スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典関東オークス&憎しみの合倫理性

2023-06-15 19:05:51 | 地方競馬
 昨晩の第59回関東オークス
                                        
 フェブランシェが先頭に立つと,発馬後の3コーナーまでに4馬身から5馬身ほどまでリードを広げました。正面に入るところで2馬身くらいまで縮まり,正面でパライバトルマリンがフェブランシェの直後まで取り付きました。メイドイットマムとクレメダンジュとメイショウオーロラの3頭が並んで続き,2馬身差でマルグリッドとサーフズアップとコアリオ。4馬身差でワイズゴールドとスギノプリンセス。ベストホリデーとフークエンジェルが併走で続き6馬身差の最後尾にマインドユアミモザ。ハイペースでした。
 3コーナーからパライバトルマリンがフェブランシェに並び掛けていくと,フェブランシェが一杯になり,パライバトルマリンが先頭に。クレメダンジュとメイショウオーロラが並んで追ってきました。単独の先頭で直線に入ったパライバトルマリンはそのまま後ろの追い上げを許さずに優勝。内を回ったクレメダンジュが1馬身差の2着。外を回ったメイショウオーロラが4分の3馬身差の3着で,これらの後ろから直線でメイショウオーロラの外に出されたメイドイットマムがハナ差まで迫って4着。
 優勝したパライバトルマリンは重賞初挑戦での優勝。このレースはJRAの1勝クラスを勝っている馬が4頭出走していましたが,いずれも僅差での勝利でしたので,どれくらいの能力差があるのかということがよく分かりませんでした。フェブランシェはおそらく休養明けだったのが響いて一杯になりましたが,それ以外の3頭での上位決着。しかし決定的な差がついたわけではなかったので,はっきりとした力量の差があるというわけではないと思います。例年よりもレベルは低かったかもしれません。Paraiba Tourmalineは希少価値があるトルマリン。
 騎乗した戸崎圭太騎手は第52回以来となる7年ぶりの関東オークス2勝目。管理している林徹調教師は関東オークス初勝利。

 XのAに対する愛amorが,XのBに対する愛を抑制したり除去したりすることがあるというのは事実なので,愛は一般的に合倫理的な感情affectusであるとはいえないとか,愛は一般的に合倫理的な感情であるけれど例外もあるという見方はありますし,そういう見方が誤っているとは僕はいいません。ただ,僕はこのような解釈はせず,愛は一般的に合倫理的な感情であるといいます。XのAに対する愛とBに対する愛は別個の愛なので,Aに対する愛によってXはAに親切をなしますし,Bに対する愛によってはBに対して親切をなします。それらの親切も個別の親切であって,そういう個別の親切が輻輳することによって,社会societasや共同体に代表されるような人間の集団に融和を齎すことになるという観点から,愛は合倫理的な感情であるといわれるのであり,この観点からは愛は一般的に合倫理的な感情ということになるからです。
 もうひとつ,愛が一般的に合倫理的な感情であるわけではないという解釈を採用すると,僕は逆の場合に不都合が生じると考えます。愛の反対感情は憎しみodiumですから,逆の場合というのは当然ながら憎しみの合倫理性について考えるという場合です。
 もしも愛が一般的に合倫理的な感情であるとすれば,憎しみは愛の反対感情ですから,一般的に合倫理的な感情ではない,もっといえば,非倫理的な感情であるということになります。このことはスピノザの考え方に合致しているように思われます。たとえば第四部定理四五系二は,憎しみの結果effectusとして生じる欲望cupiditasは非礼turpeでありまた不正injustitiaであるといっていますが,それが意味するところはここでいう非倫理的であるということに寸分と違わないといえるからです。
 よって,もしある感情が憎しみを抑制したり除去したりするということがあるとすれば,それは合倫理的であるということになるでしょう。これは,その感情が理性ratioに従って生じる感情であれ受動感情であれ同様です。あるいは合倫理的であるとはいえないにしても,非倫理的なことを否定するnegareような感情であるということになるでしょう。ただしこれは一般的なことなので,愛と同様に個別の感情としての憎しみを考えなければなりません。
コメント
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