先日、代々木上原にある本格的なモスク「東京ジャーミイ」に行った。ずっと翻訳をしている「紫の雲」では、トルコのイスラム建築がやたらと出てくるのだが、なんだかよくわからなくて、本を見たりしていたところ、その複雑さに興味が出てきた。以前に前を通ったこともあるこの「東京ジャーミイ」が、トルコ文化センターを兼ねていて、見学ができると聞いたので、行ってきたのだ。
東京ジャーミイの一階は、トルコ文化センターで、土産物などを購入することができる。礼拝堂は二階にあって、内部の撮影は事前の許可が必要。女性は頭にスカーフなどを巻いて、髪を隠す必要があるが、入り口のところに見学者用に何枚か置いてくれてある。
中に入ると、まず息を飲む。本当に美しい。あらゆるところに幾何学的文様があしらわれ、その色彩の調和も相まって、計算されつくされた、完成された美を感じることができる。いつまででもいたくなる、落ち着いた空間になっている。ここでこれほどのものなのだから、有名なスルタン・アメフト・ジャーミイなどはどれほどなのだろうと思う。
東京ジャーミイについては、詳しいサイトもある。機会があれば、一度モスク内を見学させていただくと、興味深いのではないかと思う。
帰り際、話しかけてくれたイスラム教徒の方(どこの出身なのかは分からない)が、今回の地震の話をしながら、「でも、モスクだけは壊れなかった」と誇らしげに言っていたのは印象的だった。本当かどうかは知らないが、そう言うのだから、きっとそうなのだろう。ぼくは全く宗教は信じないが、彼にとってはそれはアラーの正しさを意味することであり、誇らしいことなのだろうと思う。それはそれでいいが、被災地には、これから先どんどんと怪しげな新興宗教も入ってくるだろう。気をつけて欲しいと思う。