ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはんbyFb…銀座 『茨城マルシェ』の、アンコウ鍋

2013年04月10日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 究極の産直とは、生産の現場で食材をいただくことだろう。都市部の郷土料理屋よりも産地の食事処、さらに農家民宿や漁師宿。生産の現場を目指していけば、家庭で普段使いの漁師めしや農家料理、さらに畑や浜でかっ込むまかない飯に行き着く。鮮度の良さこの上ない食材を、働く糧としてその場で味わう。生産者の特権たる産直料理は、手が届かないゆえに余所者の憧憬の的となる。

 アンコウ鍋と、その起源である漁師料理の「どぶ汁」は、厳密には別物だそうだ。どぶ汁は漁師のまかない飯で、漁獲したアンコウを舟の上で調理した、まさに究極の産直鍋。さばいた身は中骨以外は全部鍋に放り込み、水分が多いため煮るだけで汁が出てくる。アラからダシもとれるから、まさに一石二鳥。キモを炒って味噌と一緒に溶くのが味の秘訣で、新鮮素材は手間かけず、手を加えず、無駄にせずの、漁師料理の流儀にのっとった鍋である。

 どぶ汁を洗練させたアンコウ鍋も、白身のホッコリ淡白な滋味、皮目のフルフルのゼラチン、アラにへばりついた旨味の強い肉など、漁師料理の実力が充分伺える。浜に思いを馳せてつつくのもいいけれど、目を閉じると大洗や日立や平潟の、漁港風景がリアルに浮かぶような。

 寒がしみる銀座で味わうアンコウ鍋が、産地のどぶ汁へといざなってくれる。そう思えば都市部の郷土料理も充分、ワクワクして嬉しいものだ。