真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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日本は、戦争に突き進むのか

2024年06月03日 | 国際・政治

 日本の主要メディアは、すっかりアメリカに取り込まれ、アメリカの戦略に基づいた報道をするようになってしまったと思います。

 しばらく前、栃木県那須町で夫婦の遺体が見つかった事件のニュースが、朝、昼、晩とほとんど同じ内容で毎日続き、辟易しました。遺棄現場の上空からの映像を何度見たかわかりません。こんなニュースがくり返される意味は何なのかと考えさせられました。投資詐欺であるとか、振り込め詐欺のように、視聴者が巻き込まれる心配がある事件の報道は、同じ内容でくり返されてもそれなりの意味があると思います。でも、最近の日本のニュースは、事件や事故、あるいは日本のスポーツ・チームや選手の活躍に関するものが大部分で、日本の将来や国民全体に関わるような内容のニュースは、ほとんど見られなくなってしまったと思います。

 先だっても、大勢の人たちが参加する「パンデミック条約改定反対デモ」が実施され、「WHOから命を国民まもる運動・大決起集会」では、参加者が、  自由を奪うな!」「自分の健康は自分で管理する!」などと声をあげていたのに、テレビのニュース番組では、一度も見たことはないのです。

 政府が進める沖縄県名護市の辺野古新基地建設の状況や自衛隊の南西シフトに関わる現場からのニュースもほとんど見たことがありません。でも辺野古新基地建設や自衛隊の南西シフト反対する集会が、国会前でも開かれているのです。それは、那覇市の「県民平和大集会」に全国各地で連帯する行動だったといいます。沖縄、鹿児島両県の島民らも参加して、「有事になれば基地のある島が狙われる」「戦争の準備は始まっている」と危機感を訴えているのです。そういう訴えは、沖縄だけの問題でしょうか。あたかも、議論の余地のない問題であるかのように、主要メディアが無視しているのは、やはり、沖縄の問題が、アメリカの戦略に関わっているからではないでしょうか。

 

 私は、下記のような問題も含めて、日本が直面している政治的問題を報じることが、アメリカの戦略に反するからだろうと考えるのです。

 アメリカは、何としてもアメリカに追随しない中国やロシアの勢力拡大を止めなければ、国家が維持できなくなる状況に陥っているのだ、と私は思っています。

 ウクライナ戦争に関しては、先日、バイデン米大統領がウクライナに供与した武器使ってロシア領攻撃を限定容認したといいます。現状ではウクライナ側が苦しい戦いになっているからではないかと想像しています。あくまでも、武力で決着させようとしているように思います。

 また、アメリカは日本や韓国、フィリピンなどを巻き込んで、中国に対する圧力を強めています。先だっては、台湾と海軍の合同訓練を実施したことが報道されました。また、日米韓の協同訓練も計画されており、軍事的に対決する姿勢を強化しながら、口では「法の支配」を語るのですから、呆れます。中国が台湾近海で法に反することをしているのであれば、きちんとそれを指摘し、法的解決を目指すことが、「法の支配」の道だと思います。でも、現実問題はそういうことではないのだと思います。戦争屋といわれるアメリカは、今までと同じように、武力で解決しようとしているのだと思います。

 現在、アメリカが関与しなければ、中国が台湾のみならず、世界を敵に回すような武力攻撃をする理由などない、と私は思います。武力を行使し、中国を孤立させて、自らの覇権と利益を維持しようと躍起になっているのはアメリカだと思います。だから、台湾有事に関しても、何らかのでっち上げ事件が工作されるのではないかと心配しています。

 

 ふり返れば、国際社会が中華人民共和国を国連加盟国として承認し、国連安全保障理事の常任理事国として認める一方、台湾(中華民国)を国連から追放することしたのも、当時のアメリカの対中政策がもたらしたものだったと思います。当時のアメリカの対中政策における、「一つの中国」を国際社会が受け入れることになったのだと思います。それは、アメリカのニクソン大統領が中国を訪問したときの、「米中共同声明」が示していると思います。共同声明には、下記のようにあるのです。

