真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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シリア領土でのISISや傭兵武装集団戦闘員の訓練

2024年04月25日 | 国際・政治

 戦後、民主化されたはずの日本の政治や報道の右傾化には、目に余るものがあると思います。ちょっと海外の報道に接すれば、そのことが、分かります。 

 地域の視点を重視する報道機関、「The Cradle」は、先日、

ISIS kills Palestinian fighters in Syrian desert” という、下記のような情報を流しました。

https://thecradle.co/articles-id/24478 

 そして、 

The extremist group has stepped up its attacks on pro-Syrian forces since the beginning of Israel's war on Gaza 

 At least 20 fighters from Liwa al-Quds, a Palestinian armed group supporting the Syrian army, were killed when their bus was ambushed by unknown militants in the eastern countryside of Homs Governorate in Syria, Sputnik reported on 19 April.”

 と報じました。パレスチナの戦闘員20人が、バスで移動中、イスラエルのガザ攻撃の開始以降、アサド政権側の勢力に対する攻撃を強化していた過激派組織ISISに待ち伏せされて殺害されたというような内容です。

 また、見逃せないのは、シリアの合意なく、シリア領土に基地を設け、周辺を勝手に保護地域にして、アサド政権側の勢力を近づけないようにしているアメリカ軍によって、そのISISや傭兵武装集団戦闘員訓練されているという事実です。重大なことなのに、日本では報道がありません。

The Badia desert near Al-Suknah lies north of the 55-kilometer “protected” area surrounding the illegal US military base at Al-Tanf on the Syria–Iraq–Jordan border. 

Pro-Syrian forces are not allowed to enter the protected zone and are bombed by US warplanes if attempting to do so. 

The Syrian and Russian governments have accused the US of training militants from ISIS and other mercenary armed groups in the protected zone and allowing them to use it as a base for attacks on Syrian forces elsewhere in the Badia desert region.

 こうした事実が報道されないと、ウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ戦争の真相は、正しく理解できないと思います。世界中に基地を持つアメリカという国の対外政策や外交政策の実態は、こうした事実を踏まえることによって、はじめて客観的にとらえることができるようになるのだと思うのです。

 

 「ブチャの虐殺」が、ロシアを恐ろしい侵略国であり、話し合うことのできない悪魔のような国であると思わせるために、アメリカとウクライナによって画策されたとすれば、世界情勢の認識は、180度変わるだろうと思います。そして海外では、現にそうした指摘が数多くなされいることを見逃してはならないと思います。

 噂や、特定の国の主張をそのまま報道することなく、客観的事実を自ら取材したり、確認したりする努力をしなければ、その報道は、読者を欺瞞し、時には、犯罪に加担させたりする報道になると思います。

 戦時中の日本の報道が、そのことを示しているのに、現在の日本は、再び、大本営発表に変わって、アメリカ政府発表を、連日、何の検証もなく流しているようなので、とても心配になるのです。

 

 ウクライナ戦争の解説にあたった学者やジャーナリスト、また、安全保障の専門家と言われる人たちも、毎回ほとんど同じで、まるでホワイトハウスから派遣されたかのような解説に終始し、戦争の背景や原因について、日本政府やアメリカ政府と異なるとらえ方や考察をする人はほとんどいませんでした。

 また、イスラエル・パレスチナ戦争の背景や原因についても、深く掘り下げた報道に接することもほとんどありませんでした。だから、報道によって、ハマスに対する理解やイスラエル・パレスチナ戦争の理解を深めた日本人はほとんどいないのではないかと思います。

 だから、現在の日本の報道は、何を報道するかという面でも、どのように報道するかという面でも、深刻な状況に陥っていると思います。

 423日、朝日新聞は、「ひと」という欄で、赤根智子氏をとりあげました。「日本で初めて国際司法裁判所(ICC)の所長に就任」と題されていていました。そこに、

世界の人権侵害を追及してきた。233月にはウクライナに侵攻するロシアのプーチン大統領への逮捕状発行の審理に携わった。報復としてロシアから指名手配を受けたが、「証拠に基づいて判断した結果。覚悟は日本の検察官と同じ」

