ブラックファイブ

あのDr.ブラックジャックの半分以下なので、ファイブとします。命燃え尽きるまで、経験と知識からブログをやろう。

麻酔効果

2011-06-02 23:19:14 | Weblog
 今日は天気予報通りの朝から雨模様、気温も上がらず。

 新患外来、新卒研修医も交替で外来初めての新人。
 緊張の感覚が伝わってきて、一人目の方、問診(病状経過などの話を聞く)を終えると、身体診察を飛ばして次に進もうとする。緊張で抜けてしまったようだ。
 自然気胸の方がいて、即日入院、午後に脱気処置予定。
 但し、この方、前にも気胸をやっていて、その時の処置は凄く痛かったと言う。
「それは、悪いけど、やった医師が下手だったのです。」と言ってしまった。
 もちろん、今日の研修医にやって貰う。聞くと、胸腔穿刺は既に3例程やったことがあるようで、他の若いのに聞いても同様、出来そうと判断。
 外来最後の方の付き添い、ちょっと“コワモテ”でビビッた模様。
 午後、脱気処置の前に、軽く講義。
 今日の方は、以前痛かったと言われるので、表皮と胸膜は十分に麻酔を効かせるように話す。
 処置室に患者さん登場。看護師さんは何故か、自分で歩かせて来た。
 『何を考えてるネン!処置の終わった後は歩いて病室に返すつもりかい?』とは思っても言わずに、「処置の後、歩いて帰ると緊張が取れたりで、ガクッとすると危ないから、ベッドかストレッチャーが必要。」と話す。
 位置決めをして、消毒・穴あき布をかけて開始。10mlの注射器に局所麻酔剤を入れて、刺す。
 “まずは体表、後で縫合する部分まで、薬で膨疹(皮下に麻酔剤を注入してふくらます)を作り、麻酔剤を注入しては陰圧を掛けて先に進む。これを繰り返し、胸腔に針先が入ると空気が引ける。そしたら、陰圧を掛けながら針をゆっくり引き抜いて、空気が引けなくなった所が胸腔直前の胸膜だから、そこに十二分に麻酔剤を注入しておく。
 そうすれば、その周囲に薬が染み込んで鎮痛効果が広がる。”・・・といつもは余りしゃべらないのだけど、絶対痛みを押さえ込もうとつい力が入り、研修医の側で話しながら介助してしまった。
 きっと、患者さんはやってるのは修練未熟な若い奴と分かったはず、“堪忍”。
 メスで皮切、ペアン(止血鉗子)で皮下を押し広げる。
 メスで切る深さは少々深そうに見え、深いと出血がやや増える。
 ペアンで胸膜を突き破り、胸腔へ太めのトロッカーカテーテルを押し刺し込む。
 少しもがいて、挿入。
 「痛かった?」「全然、痛くなかった。」
 この返事の一言は、研修医に十分な自信をつけてくれそう。

※ 内閣不信任決議案の採決前の、ドタバタはカッコワル。
コメント
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