真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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イスラエルに対する制裁は?

2024年05月31日 | 国際・政治

 戦争に関しては、一つの事実に対する対戦国相互の主張が、しばしば真っ向から対立します。それはどちらかが嘘を語っているということです。したがって、真実を知るためには相互の主張をじっくり聞き、事実を確認しながら、とことん問い詰めていく必要があると思います。片方の主張を鵜呑みにしてはいけないのです。

 でも、ウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ戦争では、ロシアやハマスの主張は、あまり報じられなかったと思います。だから、西側諸国では、ウクライナやイスラエルの主張が真実であるかのように受け止められた面があると思います。特にウクライナ戦争では、プーチン大統領の主張やロシア人の考え方は、直接知ることができず、ほとんどウクライナやアメリカを通して伝えられたので、かなり偏っていたと思います。

 それは、アメリカの戦略の結果だと思います。 だから、私は、世界の平和、日本の安全のためには、日米同盟の強化ではなく、逆に、日米安全保障条約や日米地位協定の破棄が必要だと思っています。

 下記の抜粋した日米地位協定の内容をきちんと受け止めれば、誰でも思い至る結論ではないかと思います。アメリカは、日米安全保障条約と日米地位協定と、日米合同委員会をうまく使い分けて、巧みに真実を曖昧にし、日本をアメリカのために利用していると思います。

 

 ガザでは、35000人を越えるパレスチナ人が犠牲になっても、イスラエルの攻撃が続いているので、やっと国際司法裁判所(ICJがイスラエルに対し、暫定的な措置としてガザ地区南部ラファでの攻撃を停止するよう命じたのだと思います。

 日本政府も、「当事国を法的に拘束するものであり誠実に履行されるべきもの」として、イスラエルは従うべきとの考えを示しましたが、ウクライナ戦争におけるロシアに対する対応とのあまりの違いに愕然とします。

 イスラエルに対しては、いまだに、何の制裁もありません。ロシアに対しては、即座にオリンピックからロシア選手を排除したのをはじめ、あらゆるスポーツの国際組織からロシア人を排除しました。また、ロシア人の排除は、芸術や学術その他の領域にも及びました。経済制裁もさまざまな領域に広がりました。多くの企業が取引を停止し、ロシアから撤退しました。制裁は私的企業も対象となり、個人資産の凍結にも及んだときいています。

 だから、ガザの惨状について、今頃、「人道状況の改善や事態の早期に沈滞化に向け引き続き外交努力を粘り強く積極的に行っていく」などと言って、とぼけていてはいけないと思います。

 立場が逆であれば、即罪にアメリカを中心とする有志連合のパレスチナ爆撃が開始されていたのではないかと想像します。

 南米のボリビアは、イスラエルのガザ攻撃開始後間もなく、イスラエルとの国交断絶を表明しました。また、少し遅れてコロンビアも国交を断絶しています。イスラエル大使を召還した国もあります。日本は、なぜ動かないのか。西側諸国でイスラエルに対する制裁の話がいまだにないのは、やはり、イスラエルを支えるアメリカの力の大きさを示しているのではないかと思います。 

 

 国際司法裁判所(ICJ)のイスラエルに対するラファ攻撃即時停止暫定措置命令にかかわって、二つの見逃すことのできない報道がありました。

 一つは、昨日、yahooが報じた、下記のニュースです。

イスラエルの情報機関の前長官がICC=国際刑事裁判所の捜査を妨害するため、前主任検察官を脅迫していた疑いがあることが分かりました。 イギリスのガーディアン紙は28日、イスラエルの情報機関モサドのコーヘン前長官が、ICCのベンスダ前主任検察官を脅迫し、圧力をかけていた疑いがあると報じました。 イスラエルによるパレスチナ自治区への戦争犯罪をめぐる捜査を妨害することが目的とみられ、ベンスダ氏はICCに「コーヘン氏がイスラエルの捜査を断念するよう何度も圧力をかけてきた」と報告しているということです。 また、ここ数か月の間にもモサド側は捜査を引き継いだカーン主任検察官など複数のICC職員に対し、メールの傍受や盗聴をしていたとみられています。 ガーディアン紙によりますと、モサド側による介入工作はベンスダ氏がパレスチナへの戦争犯罪に関する予備調査の開始を発表した2015年から始まりました。 イスラエル側は報道について、「根拠のない虚偽の主張だ」と否定しているということです。 ”

