小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

亡き親爺のためのパバーヌ

2010-11-01 05:06:58 | Weblog
おかげさまで母は元気になりました。
箱根ではなぜかカラオケにハマってしまったようで、
それはそれは大変なお気に召しようでございました。
(でも、私を含めてうちの家系って、あんまり音楽のセンスがないんだよね)。

こんな時に出るのが親爺の話ですが、
親子兄弟とはいえ本音のブブンって、あとになってわかることが多いものです。

今から20数年前のこと。
親爺は何かのお祝いに母を、夫婦水入らずで金沢まで連れて行ったことがあります。
普段は出不精な父ですが、この時はスイッチが入っていたようで、
兼六園や武家屋敷などの観光コースをハイヤーでまわり、
晩はあの懐石で名高い高級料亭つば甚で、
最上のコースをたのんだそうです。

帰ってきて親爺は喜色満面の笑みを浮かべながら、
「つば甚という金沢随一の料亭を知っているか?
 そこでなあ、最上の懐石を堪能してきたぞ。
 鴨の治部煮というのを知っているか。あれは実に旨い!
 おかあちゃんは実に喜色満面、大満足で食べていたぞ。
 おまえもいずれ、かみさんをもらったら、
 そのくらいのことは出来るようにならんとな」
なんてことを申していたのを、なぜかよーく覚えておりました。

で、その話を母にしたら・・・
「そりゃあ、アンタ。あの料亭の名前、何だっけそうそう。
 つば甚・・・だっけ?
 そりゃあ美味しいに決まってはいるけど、あんなにお父さん気合い入れてさ・・・。
 普段、家じゃ何にもしないのに、
 あそこまでやってくれて、”美味しくない”なんて言えないじゃない」
とのこと。

うむむむ。
なんだ。けっきょく一番満足していたのは親爺だったんじゃないか。
母は気合いの入りすぎた親爺のエスコートに、
なにもそこまでしてくれなくても、なんて引いてしまっていたようですわ。
何でもポンポン思ったことを言う母が戸惑うくらいですから、
親爺にとって一世一代のサービスだったのかもしれません。

まあ、それでもつば甚で懐石なんてたいしたもの。
今の私にはできないよなあ・・・。
いずれ、そんなことができたらいいな、なんて思った次第でおます。


写真は、みなと荘の晩のコース(右下は朝食)。
価格的につば甚の10分の1以下でしょうが、ここの花板さんは相当な腕前。
なんせ出汁の取り方が素晴らしい!
区の施設とはいえ、きっと限られた予算。
その中で何とも楽しい献立を生み出しています。

 
コメント (6)
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