さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

若き王者、意地の奮戦も届かず 重岡優大、ジェルサエムに判定負け

2024-04-01 00:01:25 | 中部ボクシング




午前中からWOWOW、午後はABEMAとライブでボクシング漬けとなった日曜日、DAZNにまではとても手が回らず。
とりあえずABEMA、全部張り付いて見てはいられませんでしたが、メインを中心に感想文です。


メインとして行われたWBCミニマム級タイトルマッチは、重岡優大が初回早々、メルビン・ジェルサエムのボディ攻撃を受けて後退、ダメージありありで打ち込まれるという、意外過ぎるほど意外なスタート。
強気の表情と、打ち込む構えで隠そうとしていたが、かなりきつかったはずで、身体の動き自体も、パンチのノリも、明らかに良い時からすれば割引きあり、という感じに落ちている。

その状態のまま、引いたら攻め込まれるという判断で、必要なだけの攻撃はして、リズム刻んで、時間作って回復待ち、と頑張っていた優大でしたが、打ったあと身体が残り、止まるところを右で叩かれるというパターンで二度ダウンを喫する。
ジェルサエムはボディ打って、上に返してという、良いパターンの攻撃が出来る上に、WBCルールで途中採点を聞けるものだから、終盤は適時、構えて迎撃というスタイルにシフトしていき、最終回はほどよく流して終了。

判定は驚くほど王者に好意的で、2-1でしたがさすがに逆はなし。ジェルサエムがWBO王座に続き、日本で二度目の戴冠となりました。
私はラウンド数8対4、ポイント数でいうと10対4と見ました。

重岡優大、まさかの陥落となったわけですが、初回早々にダメージを被って、途中で倒されていても不思議じゃ無いと思うくらいの厳しい展開でも粘り抜き、判定に持ち込む奮戦。
その姿は、率直に言って感動的でした。
あのダメージの受け方が、おそらく相当なものでもあろう減量苦から来ているのであれば、転級は待ったなし、ということになろうか、と思いますが...同じ負けるにしても、変な言い方ですが、立派だった、と思いますし、だからこそ今後についても、まだまだ期待したくなる選手です。



弟の重岡銀次朗は、ジェイク・アンパロを2回、左のレバーパンチ、一発でKOして、IBF王座を防衛。
相手の状態についてどうこうというのは、結局答えの無い話ですが、相手が万全かどうか疑わしい時点で、どういう勝ち方をしても、評価のされ方が限定されてしまう、そういう試合でした。
相手がどう以前に、銀次朗が強いことは、間違いない事実なのに、世評はどうしても辛いものになってしまう。
改めて今回の試合にまつわるあれこれは、不幸だったと思った次第です。

今後は昨年末にアンパロを下し、IBFの挑戦権を持つはずのペドロ・タドゥランとの対戦に進むのか、もしタドゥランが他に行くなら、それこそジェルサエムとの統一戦で、兄の仇討ちを目指すのか。
WBO王者オスカル・コラーゾとの絡みは、現実味が薄れた感ありですが、その代わりに、色々と行くべき道が見えてきた、とは言えるのかもしれません。



但馬ミツロは、ブリッジャー級の世界ランカーという、38歳のルーマニア人、アレクサンデル・ジュールに判定負けでした。

但馬は今回、これまでより20キロほど減量したとのことでしたが、それでもまだ、身体の表面に筋肉の形が見えるに至らず。
ヘビー級でやっていく以上、もっとウェイトトレーニングなどをして、肉体改造に取り組んでいるのかと思ったが、そういう感じでもないのか。
体格としてはクルーザーでもなく、ライトヘビー級くらいが「妥当」なのかもしれない。
デビュー当初はともかく、最近はあまり気にもしていなかった部分ですが、今回の体重設定で、その辺が改めて目に見えたような。

で、海外のヘビー級の試合、8回戦とかがWOWOWで放送されるとしたら、負ける方のコーナーにいる選手ってこんな感じやなあ、と見えたジュール相手に、それこそジャブで効かされ、アッパーで倒され、こっちは少々のヒットがあっても、相手がさっぱり堪えない、という展開の末に、相当なダメージを負って判定負け。
その姿を見て、いったいこの選手や陣営は、何を根拠にヘビー級で闘おうという方針で、これまで活動してきたんだろう、と...正直、最近はあまり気にもせず考えもしなかった疑問が湧いてきました。

