スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

JBC協会協賛北海道スプリントカップ&第四部定理六八証明

2023-06-02 19:42:52 | 地方競馬
 昨晩の第27回北海道スプリントカップ
 ケイアイドリーは発馬後の加速が鈍く1馬身の不利。ジャスティンとスペシャルエックスとダンシングプリンスの3頭が並んで逃げるようなレース。3馬身差でスティールペガサス。1馬身差でアイオライト。2馬身差で巻き返してきたケイアイドリーとホッコーライデン。5馬身差でフジノパンサー。4馬身差でスマートアヴァロン。3馬身差の最後尾にジャスパーシャインという縦長の隊列。33秒7の超ハイペース。
 3コーナーでは前の3頭のリードは5馬身くらい。この時点ではケイアイドリー,スティールペガサス,アイオライトの3頭が併走の4番手。この3頭が並んだまま前との差を詰めていって,直線の入口では1馬身くらい後ろまで追いつきました。スペシャルエックスは脱落してジャスティンとダンシングプリンスの競り合いとなり,ここから前に出たのはダンシングプリンス。並んで追ってきた3頭のうちケイアイドリーがダンシングプリンスの外から前に出てきて先頭に。一番外からアイオライトが伸びてきましたが,ケイアイドリーには追い付けず,優勝はケイアイドリー。アイオライトが1馬身半差で2着。ケイアイドリーが抜けた後にダンシングプリンスとアイオライトの間から伸びたスティールペガサスが1馬身差で3着。
 優勝したケイアイドリーは2月にオープンを勝って以来の勝利。重賞は初制覇。このレースはダンシングプリンスの能力が上位でしたが,59キロという斤量は明らかに不利で,ほかの馬にもチャンスがあるとみていました。その場合はケイアイドリーとアイオライトの2頭が有力とみていましたが,1200mの距離適性ではケイアイドリーの方が上回っていたようです。東京スプリントの2着に続いての好走なので,スプリント路線では上位の力があるとみて間違いないでしょう。父はエスポワールシチー。ひとつ上の半兄が昨年の佐賀記念白山大賞典を勝っている現役のケイアイパープル
 騎乗した藤岡康太騎手は北海道スプリントカップ初勝利。管理している村山明調教師は第20回以来7年ぶりの北海道スプリントカップ2勝目。

 結論を出すことはしませんので,どういった順序でそれを考えていけばよいのかを示します。
                                   
 まず留意しなければならないのは,もし自由libertasであるなら,人は悪malumという概念notioを形成しないといっている第四部定理六八です。この定理Propositioは悪という概念を形成しないというだけでなく,善bonumという概念も形成しないといっていますが,善の概念が形成されないのは悪の概念が形成されないからです。すなわち,善と悪は反対の概念ですから,あるものが悪と認識される限りにおいて他のものは善と認識され得ることになります。よってもし悪が概念として形成されないのであれば,善も概念として形成されようがありません。また,ここで自由といわれているのは,人が理性ratioに従っているということを意味します。つまり人は理性に従う限りでは悪の概念を形成しないということがこの定理の主旨で,悪の概念が形成されないなら善の概念も形成されないことになるのです。
 理性に従っている人が悪の概念を形成しないことの根拠となるのは,第四部定理六四であり,そこから直接的に生じる第四部定理六四系です。人間は理性に従っている限りでは事物を十全に認識します。ところが悪の認識cognitioは十全な認識ではなく混乱した認識です。よって人は理性に従っている限り,いい換えれば自由である限り,悪を認識するcognoscereということがありません。よってこの場合には人は悪の概念を形成し得ないでしょう。そして悪の概念を形成し得ないのなら,善の概念も形成し得ないことになるでしょう。このようにして第四部定理六八は論証されることになります。
 この定理をそのまま受け止めるのなら,理性は悪を認識することはないでしょう。よって第三部定理三九でいわれていることのうち,憎しみodiumのゆえに他人に害悪を与えることを断念することと,愛amorのゆえに他人に親切をなすことを断念することは,理性によって生じることはなく,たとえば不安metusのような受動感情からのみ生じるということになります。
 ただし,この解釈を採用したから,このことについてそれ以上は考える必要がないというようには僕は思いません。『エチカ』には理性が悪を認識すると解釈できる定理もあるからです。
コメント
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