 こうしたことは、イスラエルの歴史を調べれば、不思議ではないことがわかると思います。ユダヤ人武装組織イルグンは村民254人を虐殺したことがあるのです。そのイルグン軍の指導者はのちのイスラエル首相ベギンです。その流れを汲むネタニヤフ首相は、「ハマスを根絶やしにする」と言っているのです。だから、イスラエルは、「ハマス殲滅」を掲げつつ、ほんとうは「パレスチナ人殲滅・追い出し作戦。」を展開しているのだと思います。

 「アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図」(講談社現代新書)の著者、 高橋和彦氏シオニズムを裏返すとナチズムになる」と書いていますが、噛み締める必要があると思います。

 

 もう一つは、The Gradle が報じた、下記のニュースです。

 ジュネーブ国際平和研究所が、国際刑事裁判所(ICC)に対し、ガザ地区におけるイスラエルの戦争犯罪への共謀について、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長を捜査するよう要請したというような内容です。

 イスラエルの戦争犯罪に、西側諸国が加担しているということだと思います。

The Gradle 

The Geneva International Peace Research Institute (GIPRI) has submitted a request to the International Criminal Court (ICC) to investigate the President of the EU Commission, Ursula von der Leyen, for complicity in Israeli war crimes in the Gaza Strip.”

 

 また、The Gradle は、下記のようなメキシコの動きも伝えています。怒りが世界中で爆発しているように思います。

 下記は、「日米地位協定逐条批判」地位協定研究会著(新日本出版社)から、「5 税金の免除などの経済的特権供与」の一部を抜萃しました。

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                    5 税金の免除などの経済的特権供与

                         ── 第1115条。1920

 

 現在日本には132の米軍基地(自衛隊との共同使用施設を含む)があり、米軍人約47000人、軍属約5000人とそれらの家族がいる。首都東京に置かれている横田基地は、米軍が世界各地に出撃するための輸送・補給中継基地として強化され、横須賀は空母インディペンデンスなどの、佐世保は強襲揚陸艦ベロー・ウッドなどの母港にされ、沖縄と岩国には第三海兵遠征軍が駐留している。在日米軍基地は、アメリカが世界各地の紛争に介入する場合の世界でもっとも突出した出撃拠点になっており。在日米軍は、極東地域はもとよりアジア太平洋地域、さらには地球的規模で活動するに至っている。  

 在日米軍は、軍隊としての活動をおこなうために、また米軍人、軍属とそれらの家族の生活を維持するために、膨大な物質を日本国内に持ち込み、あるいは日本国内で調達し、さらには持ち出す事などを必要としている。これらの米軍の活動や米軍人の生活の便宜のために、地位協定は第11条以下で各種の税金を免除することを中心に、日本政府による労務の調達の肩代わりや為替管理の免除、ドル軍票の使用など、米軍および米軍人、軍属とそれらの家族にさまざまな経済的特権を供与している。

 この点で日本は、国家主権の一部である課税自主権などの経済主権をアメリカによって大きく侵害されている。

                一 各種税金の免除

   1 関税及び税関検査の免除

 地位協定第11条は、米軍および米軍人 軍属とそれらの家族が輸入する、表26種類の物品にたいして関税その他の課徴金を免除することにしている(2項、3項、「地位協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律」第六条1から6号)。関税とは、外国からの輸入財貨に課す税金のことである。これらの品ついては、内国消費税(消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、石油税)も免除される(関税法等臨時特例法第7条)。したがって、米軍人らは、PXなどの軍人用販売機関などで、関税や消費税などを免除されたやすい物品を入手できる。これらの物品は、再輸出するさいにも関税その他の課徴金を免除されることになっており(第117項)、日本の国境をこえての米軍の活動を側面から保障している。

