スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

表彰選手&論争と定義

2021-02-19 20:18:29 | 競輪
 昨年の競輪の表彰選手は1月25日に発表されました。遅くなりましたがここで紹介しておきます。
                                        
 最優秀選手賞は福井の脇本雄太選手。高松宮記念杯寛仁親王牌でGⅠを2勝。福井記念も優勝。脇本は現役で最強の選手。グランプリを勝たないとなかなかMVPは獲得できないのですが,昨年は選出されました。僕は一昨年も脇本でよいと思っていたくらいで,これでいいのではないかと思います。MVPは初の受賞。
 優秀選手賞は3人。まず広島の松浦悠士選手。ウィナーズカップオールスター競輪でGⅠを2勝。和歌山記念,高松記念,武雄記念と記念競輪は3勝。賞金で脇本を上回っていますから当然でしょう。2019年に続き2年連続2度目の優秀選手賞。
 2人目は千葉の和田健太郎選手。グレードレースはグランプリを優勝しただけですが,グランプリの優勝選手が選出されないということはあり得ませんので,妥当な受賞。初受賞となります。
 3人目は神奈川の郡司浩平選手。競輪祭を優勝。玉野記念,取手記念,岐阜記念,熊本記念と記念競輪は4勝。脇本の出走が少ない中,昨年の競輪界を引っ張ったのは松浦と郡司。ですから当然の受賞でしょう。初受賞。
 優秀新人選手賞は神奈川の松井宏佑選手。ヤンググランプリを優勝。記念競輪は優勝できませんでしたが,対象となる選手の中では圧倒的な力量ですからこれも当然でしょう。国際賞は受賞していますが,それ以外の部門では初受賞となります。
 特別敢闘選手賞は山口の清水裕友選手。全日本選抜サマーナイトフェスティバルでビッグを2勝。久留米記念防府記念で記念競輪2勝。全体的な実績は和田より上で,和田がグランプリを勝ったので優秀選手賞からはじき出された形。なのでこれも当然の受賞といえます。2018年,2019年に続き3年連続3度目の特別敢闘選手賞。
 ガールズ競輪と国際競技はこのブログの管轄外ですので,割愛します。

 その本性essentiaがそれ自身の存在existentiaを含むもの,という規定が,神Deusの規定であったという僕の推測が正しいものであったとします。それを考慮して第一部定義一を読めば,そこでいわれているのは,自己原因causam suiとは神のことであるという意味になります。いい換えればこの定義Definitioは,神は自己原因であるということをスピノザが宣言している定義であると解することができるのです。
 松田の論文の主旨というのは,僕がこの論文を引用するときにたびたび用いる,デカルトの欺瞞を明らかにしようとしているものではないのであり,むしろ上述したような,この定義にスピノザが込めようとした意味あるいはその意義を明らかにしようという点にあります。つまり松田もまた,スピノザは第一部定義一,すなわち先述したような『エチカ』の全文の冒頭で,神が自己原因であるという自身の立場を明示したのだと考えているのです。僕もまたこの考え方に同意します。すなわちスピノザははっきりとした意図をもって,『エチカ』の冒頭で,本性が存在を含むものを自己原因という,といったのだと考えます。
 なぜスピノザがそのようにしたのかということは,スピノザが自己原因論争の目撃者であったからだというのが松田の推測です。スピノザはデカルトRené Descartesの哲学については詳しかったですし,何より『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』というのは,『省察Meditationes de prima philosophia』から多くのものを負っています。ですから少なくともスピノザが『省察』を読んでいたということは確実ですし,それに対する論駁と答弁,今回の考察と関連させていえば第一論駁と第一答弁,そして第四論駁と第四答弁のことは承知していたでしょう。そしてスピノザからみると,そこで交わされている論争というのが,自身の哲学からすると不毛に思えました。なのでスピノザはそうした論争に巻き込まれることを予め避ける狙いから,『エチカ』の冒頭で,神が自己原因であるということを肯定した,より正確にいうならそのことを肯定していると読解できるような宣言をしたのだと松田は説明しています。
 このように,自己原因論争と第一部定義一の間には,一定の関係があるのです。スピノザは論争の傍観者だったわけではありません。
コメント
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