一昨日、たまたま朝ドラ「マッサン」の中で、あの時代に肉じゃががあったかなかったという話題がツイッターで話題になりました。
そこで昔、水産会社のネット記事に「肉じゃが」の記事を書いたことがあったのを思い出しUPしたのですが、ついでにブログから「医食同源の部屋」を設けてリンクすることにしました。
掲載は不定期ですが、ブログのネタがない時など(笑)に、マメにUPしていきたいと思います。
今回も前回に引き続きカレーの話題。
記事はそこそこ長いので、ほどほどにお付き合いいただければ幸いです。
かれーな印度カレーを召し上かれー♪・1
まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!
いやあ。長期予報じゃあ、今年の夏は冷夏だなんて声もあったけど、何だか知らねえが暑い日が続くこったよな~。あっしが若い頃の夏と違って、最近のこの季節は夕方になっても、あんまり気温が下がらねえ。
昔は文字通り、夕刻に夕立ちがあったモンだが、近頃は深夜に土砂降りのパターンが多いようだ。夕立ちというよりは、東南アジアのスコールに近い感じで、どうやら日本の夏も、タイやカンボジアの気候に近づいてきたフシがある。
おまけに東京じゃあ、汐留あたりにいっぱい高いビルが建っちまった関係で、海風が止まって、ますます暑くなるって仕組みさね。
だが、大村益次郎のセリフじゃねえが、夏は暑いモンだ。地球温暖化は憂慮すべきだろうけど、やはりあっしら商売じゃあ、夏は暑く、冬は寒い方が塩梅はいいに決まってる。
そんなこんなで、お盆前のキャンペーンは大好評だったが、お盆明けからも、お客さまがたを喜ばせる企画が目白押しだ。どうぞ、みなさんもスイサンドンヤ・ドットコムさんの食材で、この残暑を乗り切っておくれよ!
カレー、日本を制す
さて。今回からは、お盆に合わせた新企画――てえワケでもねえが、季節がらぴったりのメニュー「カレー」シリーズのはじまりでい! (もっともシリーズを続けていくと、すぐに秋とか冬になっちまうけどな)。
日本人の最も好きな洋食。子供の給食人気ナンバーワン。
カレーシチュー、カレーうどん、カレーヌードル、カレーパン、カレーまんじゅう、カレー味のスナック&おせんべい、レトルト・カレー、カレー・ルー、カレーの素、etc・・・。
スーパーに行っても、これだけカレーの品数の多い国は、他にはない。カレーの本場・インドにしたって、こと出来合いカレーの品数に関して言えば、日本のそれには遠く及ばない。
日本のちょっとした町を歩けば、本場のインド料理やタイ料理、インドネシア料理はもちろん、洋食レストランから、蕎麦屋、牛丼チェーン、駅のスタンド、居酒屋メニューまで、カレーのメニューはそこかしこで幅をきかせている。
あっしらサカナ屋さんにしたって、気分を変えて河岸でカレーを食べるなんてことも少なくない。ともかくもカレー大明神は、日本の食文化も深いところまで入り込んでいるわけさね。
さてさて残暑とはいえ、まだまだ暑い日の続くこの頃。みなさんも夏バテしないために、日本人の大好きな食べ物――カレーとやらを食べてつくしていただきやしょう!
カレーは体に良いぜ!
もう10数年ほど前になるだろうか――あの「美味しんぼ」の中に、カレーに丸々一冊費やした巻がある。これを読むと、いっちょまえのカレー通を気取れるほど、よーく調べてある力作だが、その冒頭部分に「どのカレーがいちばんか?」という話がある。
ある人は丸のままのジャガイモ入りこそが一番だと言い、別の人はジャガイモ入りのカレーなんか、食えたもんじゃない、てな具合で――登場人物が「我がカレーこそ最高のカレー」と譲らないんでケンカになる場面だ。
まあ、マンガでなくとも、実際にありそうな大人気ない話だが――あっしの考えでは、「こだわりのカレー」というのは、ある意味、このエピソードに集約されているような気がする。
お客さんのまわりにも、いるだろう?
インド人やバングラデシュ人にレシピを伝授され、自分のカレーこそが本場のカレーと自認してやまない人。カレー屋でバイトしてレシピを覚え、ガールフレンドに「カレーは俺にまかせろ」と小鼻を膨らませる若者。
または、小麦粉でトロトロにして、一晩ねかせたカレーが最高という人もいるだろうし、学食のカレーが自分の中では一番という人もいるだろう。
え? ゲンさんはどう思うんだって?
へへへ、 その答えは真っ平御免なすっておくれよ。どのカレーが最高かを断言するなんて、お釈迦さまとイエスさまを比べて、どっちが偉いかを決めるみたいなもんだ。
それに食べ物に何が一番で何が二番、なんてありゃしない。あるのは、どれが旨いか、体に良いかってことさね。
それにしても薬膳カレーなんてお品もあるくらい、カレーってえのは体に良いもんだ。なんせカレーのスパイスの中には、漢方薬として用いられているものも多く、その証拠か、インド人の胃ガンの発生率は世界で一番低いとされているんだ。連中、辛いものと油っこいものばかりで、さぞ胃袋を痛めているかと思えばさにあらずだね。
こいつはカレーって食い物が、いかに体に良いかを証明している、ひとつの事例といえるかもしれないな。
カレーはザビエルが持ち込んだ?
