漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

納屋を焼く

2005年04月27日 | 読書録
<本当に怖い小説のアンソロジー:7>

「納屋を焼く」
村上春樹著

村上春樹の初期の短編には、印象的なものが多いと思うが、この作品も例外ではなく、何とも言えない読後感を残す。不穏な気配ばかりが漂い、形を結ばない。平穏な毎日の裏側に潜む「暗い何か」を書き出すのが村上作品の特徴であるが、この作品はまさにそのエッセンスのようなものだろう。
読み飛ばしてしまえばそれで終りだが、立ち止まって考えるととても怖くなってくる、これはそんな作品だ。