無意識日記
宇多田光 word:i_
 



音楽的な部分でのヒカルのコメントを再掲しよう。

『こんなの初めてなんですけど、8分の6拍子と、4分の4拍子と、また8分の6拍子っていう、なんか謎のタイム・シグネチャーの三部構成になってるんで』

そう、演奏時間が4:03しかないのにも拘らず『何色でもない花』は

「8分の6拍子→4分の4拍子→8分の6拍子」

という三部構成になっているのだったわね。これらはそれぞれ、

8分の6:0:00〜2:12
4分の4:2:12〜3:08
8分の6:3:08〜3:49
?分の?:3:49〜4:03

というタイムスタンプで区切られる。(境目で多少誤差はあるかも)

歌詞で書くと

8分の6:『君がくれたのは 〜 in it with you だけど』
4分の4:『自分を信じられなきゃ 〜 何も信じらんない』
8分の6:『in it with you 〜 (繰り返し)』
?分の?:歌詞無し

という風になる。↑に『自分を信じられなきゃ 〜 何も信じらんない』と書いてあるけど、ここの「 〜 」は声を伸ばして続いているのではなくて、間に

『何も信じらんない

存在しないに同義
確かめようのない事実しか
真実とは呼ばない

私たちの心の中身は誰にも奪えない
そんなに守らないでも平気

だけど
自分を信じられなきゃ』

が挟まってるという意味。紛らわしいけれどこれはつまり、4分の4拍子パートは最初と最後の歌詞が同じだって事だね。そして最初の8分の6拍子パートはAメロBメロサビの塊が2回繰り返されていて、最後の8分の6拍子パートではサビがリピートされる、という構成になっている。これを模式的に書けば『何色でもない花』は

ABC ABC/DED/C’C

という構成の楽曲となる。ただし

A=『君がくれたのは〜花』『朝日が〜したから』
B=『ああそんなに〜ずっと』『ああ名高い〜今日も』
C=『I’m in love with you. In it with you …』
D=『だけど〜らんない』
E=『存在しないに〜平気』

だね。
(※ C’ってのは『In it with you』のみのパートを指す)

これを用いると曲構成は

8分の6:ABC ABC
4分の4:DED
8分の6:C’C
?分の?:?

と簡潔に書ける。これらの構造/構成を踏まえた上で来週は更に突っ込んだ話をしていきたい所存です。


※ 以下今回のまとめ。


『何色でもない花』

ボーカル:宇多田ヒカル
作詞作曲:宇多田ヒカル
Producer:宇多田ヒカル
Producer:A.G.Cook


┏ 君がくれたのは
A 何色でもない花
┗ (0:12~0:31/8分の6拍子)

┏ ああ そんなに遠くない未来
B 僕らはもうここにいないけど
┠ ずっと
┗ (0:31~0:50/8分の6拍子)

┏ I'm in love with you
┠ In it with you
┠ In it with you
C In love with you
┠ In it with you
┠ In it with you
┗ (0:50~1:13/8分の6拍子)

┏ 朝日が昇るのは
A 誰かと約束したから
┗ (1:13~1:32/8分の6拍子)

┏ ああ名高い学者によると
B 僕らは幻らしいけど
┠ 今日も
┗ (1:32~1:52/8分の6拍子)

┏ I'm in love with you
┠ In it with you
┠ In it with you
C In love with you
┠ In it with you
┠ In it with you
┗ (1:52~2:12/8分の6拍子)

┏ だけど
D 自分を信じられなきゃ
┠ 何も信じらんない
┗ (2:12~2:24/4分の4拍子)

┏存在しないに同義
┠ 確かめようのない事実しか
┠ 真実とは呼ばない

┠ 私たちの心の中身は誰にも奪えない
┠ そんなに守らないでも平気
┗ (2:24~2:54/4分の4拍子)

┏ だけど
D 自分を信じられなきゃ
┠ 何も信じらんない
┗ (2:54~3:08/4分の4拍子)

┏ In it with you
C'In it with you
┗ (3:08~3:28/8分の6拍子)

┏ I'm In love with you
┠ In it with you
┠ In it with you
C In love with you
┠ In it with you
┠ In it with you
┗ (3:28~3:49/8分の6拍子)

? (3:49~4:03/?分の?拍子) ◾️◾️

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新曲発売週という事で触れていなかったが、今週もしっかりドラマ「君が心をくれたから」は放送されてまして。『何色でもない花』がフル解禁ということで事前には劇的に物語が動いて劇中でも曲後半が鳴らされると読んでいたけど全くそんなことはなかったぜ。第5話までと同様の丁寧なテンポで今週の第6話も描かれていました。

そんな中で、余貴美子演じる雪乃(雨の祖母)が雨に向かってボイスレコーダーで今日1日どうだったかを訊ねるシーンが印象に残った。何のことはない、その数日前にヒカルが

『みんなどんな1日だったかな👩🏻‍🏫』

と呟いていたのとちょうどシンクロしたからだ。タイミング的に言えばヒカルが第6話までの脚本に目を通し…てた可能性は低いか。「最愛」みたいなミステリ要素の強い作品でも序盤の脚本だけで最終回に最高に輝く歌を作れる人だからな、わざわざ中盤の脚本は確認しないだろう、たまたまよく似た事を言ったというだけか。寧ろそうである方が、ヒカルとこのドラマの相性の良さを裏付ける気がしてきて僅かに良い。


そして、『何色でもない花』自体にも、

『ああ名高い学者によると
僕らは幻らしいけど
今日も
I’m in love with you … 』

という歌詞が出てくる。どうにもここ、インターネットミームとしての「今日も一日」を連想してしまうのだけど、いずれにせよここは「それはそれとして」や“by the way” 、“anyway”みたいな切替の一言なんだとおもう。『今日も』。

学者さんは実在が幻想がといろいろ言っているけれど、毎日を生きる私たちに大切なことは、僕が君に恋してるっていうその事実だよ、という意味にとっていいかなと思われる。これは2番の歌詞だが、1番でも

『ああそんなに遠くない未来
僕らはもうここにいないけど
ずっと
I’m in love with you …』

という風に歌っている。こちらも、自分たちの存在は永遠ではないけれど、今日感じる愛は永遠であるような、そんな感覚があるよ』とそんなことを歌っているのだと思われる。

これは、『Eternally』の

『いつまでも側にはいられない
この瞬間だけはずっと永遠に』

の一節に通じる…というかほぼ同じ意味だよね。なので、ヒカルが

『こんなにストレートなラブソングを書いたのはいつ振りだろう』

というコメントで念頭においていた歌の中には、少なくとも『Eternally』がひとつあるのではないかなと、そう思うのでありましたとさ。確かに、23年振りともなれば『いつ振りだろう』って言いたくもなるわな。

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