 とありました。でも、どんな証拠に基づき、どんな審理をしたのか、と私は疑問に思いました。ウクライナの人たちの証言やウクライナの人たちの提出した証拠だけで判断し、逮捕状が発行されたのではないかと思ったのです。日本国内の裁判でも、被害者側の証言や被害者側が提出した証拠だけで、逮捕状が発行されることはないのではないかと思います。

 逮捕状が発行されたときの報道は、国際刑事裁判所(ICCが、

ロシア軍がウクライナの占領地から違法に子どもを連れ去った戦争犯罪の容疑の責任があるとして、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したと発表した。ICCは、国家間の紛争や国内紛争で戦争犯罪や非人道的行為など最も重大な罪を犯した個人を国際法に基づいて訴追、処罰する。今回は、ロシア大統領府で子どもの権利を担当するリボワベロワ大統領全権代表にもプーチン氏と同じ容疑で逮捕状を出した。ロイター通信によると、ウクライナ侵攻をめぐって逮捕状が出るのは初めて。

 というような内容ばかりで、証言や証拠について踏み込んだ報道に接することはありませんでした。

 

 でも、ロシア側は、ドネツク・ルハンシク州の親ロシア派が実効支配する地域で、孤児院や社会福祉施設にいた子ども、また、父親が強制的に動員され、母親も出稼ぎに行くなどして、養育困難に陥っている子ども、さらに、祖父母や知人に預けられ、経済的な理由などから養育に適切な環境でない状況にある子ども親が収容所に送られるなどして、親と離ればなれになっている子どもなどをロシアに移送し、保護したといいます。だから、ロシア側は、「連れ去りではなく、保護」だと言っているのです。

 そして、ウクライナ戦争開始後、ロシアに「連れ去られた」といわれていた子どもの一部が帰還していることも、忘れてはならないと思います。

 

 私が問題だと思うのは、対処をしたと言っているプーチン大統領に逮捕状が発行されているのに、なぜ、ガザの子どもたちを現に殺害しているイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状が発行されないのか、ということです。

 ロシアは、ウクライナの子どもたちを連れ去って殺害しているわけではありません。保護し、養育していると言っているのです。

 でも、イスラエルは、多くの子どもたちを日々殺害し、餓死させているのです。

 だから私は、国際刑事裁判所(ICC)も、すでにアメリカの手によって、西側諸国の立場で、国際法を利用する組織にされてしまったのではないかと思うのです。

 先月、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区で、子供たちが餓死している”と述べたことが報道されました。WHOのチームが、ガザ地区北部のアル・アウダ病院カマル・アドワン病院を視察し、「ぞっとする調査結果」をソーシャルメディアに投稿したともいうのです。

 それによると、食料不足により子供10人が死亡するなど、「深刻なレベルの栄養失調」が見られた。また、複数の病院が破壊されていたというのです。

 そして、ガザ地区の子ども12300人超がすでに死亡しており、4年間の世界紛争地を上回る数だというのです。でも、ネタニヤフ首相は、アメリカからの支援を受けて、ガザの攻撃を続けています。ネタニヤフ首相に逮捕状が発行される気配は、まったくありません。

 今回の特別軍事作戦(軍事侵攻)の目的として、ウクライナ東部に住むロシア系住民の保護を掲げ、子どもたちを戦闘地域から避難させるのは当然と主張しているプーチン大統領に逮捕状を発行しておきながら、パレスチナの子どもたちを日々殺害し、餓死させているイスラエルのネタニヤフ首相には、何の対応もしない国際司法裁判所(ICC)の所長になることが、「日本で初めて国際刑事裁判所(ICC)の所長に就任」などといって誇れることなのでしょうか。

 

 

 

 

 

 


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