ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

女流官能文学者

2012年01月23日 | 文学

 斎藤綾子という官能の世界を描く作家がいます。

 私は「愛より速く」という自身の性遍歴を綴った自伝的作品と、バリの森の奥で女性ばかり4人の小さなコミュニティーで夜な夜な互いの体を貪り合う女たちと、東京から恋人を亡くして傷心旅行に着た女性との不思議な関係性を描いた幻想的作品「ルビー・フルーツ」を読みました。

 私には少々性描写がきつくて、この2作だけで充分だと感じるほどでした。

 ただ、性愛を描く女流作家が、えてして肉体的愉悦以上に、人間同士の愛情みたいなものをちらつかせて、私を白けさせるのとは逆に、この作家の作品はどこか明るく、乾いていて、ドロドロの女流官能作家とは一線を画しています。

 「愛より速く」は高校生の時読んだのですが、官能小説というもの、どこか喜劇めいているな、という印象を持ちました。

 それは団鬼六「花と蛇」シリーズなんかも同様で、どこか滑稽で不思議な味が、官能小説の本質なのではないかと感じたことを覚えています。

 性体験を秘め事とか言いますね。
 秘めているからそこには神秘性や神聖さが内在しているのであって、文章で表に出し、秘することを止めれば、滑稽に思えるのは言わば当たり前です。

 現在数多く出されているアダルト・ビデオもその大半が滑稽に感じるのも、秘すべきことを堂々とカメラの前で行っているからでしょう。
 
 余談ですが、アダルト・ビデオやエロゲーなど2次元の世界にどっぷり浸かり、もっぱら自慰行為で性欲を満たしていると、生身の女(たまに男)を前にすると、不能に陥ったり、使い物にはなるものの射精に至れなくなる、という話を耳にします。
 オナニストの誕生ですね。

 斎藤綾子が特別助平というわけではないでしょうが、あからさまに文章に記す点は特別でしょうねぇ。

 倉橋由美子の性交渉を記述する作法は、一言、そして二人は歓を尽くした、だけです。
 「シュンポシオン」などに見られます。
 それだけで、十分伝わるでしょう。

 くどい滑稽譚と読めば面白いですが、官能の世界というものは、読むより自ら経験するほうが、よほど面白いですねぇ。

 恋愛小説もそうですね。
 100冊恋愛小説を読むより、1回実践に及んだほうが、よほど面白いし、様々なことを学べます。

 2次元の世界で満足している方がいらっしゃったら、勇気を出して生身の異性とお付き合いすることをお勧めします。
 2次元の世界よりエキサイティングで面白いこと間違いなしですよ。

愛より速く (新潮文庫)
斎藤 綾子
新潮社

 

ルビーフルーツ (新潮文庫)
斎藤 綾子
新潮社


    

シュンポシオン (新潮文庫)
倉橋 由美子
新潮社

 

花と蛇〈1〉誘拐の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈2〉涕泣の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈3〉飼育の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈4〉調教の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈5〉憂愁の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈6〉羞恥の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈7〉屈辱の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈8〉号泣の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈9〉被虐の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎
花と蛇〈10〉完結編 (幻冬舎アウトロー文庫)
団 鬼六
幻冬舎

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局部が怪獣?

2012年01月23日 | 社会・政治

 東京都下のアパートで49歳の男性が局部を切り取られた状態で亡くなっていた事件で、警察は殺人とともに自殺の線も有力として、両にらみで捜査することになったそうです。

 まず、体のあちこちを刺されているのに、抵抗する際にできる防御瘡がないこと、刺された後、室内を歩き回った後があるが、被害者以外の足跡がないこと、さらには覚醒剤の成分が被害者の体内から検出されたことなどが、自殺を疑う主な理由だそうです。

 被害者は独身でしたが、交際している女性がおり、トラブルが絶えなかったとのことで、この女性が男性の局部を切り取ったのではないか、現代の阿部定事件だ、とマスコミは騒いでいましたが、どうもその線は薄いようです。

 私が驚いたのは、某法医学教授の証言です。
 すなわち、
「生きているうちに局部を切り取った場合、相当量の出血と痛みを伴う。しかし、薬物の使用で局部が怪獣に見えるなどの幻覚が現れ、退治しようと切断した可能性は否定できない」
 と、いうわけです。

