スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

無差別級&合倫理性の理由

2023-06-13 18:59:57 | NOAH
 新日本プロレスではジュニアヘビー級というカテゴリーが確立してから,現在までそのカテゴリーが継続していて,全日本プロレスではジュニアヘビー級というカテゴリーは確立したけれども長続きはせず,ひとつのジャンルになったということで,僕が具体的にいいたいのは次のようなことです。
 ジュニアヘビー級というカテゴリーの中では,このカテゴリーの中の選手は,そのカテゴリーの中で試合をします。よってジュニアヘビー級の選手は基本的にジュニアヘビー級の選手を相手に試合をするということです。これはシングルマッチであろうとタッグマッチであろうと関係ありません。つまりこの場合は,プロレスの中にヘビー級というカテゴリーとジュニアヘビー級というカテゴリーがあって,ヘビー級のカテゴリーの中ではヘビー級の選手が試合をして,ジュニアヘビー級のカテゴリーの中ではジュニアヘビー級の選手たちが試合をします。よって,ヘビー級の選手とジュニアヘビー級の選手が戦うということは,特別の機会がないと発生しないということになります。初代のタイガーマスクが新日本プロレスでデビューして以降は,新日本プロレスは基本的にこの路線で興行を続けています。
 全日本プロレスは短期的にはこのような期間がありましたが,それがプロレスというひとつのカテゴリーに集積し,ジュニアヘビー級はそのカテゴリーの中のひとつのジャンルとなりました。よってジュニアヘビー級の選手,つまり一定の体重以下の選手は,そのジャンルの中でも戦うし,プロレスというカテゴリーの中でも戦います。つまり,ヘビー級の選手とジュニアヘビー級の選手が試合をするということが,ほぼ日常的に生じることになります。いい換えれば,新日本プロレスではヘビー級にもジュニアヘビー級にも意味があるのですが,全日本プロレスでは,ジュニアヘビー級というのは一定の体重以下という意味があるとしても,ヘビー級というのはジュニアヘビー級ではないという消極的な意味しかないのであって,積極的に定義しようとすれば,無差別級といういい方が正しいのです。
 NOAHの旗揚げで,僕は実質的な全日本プロレスはNOAHになったと解していますが,NOAHも基本的に全日本プロレスの路線を継承しました。つまりNOAHでも,ヘビー級というのは無差別級という意味なのです。

 第四部定理五四備考不安metusが有用な感情affectusとして示されるとき,それは害悪よりも利益を齎すといわれています。これはそれ自体に明らかなように,利益だけを齎し害悪は齎さないという意味ではありません。害悪を齎す場合よりも利益を齎すことの方が多いであろうというほどの意味です。もちろんこのことは,この備考Scholiumでいわれているほかの感情,すなわち自己嫌悪humilitasと後悔poenitentia,そして不安の反対感情であり,かつ不安があるときに必ずそれと同時にある希望spesの場合にも成立します。これらの感情は,害悪を齎すことがないわけではないけれども,それよりは利益を齎す場合の方が多いので,有用な受動感情であるとスピノザはいっているのです。
                                   
 したがって,過剰な愛amorが不安によって抑制されるとき,それは有用である場合,つまり過剰な愛を適正な愛へと正す場合が多くなるというのは事実であるといわなければなりません。ですから不安は有用な感情であるとされるのです。しかし必ずそのようになるのかといえばそういうわけではありません。過剰であった愛を完全に喪失させてしまうような場合,つまり存在していた愛という感情を存在しないようにしてしまうということも生じ得るのです。これが,不安という感情は有用であるけれども,害悪を齎す場合がないというわけではないということの具体的な事例です。ですからこの備考の文言そのものが,たとえ過剰な愛が不安によって抑制されて適性になるのだとしても,愛が一般的に合倫理的な感情であるということに影響を及ぼさないということを示しているといっていいと思います。
 本来はこのような説明は蛇足です。たとえ不安によって過剰な愛が抑制されて適性な愛になるということが現実的に存在するある人間のうちに生じるとしても,このときに合倫理的といわれているのは,過剰な愛を適正にした不安という感情のことではなく,過剰であったものが適正になった愛の方です。他人に対して親切をなすように仕向ける感情は愛であって不安ではないのですから,適正化された方がよい過剰な愛が,それでも合倫理的であるといわれ得ることについては,この路線で解釈するのが本来的なものでしょう。
コメント
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