話題のベストセラー「1Q84 BOOK3」を購入し、半分くらいまで読みました。
BOOK1とBOOk2はもちろん、読み終わっています。
私はこの作家の本は、四半世紀というもの、ほぼリアルタイムで読んでいます。今はヨーロッパでも読まれ、ノーベル文学賞候補にまでなっているとか。
大したものです。
この作家の小説は、その文体などから、アメリカナイズされたように誤解されがちですが、そうではないと思います。記紀万葉の時代から、わがくにびとが大切にしてきた無常感や諦念といったものが小説の根底を流れていて、口当たりだけ、ハンバーガーのように食べやすいのだと思います。
その本質は、醤油と味噌と米。決して、ハンバーガーやフライドチキンではありません。
残念なのは、「風の歌をきけ」から「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」までは、瑞々しく、濃密な物語世界が展開されていたのに、「ノルウェイの森」以降、どこか気の抜けたビールのような小説が多くなってしまったことです。
いくつかの短編には見るべきものがありますが、「海辺のカフカ」にしろ、「ねじまき鳥クロニクル」にしろ、また今回の作品にしても、何か物足りないのです。読ませる力は十分ですが、読後感が良くありません。
また不思議なことに、「ノルウェイの森」以降のほうがよく売れていますね。
今後村上春樹が老境を迎え、どんないぶし銀の筆の冴えを見せるか、同時代人として、注視していきたいと思います。
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