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第三能変 別境 (独並門) 護法正義を述べる。
ー 所観の境に対して慧のみ起す場合を述べる -
「或いは所観の於に唯簡択のみを起す、謂く、専注せずして馳散(ちさん)して推求するぞ」(『論』)
「述曰、或いは唯慧のみを起す。謂く掉挙(じょうこ)多き者は一境に専ならず。其の心を馳散して、法相或いは復た事理を推求す。唯慧のみ有って定無きことも亦世の共に成ぜる所なり。即ち四境の中に一々別に起こるなり。境互いに無き所なり。合わせて五種有り」
(意訳) 或いは、所観に対して、ただ簡択のみを起す。その理由は、専注せずして馳散して、推求しているのである。
『述記』によりますと、これは、つまり、掉挙(随煩悩の項参照・定を妨害する働きをもつ。「ウゴキサワギスル心ナリ」)が多き者は、一境に専注することができず、その心を馳散(心をあちらこちらに動かして)して、所観の様子や事理を推求(推し量り考え求める)する。つまり簡択の働きであって、この場合には慧のみ起こり、定は起こらないのである、と述べています。
以下、別境の心所が二つ生起する場合・三つ生起する場合・四つ生起する場合・五つ生起する場合についてじゅ順次説明されます。