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勇気と見識ある・東京新聞社説

 

勇気と見識ある、東京新聞社説(2月7日)

エネルギー対策・都市こそ国に先駆けて

 自治体から国を変えよう。これが環境エネルギー問題など地球規模の課題解決に向けた世界の潮流である。

 3・11後、東京にはどんな選択肢があるのだろう。

都民でなくともよく知りたい。

 「国の施策を待てば手遅れになる。都市こそ率先して動きだすべきです」ベルリン自由大学教授のミランダ・シュラーズさんの言葉を思い出す。ドイツのメルケル首相に脱原発を決断させた、安全なエネルギー供給に関する倫理委員会メンバーだ。

 国連の枠組みによる温暖化対策の交渉は、国益が複雑に絡み合い、遅々として進まない。それをしり目に欧州では、自治体同士が国境を越えて連携、協力し、それぞれの地域で率先して対策に乗り出す試みが活発になっている。

 2008年に始まった「欧州市長誓約」は温室効果ガスを2020年までに1990年比20%以上削減すると宣言した自治体の連合だ。昨年末の参加は約4500自治体と10倍に膨らんだ。主役は自治体なのである。

米国の連邦政府は温暖化対策には消極的だ。だが、ニューヨーク市では2030年に2005年比30%削減という高い目標を掲げ、大都市の特徴でもある高層ビルの省エネ化政策に取り組んできた。きっかけは、2012年夏の五輪誘致運動だった。

 韓国政府は原発増設に向かう。ところが首都ソウル市は、自然エネルギーを普及させ、原発を一基減らす運動を続けている。

 東京は2008年、国に先駆けて大規模事業所に温室効果ガスの総量削減義務を課し、余剰分を売買出来る排出量取引制度を開始した。

 温暖化対策とエネルギー政策は表裏一体だ。膨大なエネルギーを消費する大都市こそ、国の政策を牽引するエンジンなのだ。

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3・11以降東京は、省エネ、自然エネルギーによる豊かな暮らし、電力の地産地消によるクリーン経済の育成など、新しい都市モデルを強く打ち出した。

 福島原発事故では大都会の膨大な電力消費を地方の巨大な施設が担う構図があらわになった。

 東京の都市モデルが実現されて、大都市の形と暮らしが変われば、地方も変わり、日本も変わる。

 東京都民はどんな都市エネルギーを選ぶのか。

都知事選の結果は、全国はもちろん、世界に波及するだろう。無関心ではいられない。

 

 

 

 

 

 

 

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