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FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



前エントリー記事の続きである。さて、一目の雲がMACDと近似したものであることを述べた。そこで問題となるのが、一目の雲の種類である。チャートなどでも色分けされることがあるが、一目の雲には二種がある。正式名称を知らないので、仮に以下のようにネーミングする。

a 先行スパン1が上・先行スパン2が下の雲(仮に、ノーマル雲と名付ける)
b 先行スパン2が上・先行スパン1が下の雲(仮に、リバース雲と名付ける)

前エントリーに書いたように先行スパン1は短期MA、先行スパン2は長期MAに相当するので、MACDの計算式である

短期EMA ー 長期EMA = MACD

からすると、

ノーマル雲 MACDのプラス領域
雲のねじれ MACDのゼロ値
リバース雲 MACDのマイナス領域

となる。MACDのプラスとは短期線が長期線より上にあるのだから、上昇トレンドであり、逆に、マイナスは下降トレンドだ。ということは、雲がレジスタンス・サポートとして働くとしても、

ノーマル雲 上昇トレンド 上から下への抵抗・支持性が強い
リバース雲 下降トレンド 下から上への抵抗・支持性が強い

になるはずであり、ノーマル雲とリバース雲では、このように、レジスタンス・サポートとしての性質が異なってくるはずである。もちろん、26日ずらすということがあるので、そのままではないにせよ、雲としての性格の違いはあると考えるべきだろう。このあたり、もし他に考え方や説があるならご教示を御願いしたいところである。


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テクニカルの中でも一目均衡表は特に奧が深いと言われ、実際その用語の特異性から理解しにくい部分が多い。自分もようやくその体系の一部が見えつつあるに過ぎないが、理解したところをちょっと書いてみる。誤っているところなどあったらご教示をお願いしたい。(以下、わかりやすさのため、すべて日足として説明するが、どの時間足でも同じである。)

まず、基準線と転換線だ。これは過去数日間(26日と9日)の高値と安値の中間値であり、通常の終値ベースの移動平均の値と極めて近い。実際に一目にMA26とMA9を上書きで引いてみればあきらかであり、MA26=基準線、MA9=転換線となる。したがって基準線と転換線については通常の長短の移動平均線と同じ扱いができ、デッドクロス・ゴールデンクロスが、均衡表の逆転・好転となる。また、当然、基準線・転換線(長短MA)と価格の交差は、グランビルの法則によって売り買いのシグナルになる。

次に先行スパン1と先行スパン2とそれに挟まれた雲である。これがなかなかわかりにくいが、先行スパン1は、転換値と基準値の中間値を26日先にずらしたものであり、先行スパン2は、52日間の高値と安値の中間値を26日先にずらしたものである。それぞれの値は通常のテクニカルでは何になるかというと、先行スパン1は転換(26)と基準(9)の中間ということで、極くおおざっぱにはMA17に相当する。先行スパン2は、極めて概略ではMA52となる。つまり、やはり長期短期の移動平均の一種であり、同時に雲の厚さはその長短の乖離の幅となる。
 
ところで、一般のテクニカルでは、移動平均の長短の乖離幅のテクニカルとはすなわちMACD(短期-長期)であり、実は、一目の雲は、MACDを26日先にずらしたものと極めて近似しているのである。つまり、MACDがプラスでもマイナスでも、中心から離れて大きな値になるのが雲が厚いことに相当し、MACDがゼロになるあたりが、雲のねじれになるのである。通常のMACDは水平の中央線に沿って描かれるが、長短の移動平均線に沿ってMACDを貼り付けると一目の雲になると考えるとわかりやすい。

26日先にずらすとは、その日に作られた価格のポジションが26日後にどのように作用するかということであるから、雲のねじれや雲が薄いとは、MACDの0(中央値)に近い部分、すなわち相場の転換時に作られた不安定なポジションであるということになるのではないか。(例えば、このユーロドルのMT4チャートで示したように、一目にMACDを同時標示してみると、例えば12月7日あたりのMACD(青線)の0(中央値)が、1月上旬の雲のねじれとなっているということがわかる。そして12月末のMACDのマイナスの大きな値が、左のこの先1月末の厚い雲(金茶色)に相当する。また、雲の色の違いも、MACDのプラス(うす茶色の雲)とマイナス(金茶色の雲)に対応するのがよくわかる。)
 
最後に残った遅行スパンは、価格を26日前にずらしたものであり、26日前の価格で作られたポジションを今日、どのように受けとるか(遅行スパンは今日の価格)ということに焦点を当てたものである。実は、概念的には、遅行させるより26日先行させて先行スパン3とした方がわかりやすかった。そうすれば、雲と同じように、今日の価格が先行スパン3を上抜くかどうかということで、26日後にどう解釈されるかという同じ問題であることが明確であった。おそらく、先行スパン3とすると、チャートの上で雲と重なってしまってわかりにくいので、遅行スパンとしたのだろうが、先行と遅行ということ自体に何か意味があるかのように捉えられてしまうのでその点は良くなかったと思う。ただ、遅行スパンと雲との関係なども論じるとすると、遅行ということに意味も出てくるかもしれない。
 
