さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

井上尚弥挑戦レースにまさかのダークホース? ドヘニー、衝撃の初回KO

2023-11-02 00:12:58 | 関東ボクシング



火曜日のLemino無料ライブ配信、偶数月フェニックスバトルは、メインが大熱戦の末判定でしたが、アンダーは終わって見れば全部KO、TKOでした。
進行もサクサク、場内もメインの頃は双方の応援団で盛り上がり、良い感じ。
こういうのがひとつの理想ですね。


さて、衝撃のセミファイナルですが、ジャフェスリー・ラミドという名前は覚えにくいから短縮ということか、ジェフ・ラミドという表記に変わった、米国のホープが日本のリング初登場。
韓国のリングで破った岩佐亮佑が解説席に陣取るなか、これまたかつてホールのリングで岩佐を破った元IBF王者TJドヘニー相手に、初の122ポンドでの試合。

ラミド、フェザーの選手で、しかもまだ若く、これから身体が大きくもなる頃合いのはず。
それを逆に、若い内ならば、と一階級下げる、という、いかにも古い日本のボクシング関係者の発想がほの見える話。
しかも、パンチ力で七難隠すという選手ではなく、動きの質とスピードの維持が大事な、スピードスターなのに。

ちゃんと動けるんならいいけど、あんまりええことないと思うけどなぁ...とまあ、この試合が決まったときは、つらつらと思ったりもしました。


しかし実際に試合が始まると、ラミドのジャブは速いし、遠目から飛び込んで打つ、距離の長さもある。
これなら大丈夫かな、と思った矢先に、ドヘニーのワンツーが出ました。

右を下打つように見せるフェイントから、軌道を変えた右ジャブ。
これは触り程度で、その間ステップを踏み直しつつ、左のクロスを肩越しから。
反応の良いスピードスター、ラミドが両手を顔から離して目で外そうとするところを、ドヘニーが巧く間を詰めて叩いた。

ラミド、後頭部を打つダウン。解説の亀海喜寛でしたか「終わりました」と。その言葉通りの「絵」に見えましたが、続行。
ドヘニー出てラミド崩れ、スリップ。ラミドは無我夢中でドヘニーの足にしがみつこうとする。相当効いている。
再開するが左で追い立てられ、体勢が崩れたまま攻められる。程なくレフェリーが止めました。


終わってみて、ラミドの動きは、攻めの踏み込みが強すぎたかな、もっと外す、下がることを優先して動く選手だったはずなのに...と思ったりもしました。
しかしそれも、立ち上がり故の硬さで、もし試合が普通に進んでいたら、もっと動いて速いパンチを当てては動き、という、岩佐亮佑戦のような流れになっていたのかもしれません。
やはり、立ち上がりの硬さがあったとして、それを逃さず、巧みに、かつ強烈に一発を打ち込んだドヘニーが、勝負に勝った、ということなのでしょう。


これで岩佐亮佑戦、そして中嶋一輝にラミドと、後楽園ホールで三連勝となったドヘニー、大喜びのお子さんと共に会心の笑顔。
井上尚弥挑戦への希望も語っていました。前回はあわよくば、という願望を言っていたように覚えていますが、今回はより本気だったように。
そして、そう言うのも無理はない、と思うくらい、見事な、衝撃的な勝利でした。



現実には、この勝利があったとて、まだ井上尚弥挑戦は遠いだろう、と思います。
来年も井上がスーパーバンタムに留まって二試合くらい闘うなら、優先されるのは(嫌な話ですが)ルイス・ネリーであり、「脱落」したと言われるジョンリエル・カシメロの代わりになるべきは、ムロジョン・アフマダリエフかサム・グッドマンでしょう。

しかし、ドヘニーがさらに来日して、それこそカシメロや小國以載、下町俊貴や武居由樹のような、日本でお馴染みの顔ぶれと対戦して勝ちまくる、ということにでもなれば、可能性は低いにしても、抜擢はまったく無い話ではない、かもしれません。
さらに言うなら、こういう条件が揃った上で、井上の挑戦者が直前でトラブルに見舞われ(或いは「起こし」)た場合の代理挑戦者に選ばれる、とか...そういう話なら、あり得なくはない。
今回の勝利によって、少なくともそういうところには歩を進めた、と言えるでしょう。
来年以降、井上の防衛戦のアンダーに、またドヘニーの名を見ることがあるかもしれませんね。



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4 コメント

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Unknown (モノクマ)
2023-11-02 02:13:34
栗原に続き、応援してた選手がこのような形で負けるのが続くとだいぶショックが大きかったです笑