 よく覚醒剤中毒の患者は、血管のなかに小さな虫が這っている、とか言って、その虫を取り除こうと血管をみずから切り裂いてしまう、という話を耳にします。
 自業自得と言ってしまえばそれまでですが、なんともやるせない話です。

 もしおのれの局部が怪獣に見え、これを退治しようと奮闘したのだとしたら、滑稽なようでいて、その現場は血まみれの地獄絵図だったことでしょう。

 覚醒剤とはそんなに怖ろしいものなんですねぇ。

 90歳くらいまで生きられたら、どんな感じがするのか、ちょっと試してみたいような気もします。

 まだ50年近く先ですが。

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ダリの命日

2012年01月23日 | 美術

 今日はスペインの天才画家、サルバドール・ダリの命日です。
 1989年、私が大学生の時でした。



 彼は奇行で知れらていましたが、親しい人の前では繊細で常識的だったそうです。

 勝新太郎が記者会見でもう酒も煙草もやらない、と語りながら、旨そうに煙草をふかし、ワインを飲んでいたようなもので、一種の偽悪だったのではないでしょうか。

 若い頃シュールレアリスム運動に加わりながら、アンドレ・ブルトンの怒りをかい、除名されたりもしました。
 アンドレ・ブルトンによれば、ダリのファシズムへの親和性を問題視したようですが、じつは高額で売れるその作品に嫉妬したのかもと考えることは、碌な作品を残さなかった文芸家のブルトンらしいともいえ、面白いものです。

 私は中学生の頃ダリの絵と出会い、強烈な印象を残しました。
 いわゆるシュールレアリスムにしては分かりやすいし、写実の技法で幻想的な絵を描くというのが、非常に新鮮に思われました。

 では、ダリの絵を二つ。





 美醜を超えようとしたシュールレアリスムを除名されたのは当然かもしれません。
 ダリの絵は、どこまでも美しいですから。

ダリ・私の50の秘伝―画家を志す者よ、ただ絵を描きたまえ!
Salvador Dali,音土 知花
マール社
ダリ全画集 (タッシェン・ミディアートシリーズ)
ロベール デシャルヌ,ジル ネレ,Gilles N´eret
タッシェンジャパン
シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫)
Andre Breton,巖谷 國士
岩波書店
ナジャ (岩波文庫)
巖谷 國士
岩波書店

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心技体

2012年01月23日 | その他

 横綱審議委員長から、初優勝した把瑠都について、綱取りの資格がない、という発言が早くも飛び出しました。

 解せませんねぇ。

 14勝1敗の優勝で、来場所は当然綱取りの場所になると思いますが。

 横綱審議委員長によれば、稀勢の里戦での注文相撲が引っ掛かるそうで、横綱としての品格が足りないそうです。

 でも妙ですねぇ。
 15番相撲を取れば、相手の出方によって注文相撲になることも1番くらいあって当然でしょう。
 とくに調子の良い力士の場合、頭より先に体が勝手に動いちゃうというのはよく聞く話で、相手の動きを見きった場合、素早く横に飛んで引き技で勝つということもよくあります。

 大分昔ですが、大横綱千代の富士と大関朝潮が優勝決定戦を戦った時、天下の大横綱、千代の富士は激しく当ったと思ったらすぐに引き、引き落としで破ってしまいました。
 わずか2秒。
 後の会見で、引いちゃいかんと思ったけど、体が勝手に動いた、と言っていました。

 横綱昇進の目安は、2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績、ということで、相撲内容についてはとくに言及されていません。
 仮に注文相撲だけで2場所連続で全勝優勝したらどうするんでしょうね。
 まぁ、有り得ない話ですけど。
 30番連続で引き技で勝つなんて、ある意味凄まじい神業でしょう。

 よく心技体なんて言いますが、事実上は一定以上勝てば横綱に昇進させてきたのが事実。
 大乃国なんてほとんど活躍できませんでしたし、双羽黒なんておかみさんに暴力をふるって相撲界を追放されてしまいました。
 結局大関時代にどれだけの成績を挙げたかだけでしか、判断できません。

 把瑠都関が来場所それなりの成績をおさめても昇進させなかったら、小錦の時のように人種差別と言われちゃいますよ。

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