以上のように一目均衡表の要素を分解して考えると、それぞれの要素自体の特性は理解しやすくなってくるだろう。そして、一目のユニークさは、やはり、雲(MACD的なものを26日未来にずらしたもの)と、遅行スパン(価格を26日過去にずらしたもの)にあるのであり、この二つをまずは重点的に考えるべきものだろう。繰り返すと、雲と遅行スパンとは、そのポジションを作った時の長短MA・MACDの値、および、その時の価格が、26日後の価格から見て、どのように解釈されるかを問題にするテクニカルである。



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テクニカル手法にはいろいろあって、よくFX本にはその分類も示してあるが、どうも自分的にはぴったり来ないので、自分なりの分類をしてみました。ご笑覧下さい。中身の解説はあちこちのサイトにあるので、分類だけを書いてみたものです。こういう分類が自分にはわかりやすいです。(セクション番号は、上位から下位に行くほど桁が増えています。)なお、シングルタイム・マルチタイム云々の用語は自分で作ってみたものです。

1 トレンド系分析

1.1 連続分析
価格の値動きの流れを見る。

1.1.1 トレンドライン
(下降時の)高値・(上昇時の)安値を直線で結ぶもの。(ヒゲ部分を入れる流儀と入れない流儀がある)

1.1.1.1 シングルタイムトレンドライン
ある時間足の中でトレンドラインを引いていく。ごくふつうの手法
1.1.1.2 マルチタイムトレンドライン
複数の時間足(たとえば1時間足と4時間足)にそれぞれのトレンドラインを引き、同時に観察する。(2トレンディ手法など。)

1.1.2 移動平均線(MA)
過去の一定時間の値動きの平均線を書く。これもトレンド観察となる。平均する単位は日足・1時間足・4時間足などいろいろありうる。MAの後の数値は単位時間の単位数。たとえば日足のMA200とは、1日×200で、200日移動平均線。4時間足のMA40とは、4時間×40で、160時間移動平均線となる。また、MAには、単純平均(SMA)と指数平滑平均(EMA)とがあり、EMAの方がよりなめらかとなる。

1.1.2.1 シングルタイムMA
単一の時間のMAを引く。MAと価格との交差・乖離でトレンドの変化を判定(グランビルの法則)。また、MAの動きのパターン分析(3トップなど)。
1.1.2.2 マルチタイムMA
現在主流の方法であり、複数の時間のMAを並行的に引く。MA50とMA200などが代表的。短い時間のMAと長い時間のMAとの交差・乖離などでトレンドの変化を判定。SMAとEMAを組み合わせても可。
1.1.2.3 MACD
長期と短期のマルチタイムのEMAを採取し、その差をMACDとする。マルチタイムMAの乖離率の観察方法をシステム的に数値化したもの(オシレータ系とも言える)。

1.2 幅分析
価格の値動きの幅を見る。

1.2.1 節(ふし)分析
1.2.1.1 サポート・レジスタンス分析
過去の値動きの典型的な幅を観察し、そこを節(下限をサポート・上限をレジスタンス)とする。
1.2.1.2 P&F(ポイントアンドフィギュア)
過去の値動きの典型的な幅だけを、時間軸抜きに観察し、そのパターンにより、節をより明確に見ぬく。

1.2.2 統計的分析
1.2.2.1 ボリンジャーバンド
過去の値動きの平均線からの乖離率の標準偏差によって測定。標準偏差内で使うとオシレータ系とも言える。
1.2.2.2 エンベロープ
過去の値動きの平均線からの乖離率を単純値によって測定。
1.2.2.3 フィボナッチリトレースメント
過去の値動きの中で、フィボナッチ数の比率で将来の値動きの幅を予測。ペンタゴン分析もこれに近い。

1.3 時間単位分析
ある特定の時間を区切ってその値動きのパターン認識による
1.3.1 酒田五法など
ローソク足のパターン分析。陽線・陰線。足の数その他。三山などのパターン。

1.4 一目均衡表
値動きそのものや平均値や最大値の平均を時間をずらして表示する一種の非常に複雑なマルチタイムMA。時間的観察に特徴がある。


2 オシレータ系分析
相場の勢いを各種統計量から数値化したもの。それぞれに特徴がある。

2.1 MACD
過去の短期と長期のEMAの差によって相場の勢いを判定。(トレンド系とも言える)。
2.2 RSI
過去に上昇・下降した時間の値幅の合計から判定(勢いよく推移しているか)
2.3 RCI
過去の時間の順番と価格の上下の順番の相関関係から判定。(順調に推移しているか、でこぼこしているかを見る。)
2.4 ストキャスティック
過去の値動きの中で、当時間の値がどの程度の位置にあるかを判定。

