ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ノーベル文学賞作家の少女小説

2017年09月28日 | 文学

   昨夜、川端康成先生の少女小説、「親友」を読みました。
 なにしろ子供向きに書かれた小説ですから、たいへん読みやすいものでした。
 それでいて、川端康成先生らしい、文学的香気にあふれた佳作だったと思います。

親友 (小学館文庫)
川端 康成
小学館

 川端康成先生の、いわゆる純文学作品は、今も文庫本などで容易に手に入りますが、結構書かれていたという少女小説は、あまり見当たりません。

 そういう意味では、貴重な復刻です。

 私はかつて、戦前の少女たちに人気を博したという雑誌、「少女の友」復刻版で「乙女の港」という少女小説を読んで、感銘を受けたことがあります。

完本 乙女の港 (少女の友コレクション)
中原 淳一
実業之日本社


 これは、戦前の女学生たちの間で流行したという、S(sisterの略)という、少女同士の疑似恋愛を描いたものです。

 昨夜読んだ「親友」は、もう少し幼い、中学1年生の少女たちの物語で、時代もややくだって、戦後、昭和25年頃を舞台にしています。
 中学の同級生で、顔も背丈もそっくり、誕生日まで一緒だった2人の少女と、家族や先生との間の短い物語です。


 夏休み、鵠沼の海岸近くの親戚の家で2人で滞在して楽しく過ごす様子が生き生きと描かれています。

 悪い人など登場しません。
 この世にはあり得ない、麗しい物語です。

 ただ、年齢設定が幼いせいか、「乙女の港」に見られたような、少女同士の疑似恋愛、三角関係、嫉妬、といった、興味をそそる要素が少なく、おじさんとしてはそこが物足りなかったですねぇ。

 日頃、残虐非道な殺人鬼が出てくる小説や、悪霊が出てきたり血がドバドバ出るようなホラー映画を好む私ですが、時折、ただ麗しいだけの小説が読みたくなります。

 その点、昔の少年小説はいただけません。
 むさ苦しいばかりです。

 
 私は少年小説よりも少女小説を好む、不気味なおじさんです。


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