米国は,台湾海峡の両側のすべての中国人が,中国はただ一つであり,台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は,この立場に異論をとなえない。米国政府は,中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。

 にもかかわらずバイデン政権は、中国を敵視し、台湾にくり返し高度な武器を売却して合同訓練などやっているのです。そういう意味では、アメリカと手を結び、中国を敵視している民進党の頼清徳氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領と同じで、平和的ではない、と私は思います。

 

 私は、日本の平和と安全のためには、日米関係を見直す必要があると思い、日米関係を規定している「日米安保条約」や「日米地位協定」の問題をとり上げているのですが、今回は、「日米地位協定逐条批判」地位協定研究会著(新日本出版社)から、「三 労務の調達の肩代わり。為替管理の免除とドル軍票の使用」を抜萃しました。放置してはいけない内容だと思うのです。

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           三 労務の調達の肩代わり。為替管理の免除とドル軍票の使用

 

   1 労務の調達の肩代わり

 地位協定第124項は、米軍と第15条の諸機関が必要とする日本人従業員は、米軍と同機関の費用負担で日本政府が雇用し、米軍と同機関に提供する間接雇用の制度を定めている。米軍に雇用される日本人従業員を基本労務契約従業員(Master Labor ContractMLC従業員)、第15条諸機関に雇用される日本人従業員を諸機関労務従業員(Indirect Hire AgreementIHA従業員)と呼んでいる。前者は19516月に日米両政府間で締結された基本労務契約によって、後者は6111月に両国政府間で締結された諸機関労務協約によって、それぞれ、間接雇用制度に移行した。それまでは、米軍については、日本政府の費用負担で日本政府が従業員を雇用し、米軍に提供するという形態であった。第15条諸機関については、同機関の費用負担で同機関が従業員を雇用する直接雇用の制度であった。なお、基本労務契約は579月に新基本労務契約に改定されている。

 日本政府が労務の調達の肩代わりをするにあたっては、これらの従業員の「雇入れ、提供、解雇及び労務管理、給与の支給並びに福利厚生に関する事務」は都道府県知事に対する国の機関委任事務とされている(地方自治法別表第31、<33>)。この機関委任事務は、沖縄県や神奈川県などの米軍基地所在都道府県に多大な負担を強い、地方自治の本旨にとって大きな障害になっている。

 また、日本政府は516月制定の特別調達資金設置令により、「米軍や15条諸機関の需要に応じ行う物及び役務の調達を円滑に処理するため」(第1条)、特別調達資金の制度を設置し、米軍にたいして資金の立て替え払いの便宜まではかっている。

 さらに地位協定第126項は、保安解雇の制度まで定めている。保安解雇の基準は、「従業員が、米国側の保安に直接的に有害であると認められる政策を採用し、又は支持する破壊的団体又は会の構成員であること」(新基本労務契約第9章1b)などとされているが、実際は日本共産党などに加入したり、協力したりすることを理由とする解雇を容認する基準である。そして保安解雇の場合には、裁判所は労働委員会の解雇無効、原職復帰の決定が確定しても、米軍や第15諸機関は、その労働者の就労を拒否できるとされている。保安解雇の制度は、米軍の治外法権的特権と日本政府の従属的立場を象徴的にしめしている。

 

   2 為替管理の免除とドル軍票の使用

 外国為替管理とは、政府が外国為替の取引を管理することで、日本の外国為替管理は、194912月に制定された「外国為替及び外国貿易管理法」にもとづいて実施されている。ところが、地位協定第192項は、米ドルもしくはドル証券で、米国の公金であるもの、米軍人、軍属が勤務や雇用で取得したもの、米軍人、軍属とそれらの家族が日本国外の源泉から取得したものの、日本国内または国外への移転を、日本政府の外国為替管理の対象外とすると定めている。

