さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

圧力かけるが手数は出ない 保田克也、ワンパンチKOで防衛

2024-07-10 12:38:47 | 関東ボクシング


ということで昨日のFODプレミアム、簡単に感想。


メインの保田克也は、WBOアジアパシフィック、ライト級王座を8回KO勝ちで防衛。

プレスコ・カルコシアに、右から入って左フックのパターンで打たれ、ぐらつく場面はあったが、徐々に立て直し、試合を膠着させていく。
双方とも手数が少なく、アクションの乏しい試合。じりじり出て、索敵しながらプレスするのは保田だが、手は出ない。
手を出すのはどちらかと言えばカルコシアの方。なのにこちらが徐々に疲弊し、失速していく。

フジの実況(田淵幸一の息子さんでしたっけ)が7回終盤「この回も見せ場はありませんでした」と、普段なら言わないであろう表現をする。
と、その次の8回、カルコシア疲れ、ボディ攻撃も効いた?ところへ、保田の振りの小さい左ショート(「ジャブ」と表記すべきかも)がカウンターで決まり、カルコシアがダウン。
思った以上のダメージと、その蓄積が見えるカルコシア、何とか立ったが苦しそうに再び崩れ、試合が終わりました。


試合として派手なものではなく、間延びした展開は厳しく評されるだろうなあ、という試合でした。
良い体格、プロポーションを持ちながら、構えて索敵している?時間が長いボクシング。
しかし数少ない攻撃ながら、左のストレート、クロスにはけっこう力感がある。
ただ、慎重な構えのボクサーでありながら、左打つと前にのめり、相手のリターンを防げないので、なかなか打っていけない。
基本、相手の「出待ち」。カウンターなら、バランスは崩さずに済むから。

そして、たまに自分から打つと、すぐクリンチにいく。この辺が見た目にも、内容的にもよろしくない。
この試合では中盤以降、左ボディアッパーが決まっていて、それが予想外に、相手を弱らせていたが、いかにも数が少ない。


アメリカの気忙しい観客なら、早々にブーイングを飛ばすだろうなあ、などと思いつつ試合を見ていましたが、途中からは違うことも考えてしまいました。

確かに傍目には間延びして退屈な試合だが、かと言って、打てる、当たる、反撃も外せるという確信もなく打っていけるものでもないだろう。
だとしたら、勝敗の後にもたらされるものを、全て背負うことになるボクサー本人に対し、何も負うことのない(せいぜいチケット代か、視聴料金程度)いち観客が、それ以上のものを求める権利などあるのだろうか?

保田克也の試合は、ボクシングファンの勝手をふと我に返らせるようなものでもありました。思わず謙虚な心持ちに立ち返れるというのか。
もちろん、部分的には皮肉です。でも、半分くらいは本心です。いやホンマに。ホンマですよ。



セミの石井渡士也は、ライトフライ級で世界挑戦経験あり、その後はスーパーフライでも世界をうかがっていたエドワード・ヘノを4回TKO。
来日は4度目で、過去は沖縄の萩藤盛太に1勝1分け、広島の板垣幸司に1勝。ただ、いずれもライトフライ級の話。
正直、Sバンタムの石井と闘うというイメージが湧かない選手でしたが、場面毎を見れば、反撃の鋭さは見えました。
ただ、やはり石井がパワーでまさり、鋭さでも負けていない。フック、アッパー上下、右ショートを決め続ける。
ヘノ、闘志は見せていましたが、打たれたパンチの数が相当で、4回、レフェリーが止めました。フィニッシュシーンのないストップですが、妥当だったと思います。

見終えて、体格差どうはおいて言うと、やっぱり石井は良い選手だな、という試合でした。
ただ、ヘノの反撃、その鋭さや数は、格下との試合ではないもので、時折ヒットを喫していた点も含め、今後に向けて、良い経験が出来た試合でもあり。
しかし、問題は相手が同一階級で、このレベルの相手だったらどうなるか、というところにありますね。



大橋ジムの再起組三人は、揃ってKO、TKOで勝利。
田中湧也の相手は、一見してこれは...という感じ。左カウンター、一発で倒れて終わり。
石井武志の相手プラチャナは、フライ級ということで、石井より長身、大柄。右アッパーの迎え撃ちもあって、少し骨がある...と思ったが、石井がボディ攻撃を重ねて、3回KO。
森且貴の相手パリニャ・カイカンハもフライ級、大柄。さらに森が元々小柄。
しかし速いジャブで組み立て、攻め込んで行って、6回にボディ攻撃から攻め立ててTKO。

田中の相手はともかく、石井、森の相手は、実力で劣る分、体格で少しまさる相手を当てることで、カードとしてのバランスを取った?感あり。
少なくとも3分保たず、もう無理です~、みたいなのとは、少しだけ違いました。試合にはなっていました。

しかし、そんな褒め方せなならんか、というところに立ち返れば、やっぱり...まあ、揃って再起組ですから、とりあえず今回は勝ってよし、ということにして、次以降は、時に厳しい結果になろうと、外国人と組むなら、フィリピンの選手にしてほしいものです。


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3 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-07-10 21:50:49
前座も見ました。あからさまな噛ませではない。ただ終わってみればボディで倒せる、倒して勝たせるようなほどほどの相手が並んだ印象でした。

さてさてメインですが、おっしゃる通り保田さんは現状維持で精一杯、本人の言う日本や東洋タイトルの防衛は厳しいでしょう。最後こそ倒しましたが、締まらない試合でしたね。タイミング良かったのでしょうが、「え、これで倒れたの?」という感じ。組み立てがないですよね。ジャブから左。純粋なワンツーがないし、返しの右フック、右アッパ一ひとつ打てない、左打つと足浮くから続かない。だから応援も締まらない。まばらな保田コールが端的にそれを表してました。
大橋会長もこの選手の上限わかってそうですね。多分世界戦のアンダーカードには入れないでしょう
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Unknown (R45ファン)
2024-07-10 21:53:30
間違えました。日本や東洋タイトルの統一ですね。
三代、鈴木どちら相手にも難しいです。多分今のタイトルでも指名試合でこけそうです
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-07-11 08:31:06
R45ファンさん

まあ、試合になっていればまだ...というところですが。再起組にとっては、そのくらいは仕方ないというか。もちろんハードルをどこに置くかで変わる話ですが。
保田については、何て言うのか、弱いかというと違うような気がします。相手から見たら嫌な選手です。力もないかというと、実はある。良く鍛えられた身体付きでもあります。なのになんかこう...仰る通り、ボクシングがブツ切りですね。なんでこうなってしまうのか。打たれるのを嫌うこと自体は良いんですが、打たれないために出来ることに限界があるというか。防御技術だけでは不足なんでしょうね。そこに自信や余裕、確信がないから攻撃、及びボクシング全体に歪みが出るのかなあ、と。
何しろ相手から見たら、やるにはリスクがあるが、リターンが乏しい選手になってしまっています。国内統一や好カードに出すのも難しそうで。もし私がライト級有力選手のマネージャーだったら、自分の選手に当てたくない筆頭ですね。さりとてこのクラスで、海外から強豪を呼ぶのも難しい。大橋会長も色々と苦慮しているのでは、と想像します。
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