ということで年頭の話題、とはいえ昨年暮れ、30日に発表されたものですが、米ESPNによる各賞が発表されて、日本人ボクサーがふたり受賞。
それも男子MVPとKO賞ですから、凄いことです。
ESPNのような大きなネットワークで、こんな評価が得られるようになったのは、やはりインターネットによる映像の伝播が大きな要因でしょうが、そもそもボクサー自体に技量力量なくば、無い話でもありますので。
The second men's fighter to secure an undisputed championship in a second division in the four-belt era 👑2023 was Naoya Inoue's year 👏 pic.twitter.com/4MVSzKEVk1
— ESPN Ringside (@ESPNRingside) December 29, 2023
史上二人目の、二階級に渡る4団体統一、議論の余地無き王者になった二人目の男。
2023年は井上尚弥の年だった。
少なくともESPNはそう断じていますね。
先のマーロン・タパレス戦は「絵」として、井上の試合としては抑えめ?のものになりましたが、やはりそれに倍するスティーブン・フルトン戦の「衝撃」が大きく捉えられているのでしょう。
こちらは“MEN'S BOXER OF THE YEAR”というのですね。
で、やっぱり気になるのはリング誌の“FIGHTER OF THE YEAR”の方なんですが、こちらは意見が割れるかもしれません。どうなりますか。
サッカーで言えばフランス・フットボール誌の「バロンドール」に相当する賞ですので、何とか受賞してほしいものです。
もっとも、悪くても2位は確定なわけですから、日本のフットボーラーがバロンドールの投票で、リオネル・メッシに次いで2位に入ったら、充分「栄光」ですから、それを思えば、という気もしますけど。
ところでXにはこんな投稿が。
🇯🇵 井上尚弥(Monster)× ノニトドネア(Filipino Flash)🇵🇭 pic.twitter.com/fe3hr5LKA3
— カリブの人間 (@boxman352) January 3, 2024
少年時代の井上尚弥は、言えばノニト・ドネアの「直撃世代」であり、参考にもしたと本人が言っていましたが、確かにこうして並べられると、似てますね。
もちろん表面上ではなく、好機に思い切り打ち込める心身の構築、そのものに全身全霊を込めている井上尚弥というボクサーならばこそ、その存在そのものが軽量級史上最高のスペクタクル、と言えるノニト・ドネアに似ることが可能なわけですが。
あと、井上尚弥が他のボクサーを見て、良いものは素直に取り入れる、という姿勢を持っているのだろうなあ、という気もします。
また、意図して取り入れた、ということでもないが、良いと思って磨いた技が、結果的に他の名ボクサーのそれに似てしまう、ということもある、と。
実際、フルトンをダウンさせたワンツーの組み立てなんて、ボディジャブでの「ピン留め」から、上への右ストレート、その間合いやタイミングは、フロイド・メイウェザーを生涯最大のピンチに追い込んだ、シェーン・モズリーのワンツーコンビネーション、そのまんまでした。
世界最高峰の攻防にて繰り出された技により、創出された場面が、結果、他の名ボクサーのそれと酷似するというのは、井上尚弥のレベルがそういうところにあることの証明、ですね。
そう言えば若い頃の辰吉丈一郎の試合ぶりは、時にカルロス・サラテやルーベン・オリバレスに似てるなあ、と思ったことがありました。
ホセ・ナポレスやレナードは、言うに及ばず。
あの頃見た夢は、今にして思えば過大な、壮大すぎたものだったかもしれませんが、井上尚弥はあのような夢以上のものを、すでに我々に見せてくれています。
何しろリング誌の年間表彰が楽しみ、っていう話になっているんですからね。いやはや...。