 ところで、NATO地位協定第14条は、「軍隊、軍人、軍属とそれらの家族は、派遣国と受入国の双方の国の外国為替規制に服さなければならない」(1項)、「派遣国と受入国の外国為替当局は、軍隊、軍人、軍属とそれらの家族に適用すべき特別な規制を発することができる」(2項)と定めている。このNATOの地位協定第14条とくらべて、日米地位協定第19条では、受入国はすなわち日本の権利が尊重されていないことは、条文を比較するだけで明らかである。例193項は、米国当局は、米軍人らによる特権の乱用や日本政府の外国為替管理の回避を防止するため適当な措置をとらなければならないと定めているが、それはもっぱら米国当局の裁量に委ねられている。

 また、地位協定第20条は、米軍基地内に限定してであるが、合衆国によって「認可された者」がドル表示の軍票を「相互間の取引のため使用することができる」と規定している。軍票とは「戦地・占領地で、軍隊が通貨の代用として使用する手形」(広辞苑)のことである。「認可された者」は、合衆国軍隊、軍隊の構成員、軍属、それらの家族、軍事用販売機関(PK)、軍事郵便局、軍用銀行および米軍との契約者をさす。しかし、「外国為替管理令等の臨時特例に関する政令」(1952428日、政令127号)第4条第1項の大蔵大臣が指定する者として、「本邦に派遣された合衆国の大使、公使、領事その他これに準ずる使節及びその随員その他本邦にある合衆国の大使館、領事館その他これに準ずる施設に雇用され、又これらに勤務する合衆国の国籍を有する者(通常本邦に住所を有する者を除く)」(同日、大蔵省告示、752号)も軍票を自由に使用できると拡大されている。

 外務省は軍票が69年以降事実上使用されておらず、現在はドルが使用されている」と言うが、外務省の次のような見解は批判し、軍票使用を禁止させなければならない。

(1) NATO地位協定自体には軍票の規定がなく日米地位協定であるのは「わが国の為替管理の状況からして実際上便宜がある」ことによるという。これでは説明にまったくなってない。どのような便宜があるのか具体的に論証しなければならない。

2) 軍票銀行施設が軍票管理のため認められたものであれば、軍票が使用されていない現在、軍用銀行が米ドルを取り扱うことは認められるではないかとの疑問がありうると自問し、実際ドルのみ流通することがあっても、「制度として軍票の使用が認められる建前となっている限り、〔米軍当局は、日本政府の判断により必要があれば、いつでもドルの使用を廃止して軍票のみを使用させることになっている〕、軍用銀行施設は、制度上軍票を管理する任務を負っていると考えられるので」規定に問題がないという。

 これは軍票使用の徹底した弁護論であり、その使用のアメリカの便宜の確保擁護論である。

3)チェース・マンハッタン銀行等の軍用銀行は、日本の銀行法に服していないが、日本の金融市場から全く隔離した活動を行っているのであるから、日本がこれにたいする監督を行う意義がないと軍用銀行の存続を当然視している。

 これらは基地の「排他的使用権」に対応する「経済的租界」の容認と言わざるをえない。日本国内における通貨=経済的主権にかかわわる重大な問題である。

 軍票の実態に関するデータはまったく公表されていない。日本政府はそれを公表すべきであり、今後の「有事」などの際に米軍が大量に発行する可能性もあり、看過できない。

 なお、「ドイツ連邦共和国に駐留する外国軍隊に関して北大西洋条約当事国間の軍隊の地位に関する協定を補足する協定」(ドイツ補足協定)に軍票に関する規定がある(第69条)、それによれは軍隊・軍属の当局は「派遣国の通貨で表示される軍票を輸出し、輸入し及び所有する権利を有」し、「軍隊構成員、軍属および家族に対して」「派遣国の通貨で表示される軍票」を分配することができるが、その制度がドイツ政府の協力のもとに採用されている場合に限って認められる、ときわめて限定的であること、軍用銀行の規定がないことを付言しておきたい。

 

 

 

 


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