スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

中日新聞杯名古屋大賞典&個物の観念

2021-03-11 19:09:40 | 地方競馬
 第44回名古屋大賞典
 発走後の正面ではポルタディソーニが先頭でしたが,最初のコーナーで外からバンクオブクラウズが前に出て,ここからはバンクオブクラウズの逃げに。正面では3番手にいたロードブレスが2番手になり,ウインユニファイドとポルタディソーニが並んでの3番手に。4番手にクリンチャーでここまで一団。やや離れてメイショウカズサ,ジンギの順。以下は離され,スギノグローアップ,サンデンバロン,ドリームスイーブル,ノーブルサターン,メイショウオオゼキの順でそれぞれが単独での追走に。ミドルペースでした。
 2周目の向正面でポルタディソーニは後退。3コーナーからはバンクオブクラウズ,ロードブレス,クリンチャーが雁行に。クリンチャーに外から被せられたロードブレスが後退し,バンクオブクラウズとクリンチャーの2頭が並んで直線に。ほどなくクリンチャーが先頭に立ち,そのままバンクオブクラウズを引き離していき優勝。逃げ粘ったバンクオブクラウズが3馬身差で2着。直線でまた盛り返してきたロードブレスが1馬身差の3着。
 優勝したクリンチャー佐賀記念からの連勝で重賞4勝目。前走の結果からはここは最有力。前回ほどの差をつけて勝つことができなかったのは,おそらく逃げなかったからだと思います。それでも楽勝といっていい内容でしたから,この馬はもっと上のメンバーともいい勝負ができるのではないでしょうか。父はディープスカイ。母のひとつ下の半妹に2001年に兵庫ジュニアグランプリを勝ったミスイロンデル。Clincherは決定打。
                                        
 騎乗した川田将雅騎手は第37回,43回に続く連覇での名古屋大賞典3勝目。管理している宮本博調教師は名古屋大賞典初勝利。

 人間の精神mens humanaが個物res singularisの観念ideaであるのなら,人間の精神のうちに何らかの観念があれば,その観念は当然ながら個物の観念,より正確にいうならその観念は思惟の属性Cogitationis attributumの個物です。精神と知性というのは観点の相違によって使い分けられるだけであり,形相的にformaliterいえば同じものです。したがって人間の精神と人間の知性intellectusは同じものです。そして知性というのは観念の集積ですから,人間の精神自体が個物の観念ではありますが,その人間の精神自体が多くの個物の観念によって組織されています。このことは個物の定義Definitioである第二部定義七から可能です。そしてまた第二部定理一五から事実でもあります。ですからそれ自体が個物の観念すなわち思惟の属性の個物である人間の精神のうちに,神Deusの十全な観念idea adaequataがあるとすれば,この神の観念idea Deiもまた思惟の属性の個物とみなされなければなりません。個物の現実的有actuale esseの一部が無限様態modus infinitusによって構成されるというのは,それ自体で不条理だからです。
 ここでひとつの疑問が生じるかもしれません。神の観念というのは,当然ながら神を観念対象ideatumとした観念です。第一部定義六により,神は絶対に無限absolute infinitumです。もっとも考察の中で示してきたように,人間の精神のうちにある神の観念が,絶対に無限な実体substantiamの観念であるのかどうかは疑問で,そのゆえに畠中の区分に意義があることを僕は認めたのですが,僕が人間の精神は神を十全に認識するcognoscereということをスピノザが肯定しているということの根拠とした第二部定理四七では,人間が十全に認識する神の本性essentiae Deiが永遠で無限aeternae, et infinitaeであるとされているわけですから,人間の精神のうちに神の十全な観念があるといわれるとき,その観念対象が永遠かつ無限であるということは肯定されなければなりません。よって人間の精神のうちにある神の観念が思惟の属性の個物であるということは,観念対象が無限かつ永遠である観念が個物である,すなわち有限finitumであり一定の時間tempusのうちに持続するdurare観念であるといっていることになります。このことが,たとえば第二部定理七に反するのではないかという意見opinioがあってもおかしくはないと思います。
 実際にはこのようなことは生じ得るのであり,不条理ではありません。
コメント
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