今回の相手は、これまでの相手と違い、一定以上の体格と技術を持つ選手でしたが、ブリッジャー級というものがなければ、世界どうと言われる選手ではないのも確かで。
このくらいの相手に、今の段階で当てて、限界が露呈されたことを、幸いと見ていいものかどうか、ちょっとわかりませんが...見た感じ、筋肉量という以前に骨格、フレームの比較で、もう無理だろう、ということが見えたように思います。
しかしライトヘビーに落とすとしても、そこでは体格やパワーとはまた違った「質」の部分で、シビアな闘いが待っていることでしょうが。



亀田和毅は、こちらも代打のケビン・ビジャヌエバに5回終了TKO勝ち。
この試合、私、ちょうど(上手い具合に、なんて言うつもりはないですが)丸ごと居眠りしてしまいまして、見ていません。
従って感想は書けません。気が向いたら見てみるかもしれませんが、今のところは。そういうことで、ご了承を。



日本ミドル級タイトルマッチは、王者の国本陸が、1位の可兒栄樹に6回TKO勝ち。
始まってすぐに、可兒が意外に動かず、足使わず、正対して止まって国本とやり合うのを見て、これは国本に幸いするだろう、と思いながら見ていました。
概ね、展開はその範疇にあるまま、国本がTKOに持ち込んだ、という風。
可兒は国本のガードが動く瞬間を狙って打つ、高度な戦法をやっていたのかもしれませんが、結果として奏功しませんでした。



イベント全体としては、冒頭からトークのパートがたっぷり取られ、試合の合間にも何回かあったようです。
亀田の会社とABEMAは現状、従来どおりの支援体制とは関係性が違ってきているのか、芸能人も歌手も登場せず、ひたすら高柳さんと内山高志と女性ゲストの方がお話する、という具合。
明らかに予算の削減、ないしはそれに留まらない何ごとかがある模様。

まあ、こちらにすれば、そんなのに付き合ってられないというのは変わらず。
音声消して読書したり、仮眠したり、いったん離れたりするわけですが、こちらとしても辛いけど、仕事とはいえ、長丁場ずーっとしゃべり続けないかんというのも、大変だろうなあと。


あと、次回配信の堤駿斗の試合については、それなりに力入れている印象でした。
矢吹、力石兄弟や重岡兄弟、堤駿斗など、帝拳、大橋やその関連以外にも、良い選手はいるのですから、ABEMAさんはそちらを「受け持つ」形で、引き続きボクシングを取り上げ続けてもらえたらなあ、と思います。
何かとどたばたする業者さんとのお付き合いについては、なるようにしかならない、と割り切っていかれるのが良いか、と...。



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5 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-04-01 04:06:53
あの右ボディストレートが効いたのは予想外でしたよね。おっしゃる通り減量が限界だったのか。
あの伸びる右を可能な限り外そうとしてましたが、ただ今まではスピードとパンチ力、フレームで勝てていたのが今回はそれだけでは勝てない相手でしたね。
性格上強気に振り抜いてましたがその分身体の開きがあり、カウンターの餌食になり、でしたしもっと右ジャブ、右フック返しとか使えんかな、と思いましたがそれがもしかしたらできなかったのかもしれませんね。

銀次郎くんは相手の身体明らかに急ごしらえに見えましたね。とはいえあのレバー打ちには驚きました。
お二人とも付き合う相手は選びましょう!

但馬は本当あれで25キロ減量したの?という締まりない身体。おっしゃる通りヘビーはおろか、あと10キロは削れそうですね。今回の相手、スピードもパワーもいくらでもいる相手でしたし、その相手のパンチに反応せずビシビシパンチ受けて、大きな振りのパンチは通じず、では厳しいですね。
階級選びや身体作り以前に技術的にもう難しいでしょうね。大したことない相手に楽なKO重ねて、必要なDF技術や戦術を磨いてこなかったツケが見えました。

亀田の試合、飛ばしながら相手途中見たら、まあね、おあつらえ向きの打ちっぱなしできるのでしたね。まあ吠える吠える、絶対負けることないから引退せずに済んで良かったですなと。それだけです
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-04-01 08:25:18
>R45ファンさん