 関税が免除されることにともない、①米軍の命令により日本に入国し、又は日本から出国する米軍部隊の携行品、②米軍の公用の封印がある公文書、③米国政府の船荷証券により船積みされている米軍に仕向けられた軍事貨物、④米国軍事郵便線路上にある公用郵便物の4種類の物品について。税関検査も免除されている(第115項、関税法等臨時特例法第九条14号)。税関検査とは、輸出入の禁制品が含まれていないかなど、輸出入貨物の検閲、取り締まりを行うことである。ところで、表3のとおり、米軍人らが米国軍事郵便の個人宛小包などを使って、短銃や銃弾、麻薬を密輸入しようとする事件が摘発されている。これらは税関検査があるから摘発できるものであるが、税関検査を一切免除されている米軍部隊の携行品や軍事貨物、公用軍事郵便を利用して、禁制品の密輸入がなされていないかなど、その実態はいっさい不明である。

    2 国税と地方税の免除

 米軍や米軍人にたいする国税と地方税の免除は、地位協定第1215条と、同条項をうけた「地位協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律」、「地位協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律」に定めてある。

1) 地位協定第121項は、米軍また米軍の公認調達機関は、日本国内で自由に物品・役務を調達できることを定めるとともに、日本政府を通じて物品・役務を調達できることも定めている。同条31文は、これらの物品・役務の調達について、国税たる物品税、通行税、揮発油税、地方税たる電気ガス税を免除することを定めている。33文は、「両政府は、この条に明示していない日本の現在の又は将来の租税」について、「この条の目的に合致する免税又は税の軽減を認めるための手続について合意する」と定めている。この規定にもとづき、今日までに、米軍また米軍の公認調達期間の物品・役務の調達について、国税たる地方道路税、石油ガス税、石油税、消費税、地方税たる軽油引取税を免除することが認められている。なお19894月の消費税の導入にともない、31文中の物品税、通行税、電気ガス税は消費税に吸収されて廃止されている。32文は、最終的には米軍が使用するため調達される物品・役務についても、揮発油税などが免除される旨を定めているが、この規定をうけて、後述する個人契約者、法人契約者の物品、役務の調達についても。揮発油税、消費税の免除など、米軍の調達の場合と同様の税金の免除が認められている。

(2) 以下略

              二 税金免除がもたらす損害

 

 地位協定による米軍や米軍人らにたいする税金免除の全容とその総額は、米軍へは税関検査が免除されるとか、米軍基地への立ち入りが禁止されているとかの状況の下では、ほとんど明らかになっていない。日本政府がそれらを把握する努力をしているかどうかも、きわめて疑わしい。最近では、日本の石油各社が、1989年から95年の7年間に在日米軍に販売したジェット燃料油、灯油、軽油。合計858365キロリットルにかかる石油税や軽油引取税などの石油諸税が、合計で226億円も免除されていることが明らかになっている程度である(「在日米軍の石油製品 226億円も免税」「赤旗」9692日付)。これらの取引には、このほかに消費税も免除になっている。

 ここでは、地方自治体に大きな損害を与えている米軍人らの私有車両に対する自動車税、軽自動車税の大幅減税と、米国が使用している国所有の固定資産や米軍資産にたいする固定資産税、都市計画税の免除の問題についての述べる。

    1 自動車税、軽自動車税の大幅減税

1) 地位協定第131項と地方税法臨時特例法第3条は、米軍所有の車両については、自動車税、軽自動車税を免除しているが、そのことはもとより、米軍人の私有車両にたいする自動車税、軽自動車税を免除することを意味するものではない。地位協定第133項および146項は、「この規定は」、米軍人、軍属とそれらの家族および個人契約者、法人契約者とそれらの被用者の「私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めているものではない」と定めている。

 ところが、日米両政府は19543月の合同委員会で、「行政協定第13条第3項及び第145項の規定(地位協定第133項及び第146項とまったく同じ規定)に関し、日本国には各種の私有車両による道路の使用度に対応する税率がないので、米軍人らは、私有車両による道路の使用に関して、つぎに掲げる金額を納付すればよいとして、米軍人らは、普通トラック以外の私有車両については自動車税や自動車税を大幅に減額した金額を納付すればよい旨を合意している。この日米合同委員会の合意は、その後、何度か改訂され、最近では842月に改定されている。