ただスパイスは奥が深く、とても1回で済むような話じゃない。そいつは、ちいとばかし、ややこしいんで後回しにしよう。
第1回めの今回は、オーソドックスにカレーの歴史からはじめてみよう。なんせ、こいつは前回まで連載していた「マンマミーア・イタリアン」に共通したお話だ。
イタリア料理とインド料理の共通点・・・さーて、何だと思う?
そう! カンの良いお客さまなら、おわかりだろうが――イタリア料理のトマトも、インドのカレー料理も、実は17世紀は大航海時代以降の産物なのさ。古代ローマ時代にトマトがなかったように、お釈迦さまの時代にカレーは存在しなかったってワケさ。
ただ、トマトがはるばる中南米からヨーロッパにやってきたのに対し、カレーのもとになる胡椒などのスパイスは、インド周辺に自生していた。そこは大きな違いだな。
つまり、イタリアにとって、トマトはよそから来た食材――。
インドにとって、いくつかのスパイスは、もともと現地にあった食材だってことさね。
ただ17世紀までは、現在のカレーのように、さまざまな香辛料をミックスされるレシピはなかった。じゃあ、いったい誰がカレーのレシピをインドに持ち込んだかといえば、意外や意外――そいつはポルトガル人の仕業だったそうだ。
日本の天ぷら(※1)もカステラも、もとはポルトガルの食べ物だったそうだが、まさかカレーも、もともとは連中がインドに持ち込んだものだったとはねえ・・・。
西インドのゴアには、あの宣教師フランシスコ・ザビエルの墓がある。日本にも馴染みの深いザビエルさんだが――もしかするとカレーはインドに、天ぷらとカステラは日本に、ザビエルおじさんが持ち込んだ(ハズはねーだろうけど)、なんてこと想像をすると、ちょっくら楽しくなるわな~♪
※1 天ぷらはポルトガルで、調理を意味するテンポーレ(tempore)が語源という説が有力。また、英語の聖堂を意味するテンプル(temple)の語源説もあることから、宣教師が持ち込んだという、イダテンのゲンさん説もあながち間違ってはいないかも?
塩胡椒だけのインドカレーって?
残念ながら、現在のポルトガル料理には、カレーも天ぷらもカステラも残ってない。
ポルトガルでどんなカレーが食べられていたかは、定かではないが、いくつかのスパイスをミックスさせた香りの強い食べ物だったんだろう。
当然、現在のインドカレーとは、かなり異なったものだったハズだが、この香辛料のきいた料理は、たちまちインド亜大陸に暮らす人々の味覚を魅了した。もとよりスパイスは豊富に採れる土地柄に加え、場所によると酷暑期は50℃近く(※2)にも上る厳しい気候に、この食べ物はピッタリ合ったんだな。
それにしても、気候的にスパイス類の成育条件の良いこの地にあって、それまでなぜインド人によるスパイス料理ができなかったのだろう?
いやいや、もちろんインド人によるスパイス料理は、それ以前からあったそうだが、そいつは肉や野菜に塩胡椒をまぶして辛くした(暑いから、きっと大量に使ったのだろう)、今のカレーとは似ても似つかない単純なレシピだったようだ。
やっぱりカレーはインド料理!
そう。スパイスってえのは、1~2種類だけを大量に使ってもカレーになるもんじゃない(また現在のインド料理では、必ずしも胡椒を使う場面ばかりじゃない。基本となるスパイスは主にコリアンダー、チリ、ターメリック、クミンが中心だが、それ意外にの使い方はほとんど無限にある。まあ、この組み合わせに関しては、次回以降のお話に回すことにしよう)。
17世紀の大航海時代前、胡椒とターメリック、ショウガなどのスパイスは、まさに原産地であるインドで、文字通り売るほど採れたわけだが、そのほかの香辛料はそうではなかった。
唐辛子はメキシコ以南の中南米が原産。
コリアンダーは南ヨーロッパ、クミンはエジプトが原産。
そしてトマトやジャガイモなども中南米原産と、現在、一般的なカレーを作るのに必要なスパイスや食材は、まだこの時代には揃わなかったんだ。
だからこそ現地のインド人より、むしろスパイスの交易によって莫大な利益をあげていた、スペイン人やポルトガル人たちの方が、こと種類に関してはよーく知っていたのかもしれない。
もっとも連中は食べることより、売ることに関心が向いていた。ヨーロッパでカレーは発達しないどころか、雲のように消えてしまい、インド亜大陸で大きく花を咲かせたわけだ。
中国やチベットの保存食だった寿司が、日本で江戸前寿司として発達したように、カレーもまた、インドで生まれた料理として、世界各国で食べられ――今や日本の食文化のひとつとして完全に定着しているって寸法さ。
さーて、時間がきやがった。
それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!