トシの読書日記

読書備忘録

愚か者のダンディズム

2013-05-13 11:56:44 | か行の作家
車谷長吉「車谷長吉の人生相談――人生の救い」読了



久しぶりの車谷長吉です。姉が「とにかく面白いから一回読んでみて」と貸してくれたのでした。毎週土曜日、朝日新聞に掲載された人生相談を車谷長吉が回答するというもの。


いやぁ面白いです。さすが車谷先生ですねぇ。たとえば、「私は不運だ」と相談する人がいる。それに対して車谷氏は、自分は生まれたときから鼻に病気を持っていて、それを手術するには失明の恐れがあり、そうなっても良いという同意書に署名、捺印ができなかったと言う。不運な人は不運なりに生きていけばよいと言う。こんな答えをされたらどんな悩みも即終了です。


また、教え子に恋をしてしまったと悩む高校教師には、「生が破綻した時に、はじめて人生が始まるのです。」と答える。これはもう、相談という域を越えてしまってます。


すごいですねぇ。お腹をかかえて笑ってしまいました。大江健三郎をずっと読んでいる身には、かっこうな箸休めでありました。

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