順に、食感と甘みを確かめて合わせるおかずを選ぶべく、まずは一番左の東御市「太陽と大地」のコシヒカリから。コシヒカリは県内の作付面積がトップの銘柄で、東御市は標高750メートルと県内コシヒカリ生産地の最高地になる。この生産者はモミを熱風でなく、自然のままの常温乾燥させているのが特徴。甘みが前に出ているため、キノコの炒め物の甘辛さと相乗な味わいがいい。冬から春先の風に晒されると、さらに甘みが出てより味が良いとか。
続いてもコシヒカリで、安曇野市の「あづみのうか浅川 浅川さんちのお米」。栽培地の安曇野は標高550メートルほど、扇状地の砂壌土で寒暖差が大きい。そのため味が凝縮しており、粘りが少ない硬質米だ。「米粒の感触と甘みを楽しんで下さい」との生産者の方の推し通り、舌触りがしっかりとして厚みのある食味。信州サーモンの塩麹漬けの濃厚な脂甘さを受け留め、ザッとかっ込みたい衝動に駆られる。
そしてもうひとつの「風さやか」は、2013年に品種登録された、長野県オリジナルの品種である。まだ生産量が少なく県内での消費が中心だが、県として今後PRしていきたいという。朝食向きの米との説明があり、確かに瑞々しく爽やか。野沢菜漬けをのせてササッと軽く味わえ、信州の朝ごはんに特化した米として推し出すのも面白そうだ。
認定に至らなかったので参考品です、とのあきたこまちも結構な旨さで、信州の米作のレベルの高さを、かえって実感させられた。日頃追っかけている料理・食材のキーワード「ローカル」、これからはごはんと魚に加えお米もカテゴライズするかな、と思えるほど、深く広いお米の世界。その入口に立った気分になった、長野の原産地呼称認定米の試食会であった。