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ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

選ばれてあることー孤独な女優ー

2013年11月29日 | 文学

  堀北真希と言えば、なかなかの人気女優で、20代半ばになりますが、清純派のイメージを保っています。



 毒気を放つのが魅力の吉高百合子沢尻エリカとは大きく異なります。
 私は毒気を放っている女優のほうがお好みですが。






 しかし、堀北真希、テレビ局員に聞いた苦手な女優ランキングで1位に選ばれてしまいました。
 演技でしか彼女を知らない私には、不思議な結果に感じられます。

 テレビ局員の話では、堀北真希という女優、とにかく愛想がなくて近寄りがたく、硬い性格なんだとか。
 話しかけるなオーラがびんびん出ているそうです。

 林真理子との対談で、基本的に外出はしない、というか行く所がなく、そのために服を買っても着る機会がないので買い物もしないとか、酒は好きだが他人と飲むのは嫌なので両親と自宅で飲むだとか、恋愛に関しては、興味はあるが外に出ないから無理、人づきあいが苦手だし1人でも楽しいから無理、と20代半ばの女性、しかも華やかな芸能界で生きてきた人とは思えないネガティブ発言を連発していました。

 あるいは芸能界で生きてきたからこそ、なのかもしれませんねぇ。

 14歳でスカウトされてすぐにテレビドラマに出演し、数々のドラマに主演し、紅白歌合戦の司会を務めたこともありました。

 その間には、思春期ならではの激しい葛藤があったものと推測します。

 かつて普通の女の子に戻りたい、といって芸能界を去った3人組がいました。
 そのうち2人はすぐに復帰してしまいましたが。

 人間強欲というか、隣の芝は青く見えるの喩えのごとく、今いる自分ではない、こうであったかもしれない自分、あるいはこうでありたい自分を想像し、憂鬱に落ち込むことは誰にでもあるのではないでしょうか。

 女優を夢見て叶わなかったあまたの女性から見れば贅沢すぎる悩みでしょうが、選ばれてしまった者の孤独というもの、私たち凡人には想像しにくいものです。

 選ばれてあることの恍惚と不安と二つ我にあり、と詩に書いたのはヴェルレーヌでした。

ヴェルレーヌ詩集 (新潮文庫)
堀口 大学
新潮社

 この人、大酒飲みで、若い女と美少年と、両刀使いの好き者で、しかもブ男で、最後は売春婦の情夫となって食いつないでいたどうしようもない人だったと伝えれます。
 少年時代のランボーの才能を愛で、ついでに肉体も愛でて、同性愛の関係にあったことは有名ですね。

ランボー全詩集 (ちくま文庫)
Arthur Rimbaud,宇佐美 斉
筑摩書房

 

地獄の季節 (岩波文庫)
J.N.A. Rimbaud,小林 秀雄
岩波書店

 太宰治の処女短編集「晩年」の冒頭に置かれた「葉」という作品でも、ヴェルレーヌの上の詩句が引用されています。

 処女作のタイトルが「晩年」とはたいしたひねくれ者ですが、そのひねくれ加減は治まることなく、加速したまま御乱行を重ね、しかし小説家としては稀有な才能を発揮し、ついには愛人と情死してしまいましたね。

晩年 (角川文庫)
太宰 治
角川グループパブリッシング

 そういうハチャメチャな人は、ヴェルレーヌの詩句に同類の匂いを嗅ぎ取ったのかもしれません。

 選ばれてあることのある恍惚と不安を、堀北真希も抱えているのかもしれませんね。

 そうであるなら、ヴェルレーヌランボーを愛したように、太宰治ヴェルレーヌの詩句に惚れたように、同じ選ばれてしまった人と、深く交友するのがよろしいでしょうねぇ。

 おそらく芸能界にはそういう人が多かろうと思いますし。

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