最近、日本人ボクサーが世界戦でボディ効かされるシーンって、あまり見ていないので驚きました。単にジェルサエムの力かもしれませんが、そのあたりは本人と陣営がしっかり省みてほしいですね。
今までは言えば総じて「力」前提で闘えたわけですが、今回思わぬ悪いスタートで、その部分がほぼ根底から覆った感じでした。「打つ手」の効果に限界があり、「打てる手」の選択以前に苦しかったように見えましたね。
銀次朗は、相手がベストだったとしても同じことだった、と見えもしました。しかし...色々残念でしたね。
但馬については、本人も陣営も、これまでの活動方針が疑われてしまう内容と結果になりましたね。ヘビー級というのはやはり、怪物の巣窟です。そこにベストが遙か下の体格で挑む...どういう勝算があるものか、と最初は思いましたが、最近はあまり関心を持っていませんでした。はしなくも、さしたる知見もないまま、何となくやっていたらしい、ということが見えてしまいましたね。
かつて亀田兄弟を「リングの野獣」と評した友人の言葉は、何度か紹介したかと思いますが(相手が弱いとすぐ噛み付き、強いと見たらすぐ逃げる)、それじゃ「リングの野犬」ですね。あの兄弟で困るのは、見ても笑えもしない、というところで...まあ、今回幸いにも見ずに済みましたんで、もう、そのままにしておきますか(笑)。
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Unknown (海の猫)
2024-04-01 14:25:24
序盤からボディストレートがきれいに入って、タイミングをまだ掴めていない内にもらってしまった、と思いましたが、最後まで掴めていませんでしたね。そしてリズムが単調なので、自身のペースで戦えている時は良いですが、そうでないと流れを変えられず。その状況で、終始倒しに行って戦い抜いたのは立派でしたが、途中で少しペースを落として、相手を冷静に見たり、流れをリセットする時間を作っても良かったのかなと。そんな状態ではなかったかもしれませんが。
今回は、試合前の準備の差も出たように思います。ジェルサエムがこの試合用の戦い方を用意してきたのに対し、優大は普段通りやれば勝てる、といった姿勢で、自信が悪い方に出てしまいました。ダメージあり、ペースを掴めない状態でもスタミナの不安を感じさせないのは、日頃の練習の賜物と思いましたが、相手に対する対策という点では不十分だったのかなと。

銀次朗の方は、おっしゃる様に見たままの評価は出来ない試合で、両選手ともに気の毒でしたね。次はまともな試合となることを願います。ジェルサエムとの統一戦も組めると良いですね。

但馬は、デビュー当初は階級を落とせば、と期待させるものもあったと思うのですが。そもそも何でプロになってあんなに増量したのでしょうね。今回は途中で止めてもいいくらいに見えました。やみくもに突っ込んで一発振るしか出来ないのを、最後まで諦めていないと見てよいものかどうか。

3150、志成勢は良い選手がいますし、Abema は彼らの試合をほぼ無料で見せてくれる有難いプラットフォームなのですが、どうにも好きになれず。ボクシングに対する愛情も敬意もまるで感じられない。そもそもそんなものがあったら、最初から亀田と組まないだろうと思いますし。前回の重岡兄弟のハイライト動画、タイトルに「タコ殴り」だの「血祭り」だの。ボクシングを何だと思ってるのかと。そして、累計のアクセス数を「視聴者数」としてPRに使ってる時点で、会社の体質が分かる。だから亀田と気が合うのでは、とまで思ってしまいます。
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Unknown (月庵)
2024-04-01 22:24:58
所用であったりタイミングであったりで結局まともに時間取って見られたのはメインだけだったのでそれだけを。重岡とジェルサエム、本当に賽の目のように両者にとって良い目悪い目がはっきり分かれる結果になりましたね。腹を効かされたのも早々にダウン取られたのも痛かったでしょうが、一番痛かったのはそれでジェルサエムが完全に自信・確信を持ってしまったことなのだと思います。兄弟に共通して言えることですが、特に兄優大は圧して出て相手を怯ませることが大前提の組み立てになっているのに、肝心のジェルサエムは全く怯んでいない。時折いいのが当たっても全く効いていないようにすら見える。こうなると倒し返して、というのはかなり非現実的な話になってしまう。それどころかジェルサエムは打ち終わりに平気で右のカウンターを打ち込んで来るのだからたまらない。元々テクニックそのものが特別優れているわけでもない重岡は、こうなったらもう手の打ちようがなくなってしまいましたね。

見ていてとても挽回出来そうな流れに見えず、またポイントを重岡に振りようもないと感じ、私はほぼフルマークでジェルサエムにつけていたのですが、途中採点含めて驚くほど大甘な採点になっていたのが、逆に奮闘する重岡を貶めていやしないか、とさえ思ってしまいました。何をどう採点すれば途中採点でドロー、12R判定で『逆転』があり得るというのか。あるべき結果になったからまだよかったものの、もしジェルサエムが負けや引き分けにされていたなら間違いなく勝利を盗まれたと言われていたでしょうし、それは負け以上に重岡の尊厳を傷つけることになっていたと思います。

