夏でも15〜20度と冷涼な気候、かつ多雨で昼夜の温度差が激しいことが、嬬恋が日本一の産地たる所以という。未明の3時から収穫、しかもひと玉ずつ手摘みする、手間と愛情の賜物だ。嬬恋に近い「休暇村鹿沢高原」の昼食でいただいたキャベツ料理は、まさにその恵みの味。生のままのざく切りは赤味噌、白味噌、バーニャカウダソースをつけ、そのままパリッといく。しっとりながらシャクっと食感が残り、えぐみのない素直な甘さ。ソースをちょん、とつけるだけで、大地の持つ実力が充分堪能できる。
メインのその名も嬬恋キャベツ焼きそばは、千切りキャベツの上にソース焼きそばがのったスタイル。麺と一緒にガバッといけば、ズルズル、シャクシャクとヘルシーに進む。油っぽい麺を瑞々しい千切りがまとめ、温玉のおかげでまろやかな味わい。ざく切りが素材の味なら、こちらは出合の妙での実力発揮だろうか。
甘みがあり柔らかいのが嬬恋キャベツの特徴です、と話す料理長によると、ローカルベジタとして宿の看板料理にすべく、様々なアイデアを試行錯誤しているという。主菜の添え物を越えてキャベツ自体の印象が際立つものが理想、とか、客が近くの畑を眺めたり収穫や調理を体験したら味もひとしおかも、など、キャベツ談義に花が咲く。主菜のトンカツを差し置いて印象に残る、鮮烈なキャベツ千切りができれば最高、とは、ここのキャベツならあながち冗談でもないかも。
ちなみに昨日は村内の愛妻の丘で、「キャベツ畑の中で妻に愛を叫ぶ」なるイベントが開催されたという。畑のど真ん中にある専用台から、村名にちなみ妻への愛と感謝を絶叫するのだそう。略称「キャベチュー」に、今度は同じアニメのエンディングテーマを思い出すような。妻への愛はさておき(?)、場所柄キャベツ畑にも感謝を叫んでみたいところだ。