3 サイクル系分析
相場に見られるサイクルを分析。日柄についてはフィボナッチ数を援用。

4 波動系分析
相場に見られる波動のパターンを分析
4.1 エリオット波動
エリオットの発見した波動のパターンを当てはめる。値動きの幅・日柄についてはフィボナッチ数を援用。

(以上)




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以前にもこのテーマで書いたが、もういちどちゃんと考え直して、かなりまとまってきたので、再度書いてみる。
 
為替価格予測で、テクニカルとファンダメンタルのどちらがいいかというのはそれぞれの論者がいて論争が尽きないが、自分の見るところ、どちらも必要だ。最初から為替の話ではわかりにくいので、「明日の気温予測」ということに置き換えて話しを始める。
 
明日の気温を予測するのに、気温の毎日の変化、毎月の変化、毎年の変化などのチャートを元に、このところ毎日やや温かい気候だし、平均気温が上昇しているようだから明日もやや高めだろうなどと考えるのがテクニカル的手法だ。ところが、翌日は南岸低気圧がやってきて雪になって一日氷点下となってしまうなどということもある。もし天気図を見ていれば、雪が予測でき、低温の予測もできていたはずだ。この場合、天気図による予報がファンダメンタル予測となる。ということで、明日の気温の予測は、ファンダメンタル絶対優位であり、テクニカルを使う人はまずいないだろう。昔、天気図がなかった時代には、テクニカル予測がかなり一般的だったようで、その頃のなごりの「三寒四温」などという用語が今も残っている。
 
さて、為替の場合はどうだろう。為替では、様々な経済状況や政治・軍事の世界の出来事がどのように起こるか、そしてそれが為替にどう影響するかがまったくわからないのであり、いわば天気図のない世界である。かすかに遠くに黒雲(経済的事象)が見えることもあるが、それが雨の前兆か雪の前兆かもわからない。ということで、雲の動き(各種指標・要人発言等々)=ファンダメンタルから予測するのはひじょうに難しく、また、為替自体の値動きの平均線など=テクニカルから予測しても気温の場合と同じで予測は不安定となり、いずれも効率は悪いものである。
 
気温予測の場合も、明日ではなく、来年とか5年後となると、もうファンダメンタルはダメでスパコンを使っても来年の1月6日の天気図はさっぱりわからない。二酸化炭素濃度というファンダメンタル要素が気温にどのような影響があるかという注目されている問題もあるが、そんなおおざっぱなことですら、いろいろな意見があることからも現在の気象学のファンダメンタル予測の限界がわかる。したがって気温であっても、長期予測となると、年平均気温の長期推移から予測するというテクニカル手法がメインとなってしまうのである。
 
以上の気温予測の例で、テクニカルとファンダメンタルの論理的位置は明らかになったと思う。気温予測をするのに、天気図が不要という人はいないだろうし、また一方、ここしばらくの気温の変化がわかれば先の予測はやりやすい。為替の場合も、天気図にあたるものを探究する努力も重要だし、チャートから得られる情報を最大限に生かすことも欠かせない。したがって、どちらも重要だという結論になるが、テクニカルとファンダメンタルの相互関係については、上に書いたようなことと理解していれば、混乱が少ないと考えている。このような考察からすると、時に言われる「値動きに全てが折り込まれるのでファンダメンタルは不要だ」とか「テクニカルはまるで占いのようで信頼性がない」などの主張は誤りだと言えると思う。




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休み中にいくつか経済・為替の本も読んだが、FXではこの本が一番おもしろかった。ロブ・ブッカーとブラッドリー・フリードという人たちの著書で、世界的にセミナー活動などをやっている有名な人らしい。日本でもSPAなどに記事を書いていて知る人ぞ知る存在らしいのだが、私は、寡聞にして今まで知らなかった。題名は『超カンタンアメリカ最強のFX理論』というのだが、題名が軽いのに対して、中味はかなりしっかりとしたテクニカル系のFX本になっている。まず紹介される2トレンディと名付けた手法は、4時間足のトレンドラインをベースとして、1時間足のトレンドラインを切って、4時間足に向かったところをエントリーとし、4時間足に達するところを利食いラインとする手法(PDFによる解説にリンク)であるが、わかりやすくていいものだと思う。他にも800MAと200MAと62EMAを組み合わせて、相場のパターンを見るというのもいいアイデアだ。また、最後にある、トレードのエッジ・リスクリワード比による資金管理もよくまとまっているし、バックテストを行うソフトであるForex Testerの解説もいい(後日、別にエントリーをもうける)。ということで、全体として、今までに出たテクニカル系のFX本としてはひじょうにいいまとまりの本だと言える。なんでもそうだが、この手法だけで勝てるとは言えないだろうが、移動平均線についていろいろ考察する時にとても参考になる本だ。初級者から中・上級を狙う人は読んで得るところが多いと考える。ぜひ、ご推薦したい。

超カンタン アメリカ最強のFX理論
ロブ・ブッカー&ブラッドリー・フリード
扶桑社

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