今後については、階級アップは必至でしょうが、果たしてそれで今のボクシングをやって王者級に勝てるか? と言われたら私は首を縦に振れないです。序盤に効かされ倒され、というので割引があったとしても、それでも彼の圧して出るボクシングは明確にジェルサエムに通用していなかった。そのジェルサエムもコラーゾには一方的な展開で完膚なきまでに叩き潰されている選手。シンプルに重岡の現状におけるボクサーとしての一つの限界が示された試合だったように思います。そして階級アップすれば自らのパワーは相対的に目減りして相手のパワーは増すのが普通。今回と同じようにパワーで相手を怯ませられずにペースを握れない、という場面は必ず出てくるでしょう。そこで違う引き出しを用意できなければ同じような結果を繰り返すだけのように思います。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-04-02 18:55:35
>海の猫さん

優大の闘い方については、引いたらあの右がもっと数多く飛んでくる、という判断だったのでしょう。圧しているからあの程度で済んだ、持ちこたえられた、と見ました。もちろん、それと引き換えに負うリスクも当然、あったでしょうが、普段から力押し中心で闘い、駆け引きなどはそれに付随するもの、という優大の現状からして、妥当な選択だったでしょう。それが彼の、今の限界を示している、という言い方にもなりましょうが。
相手を見ての対策については、ジェルサエムは谷口戦でも見せた、対サウスポー戦の良さが早々に出ましたね。ボディストレートであれほど効かせられるとは思っていなかったでしょうが。優大の方は、右ストレートリードを警戒はしていたと思いますが、「下」でダメージを負わせられたわけで、おそらく想定外だったでしょうね。
銀次朗とジェルサエムは、双方にやる意味があり、プロモート的にも実現性充分でしょうね。ただ、6月に次をやる、指名試合を持ってくるかもしれない(ペドロ・タドゥランの準備がどうかは不明ですが)という話で、色々難しいところもありましょうね。
ABEMAのボクシングに対する姿勢というか態度というか、それは他の格闘技のような「売りやすさ」「扱いやすさ」に欠けることへの不満を露呈し、理解しようという姿勢が無いもの、と言えそうです。愛情や敬意だというのは置いて、基本、ビジネスとして双方得られるものあらば、という「だけ」で、特に考えなく、格闘技と同じ手法で売ろうとしているだけの話じゃないかと思います。言葉遣いも、似たようなものを引っ張ってきているだけなんじゃないでしょうかね。他のものをほぼ見ませんから、よくわからないのですが。
数字の数え方はそういうものですか。ホントのところをわざわざ言うことはない、という点では、亀田と通じるものあり、ですね。まあ、他のボクシング業者さんとて、大きく違いはしませんか(笑)。


>月庵さん

仰る通りで、優大にとり普段の勝ち筋が消されてしまった試合でしたね。ジェルサエムが仮に、質の部分で上回っても、馬力と強打でなし崩しにされてしまう、という展開を予想していましたが、そうなりようのない試合でした。しかもご丁寧に途中採点を教えてもらえるんですからね。優大がどれだけ頑張っても「間違い」など、まず起こりようがありませんでした。
途中採点はもう、諦めて聞いていました。そもそも最初の、4回終了時点の採点にしてからが「無茶しはるなあ」の一語で。
でも、採点の内容はどうあれ、途中で二度、そうなっているのか、と知った上で闘えるんですから、ジェルサエムにとっては有り難かったでしょう。また、それがオープンスコアのメリットでもあります。ジャッジが変な事してても、試合終了まで「内緒」にしておけない、ということが、青コーナーの選手にとってどれだけ助けになるか。今回の試合は、それがよくわかる試合でもありましたね。
今後については、まだ無理をしてミニマムに留まる可能性もなしとは言えないですが、普通なら転級でしょうね。そうなった場合、今回の敗戦、その内容を省みての再出発となるかどうかですね。もっとも、階級を上げて、馬力や強打がより生きるコンディションが作れる可能性もありましょう。その上で、技術面でも落ち着いて、巧みさが出せるかもしれません。何しろ、右から左に世界世界と組める状況ではなくなるでしょうから、それを幸いとして、数試合かけてベストのスタイルを作っていってもらいたいです。
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