果」にGHQ自身が愕然となった。わが手で創ったものが意外な魔性に変わろうとしている。今のうちに何とかせねばならぬ。ここで、マッカーサーの政策は社会主義国(ソ連・中国)
との対決には、G2の線に一本化されねばならないと変わるようになった。既に強大となった日本の急進労働運動もなんとかして食い止めなければならない。更に日本のあらゆる機関を一朝有事の態勢に持って行かねばならない。そのためには、自分の手で育成した日本の民主的な空気を至急方向転換させる必要がある。それには、日本国民の前に赤を恐れるような衝撃的な事件を誘発して見せる、或は創造する必要があった。マッカーサーの支持を得たGHQの参謀第二部はそう考えたであろう。
 7月5日の下山事件を契機として、三鷹事件、横浜人民電車事件、平事件、松川事件などが相次いで起ってのち、G2がGSとの闘争に勝ち、GSの実力者ケージスが本国に送り返され、GHQがその全機能をあげて右旋回に一本化した事実を思い合わせると、G2部長ウィロビーの考えが分かってくるのである。
 従ってこのような考えを持ち実行に移すにはここに謀略が必要であった。G2にはCIC(対敵諜報部隊:Counter Intelligence Corps)という強力な情報機関がある。ウィロビーはこれを全国的に動かしたに違いない。従ってシャグノンもこのCIC関係を利用し、決戦の迫りつつあった対国鉄労組の作戦に利用したと思われる。
 日本各地のCIC機関はこのG2キャップの線に沿って活動した。その情報は事細かにウィロビーに報告されたであろう。情報は只単に日本政府の高官や幹部官僚の個人的な動静のみならず、自国人のGHQ要人にまで及んでいたのである。シャグノンもまた、このCICの情報ネットの中に身を縛られていたのである。
 従ってシャグノンは下山が国鉄総裁候補になると、情報機関から下山がどのような経歴を持ち、どのような友人を持ち、どのような政党と関係があるか、或は後援者は誰であるかを悉く知らされていたに違いない。そして初めて下山の総裁就任をOKしたのであった。


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