 そして、日米合同委員会の合意もとづく自治事務次官通達(最近では843月の通達)をうけた「米軍人等の所有する自動車に対する自動車税の賦課徴収の特例に関する(都道府県)条例」と「米軍人の所有する軽自動車に対する軽自動車税賦課徴収の特例に関する(市町村)条例」では、地方税法第147条で定める自動車税と同法第444条で定める軽自動車税の税額を、普通トラックに対する税額のぞいて、大幅に減額することを定めている。その減額状況は、表5のとうりである。この減額措置による税収の減収額は、沖縄県の調査によれば、沖縄一県だけで年間798699000円にもなる。また、沖縄、神奈川、青森、東京、長崎、山口の5県の減収額は、年間合計で18億円になる(自動車税、こんなに安い」「赤旗」96922日付)。

 以下略

ーーー

 一般民間車両と米軍人・軍属・家族の私有車両の自動車税比較の表から一部抜萃

       米軍人・軍属・家族  日本国民

 小型乗用車   6500円     29500円~39500

 普通乗用車   19000円     45000円~111000

ーーー

   2 固定資産税、都市計画税の免除と基地交付金

1) 国が所有する固定資産で米軍や自衛隊が使用している固定資産については、固定資産がある市町村にたいして、固定資産税(課税標準額の1.4%が標準税率)や都市計画税(課税標準額の0.3%が上限税率)、国有資産等所在市町村交付金(国有財産台帳価格などの)1.4%が、一切支払われていない。

 この間の法的仕組みは、つぎのとうりである。地方税法では、市町村は、国や都道府県などの地方公共団体に固定資産税や都市計画税を課すことができないと定めている(第3481項、第702条の21項)。しかし、「これらの固定資産といえども、当該資産所在地の市町村の消防、道路その他の事業や施設によって受益していることは、現に固定資産税を課されている固定資産と全く同様である」自治省全務局編『地方税制の現状とその運営の実態』地方財務協会、70年、591頁)。そこで19564月に制定された「国有資産所在市町村交付金及び納付金に関すする法律」では、国や都道府県などの地方公共団体は、「当該固定資産を所有する国又は地方公共団体以外のものが使用している固定資産」などの固定資産について、所在地市町村に対して、国有資産等所在市町村交付金を交付する(第211号など)と定めている。交付金額は、国有資産台帳価格などの1.4%とされている(第3条)。

 この交付金・納付金法第211号の規定によれば、国は、「国以外の者である」米軍が使用している国所有の固定資産について、所在市町村に対して、市町村交付金を交付しなければならないことになる。ところが、ここでも米軍を聖域視する考えのもとに除外規定を定めて、交付金・納付金法第226号は、国は、「地位協定の実施に伴う国有の財産の管理に関する法律」第二条の規定により、米軍に使用させている固定資産については、市町村交付金を交付しなくてもよいと定めている。

2)米軍が使用している国所有の固定資産について、固定資産税や市町村交付金が支払われていないということは、固定資産が所在する市町村がこうむる損害は莫大な金額になる。また、米軍や米軍人らに対する市町村税の免除についても、市町村は多大の損失をこうむっている。これらの地方自治体の不満をそらし、政府が自治体をコントロールしようとして導入されたのが、575月制定の「国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律」にもとづく基地交付金の制度である。

 基地交付金は、国所有の米軍が使用する固定資産と自衛隊が使用する固定資産(一部)を、所在する市町村にたいし、「毎年度、予算で定める金額の範囲内において」交付するとされている。(助成交付金法)1条)。「予算で定める金額の範囲内」という制約があり。基地交付金は、地方自治体の最低の損失をカバーするものにも、およそなっていない。しかも、政府によって基地政策の道具に使われているのである(前掲『地方自治体と軍事基地』4148頁参照)。

 


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