ラミド動きは良かったんですけどね。全てを見切る前に相手の力量を過小評価して余裕を持ちすぎてしまい一発をもらったところで、左右の違いはあれど井上ドネア1がフラッシュバックしました。違いは当たりどころと打たれ強さですかね。ラミドにはまだ期待しているのでしっかりダメージを抜いて再起してほしいです

一方、ドヘニーは評価急上昇ですね。それに伴い、ドヘニーに完封したグッドマンの評価も個人的には上昇してます。大橋ジムがマネーの関係で井上vsカシメロを諦めていなければ、今後ランキング的にもドヘニーvsカシメロなんてこともあるんでしょうかね
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Unknown (海の猫)
2023-11-02 08:27:55
前回の中嶋戦で、ドヘニーの再浮上を目指す「本気」が見られ、密かに応援していました。とはいえ予想では不利と思っていたので、この結果はめちゃくちゃ嬉しいです。

あの左は見えていなかったと思いますし、あの位置から一瞬で強いオーバーハンドが届くとは思わないですよね。見返したら、ドヘニーは右を打ちながら後ろの足を引き付けてますね。これで次に一気に距離を詰めれている。タイミングも位置もバッチリ、お見事でした。

ラミドに関しては、最初から前の手が今ひとつ機能していない?ように見えました。ただ伸ばして置いているような時があり、ドヘニーの動きに対する反応も鈍い。これだと、相手の動きを制限しきれないのでは、と。

ドヘニーがしっかり相手に集中し探っていたのに対し、ラミドの状態がよく分かりませんでした。動き自体は良いのですが、何か定まらないというか。余裕を持ちすぎているようにも、逆に固くなっているようにも、迷っているようにも見え。単に序盤だったからですかね。
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Unknown (アラフォーファン)
2023-11-02 13:54:59
てっきりラミドの品評会みたいなもんだと思ってましたが、まさかでしたね。若干足運びがスムーズじゃないのか?
くらいに思いましたが、ドヘニーは身体大きくて、脂肪も少し見える。解説もそんな話していて、スピード差段違いだし、あっさり捌きだしたし、あ、これ終盤ストップかなとか考えてたら…まさに乾坤一擲の一撃でしたね。ドヘニー、あれに賭けた感じでした。そしてラミドが見切りきらないうちのあの一発のために何回もシミュレーションして、繰り返した姿が浮かぶ。その思いがまさにクロスした一瞬でした。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2023-11-02 22:09:35
>モノクマさん

ラミドは痛い星を落としましたね。サルダール、栗原戦に続く衝撃の初回KOでしたね、なるほど。
何しろ試合が短くて、要因が何だったのかは何ともですね。ラミドは日本のジム所属か、契約下にあるか、関わりを持っているようで、名前も縮めてさあ売りだそうというところだったのでしょうが、相手がまだまだ、そんな目論見通りになってくれない人だった、というところでしょうか。
そのドヘニーに勝ったグッドマンも、井上挑戦には遠いことを思えば、ドヘニーとて、もうひと山ほしいところですね。そしてカシメロも同様です。両者の対戦、双方にとって願ったり叶ったり、なのかもしれません。ただ伊藤雅雪がそう思っても、カシメロや周辺がどうなのか、ですが...。


>海の猫さん

まだ枯れてへんで、という感じで、確かに意欲を感じさせるところが良いですね。私は中島戦の前、正直ドヘニーを軽んじていたところがあって、大きな間違いでしたが、まさか今回もこんな勝ち方とは。脱帽ですね。
ラミドは見ていて、確かにちょっとだけ?と思った部分はありました。前に行くわりに、止まり加減?に見えるわりに、最初から叩けているわけではないなあ、と。とはいえ、動き自体は速いし、ここからほぐれてもくるだろうし、と思っていたんですが、壮なる前にドヘニーが狙うに足る何かを見つけて、その通りに打ち込んだ。そういう風に見るしかないのでしょうね。
あのワンツーは、途中でステップ追加して、調整して当てましたね。ツーステップのワンツーというか。西岡利晃がジョニー・ゴンサレスを倒したパンチと、構造は同じかと思いました。
ラミドについては、この短い時間で言えることも限られますね。今後次第で、今回の黒星の位置付けはどうとでも変わると思いますが...。

>アラフォーファンさん

前回の中島戦があるから、そこまでは言わずとも、しかし新旧交代の目論見で組まれたカードではありましたね。スピードは確かにラミドが上でしたが、もっと速くなっていかないと、大差というではないかな、という段階でしたね。そのうちにドヘニーが捉えた、と。
あの左は途中で距離を変えてるんですよね。ラミドならそれにも対応するスピード、身体だけじゃなくて判断、見切りのタイミング自体に速さがあるはずでしたが、色々と狂わされてしまったのでしょう。しっかり狙われてましたね。
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