昨日、「新美の巨人たち 和田誠×清水ミチコ」を見ました。
そうそう。
和田誠さんといえば、私が中学校時代に夢中になって読んだ、星新一作品のカバー絵や挿絵として親しんだ人でした。
それから私にとって、和田誠といえば、何と言ってもこれ!
表面はベートーベンやモーツアルト、カラヤン、若き日のポリーニなど、クラシックの音楽家。そして裏面は若き日のビートルズ、マイルス・デイビス、渡辺貞夫、ボブディラン、オリビア・ニュートンジョンなど、ポップスの音楽家の似顔絵が描かれています。
いや〜、今見てもムダな線が一つもない素晴らしいイラストですね。石丸電気でレコードを買うたび、大好きだった音楽家のイラストを眺めていたものです。
画家を目指していた若き日の私にとって、和田誠さんは目指した絵師ではなかったものの、自分が好きだったものの周りに、常に居た存在でした。
番組を見て驚いたのが、和田誠フォントの数々でした。
本のカバー絵のフォントは常に和田誠さんの直筆なのですが、私はイラストを描くたびに合わせて文字を描いていたのだと思っていたのですが、もともと自分が作ったフォントがあって、それをイラストに貼り付けていたのですね!
何千種類ものある日本語のフォントを自分で作っていたなんて、本当にすごい!
イラストレーターとしても、デザイナーとしても超一流だったわけですね。
残念だったのは、和田誠さんの色指定を、さも凄いことのように描いた番組構成です。
▼和田誠さんの話の中で、手前味噌の拙作で申し訳ありませんが、こちらをご覧くださいませ。
こちらは私が会社員時代に制作した「色彩百科」という本の中の一部です。
カラー印刷の場合、30年ほど前までは上のように、藍・紅・黄・墨のパーセンテージで色を指定することを、どのデザイナーも普通にやっていました。
もちろん上手い下手はあるにせよ、誰でもやっていたことなのです。
和田誠さんの凄さは、上記のフォントや、ムダのない線だとかいった、もっと他のところにあるのにねえ。
知らない人が見たら安易に驚く、プロなら誰でもやっっていることを、わざわざアートの番組で取り上げているところが、テレビの底の浅さを感じました。
でも、和田家の食卓は楽しそうだったろうなあ♪