■(第44話)トロピカル~ジュ!プリキュア「魔女の一番大事なこと」感想
(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第44話より)
壮大なるあとまわしの末に、とうとう全容が見えてきました。
あとまわしの魔女様は破壊が本能。だけど傷つき倒れたところで出会った娘さんとの交流が心残りで、破壊をあとまわしにし続けた。故にあとまわしの魔女。
物語として切なくて納得はいくのですが、構成が少しややこしい。
まず、魔女様は「破壊や決着」をあとまわしにした。これは現実を考えても「正しい」選択に思えます。解決不能な問題を棚上げにし、自然解消を目指すのはままある。
ですが、
(1) 夏海さんは「あとまわしにしたのは(破壊ではなく)仲良しになることだ」と明言している
(2) 結果的にキュアオアシスに完勝してしまった
この二つを思うと「魔女様の切ない物語」で済ませられない気がする。
厄介なことに魔女様の存在理由は「破壊」です。理由は分からんが、そういう生き物なので善悪ではない。したがって「破壊は悪いことだからやめよう」「うむ、分かった」は多様性の否定になってしまう。実際、そこには踏み込んでいない。
魔女様は自身の存在を否定しないためのギリギリの選択として、あとまわしを選んだ。しかし夏海さんは「仲良くなること」をあとまわしにしたといっている。
ではオアシスさんと握手すれば解決していたんだろうか…?
精々オアシスさんが心残りなく天寿を全うできたぐらいで、結果は「破壊のあとまわし」に落ち着くような気がします。破壊は魔女様の存在理由なので、「仲良くなったら破壊をやめる」は起きないはず。そしてその場合、オアシスさんが成仏してしまってるので今回ラストのような展開にならず、魔女様は悶々とあとまわしを続ける羽目になりそう。
ただそうすると、今回は何で消えていったんだろう。なんとなく老衰とかそんなのかとも思ったのですが、「破壊は存在理由だからやめられない」ではなく「存在理由たる破壊をやめたから消滅した」が正なのかも。
アンデルセンの「人魚姫」が王子の刺殺を断念して死を選んだように、魔女様も本質である破壊を放棄し泡となるのを選んだ。
経緯としては納得はいきますが、「悲恋」(魔女様の消滅)を回避できなかったのは良いんだろうか…?「今一番大事なこと」に「自死」を含めてしまうのは非常に危険に思えます。
古典的な「人魚姫」やディズニーの「リトル・マーメイド」は、犠牲を払わないと受け入れてもらえない世界観が問題視されています。
ローラに足が生えたエピソードでは令和らしい解決を見せてくれたと感動していたのですが(ローラ初変身時の感想)、ここにきて自己犠牲・自己否定による解決が浮上してきました。
シャンティアの事例とも似ているといえば似ていますが、あちらはシャロン王女の想いが何であれ力尽きるのは止められない。王女の「笑顔があふれる国にしたかった」も否定されてはいません。むしろ肯定されている。
プリキュアの秋映画はその年のテーマを圧縮した内容になっていると思っていて、今回も「今一番大事なこと」が凄く響いていました。(映画の感想)
でも「人魚」(ローラの変身事例)とは私の中で上手くリンクできてなかった。今回の魔女様、ローラの変身、シャンティア王女の3つを比較すると何かが見えてくるのかも。
「今一番大事なこと」をやっていれば本心が分かる…の面がありそうなので、「あとまわし(今一番大事なこと)を続けた結果、真のやりたいことに気づけた」とか?
まだ「なぜ人間との記憶を消さないといけないのか」が解決していないので、もう一回転あるのかしら。
バトラーとの決着も、爆殺して終わりとは思いづらいので何かありそう。期待したい。
【蛇足】
①回想シーンで出てきた昔の戦いは、雰囲気的に18世紀~19世紀っぽいです。ちなみに「人魚姫」のアンデルセンは19世紀生まれ。
この時のことをローラは「数百年前」と表現しています。「数百」は私の感覚では4~600ぐらいを指すイメージなのですが、そうするとトロプリは23世紀とかだったりするんだろうか。「ハグプリ」の2030年という厄介な問題があるせいで、時系列は気になります。いや辞書的には普通に200~300も意味するようなので、揚げ足にもならないような話なんですけれど。
②伝説のプリキュア様はキュアオアシス、本名はアウネーテ。アンデルセン「人魚姫」の元ネタの登場人物の名前だとか。
サマーさんたちに名を尋ねられ「キュアオアシス」と名乗っていましたが、「アウネーテ」と名乗った方が、みのりん先輩あたりは色めき立ったんじゃなかろうか。
そのオアシスさんはゾウやサメを召喚して戦っていたようで、現代のサマー達とほぼ同じ武装だったらしい。オアシスさんもやっぱり「おめかしアップ♪」とかやってたんだろうか、一人で。
先代プリキュアが全く同じギミックを使うのは何気に新鮮です。パリのキュアアンジェがオーケストラさんを呼び出したり、ミラージュ様がかわルンルンしたり…は設定的に無理そうだものな。
(「トロピカル~ジュ!プリキュア」第44話より)
壮大なるあとまわしの末に、とうとう全容が見えてきました。
あとまわしの魔女様は破壊が本能。だけど傷つき倒れたところで出会った娘さんとの交流が心残りで、破壊をあとまわしにし続けた。故にあとまわしの魔女。
物語として切なくて納得はいくのですが、構成が少しややこしい。
まず、魔女様は「破壊や決着」をあとまわしにした。これは現実を考えても「正しい」選択に思えます。解決不能な問題を棚上げにし、自然解消を目指すのはままある。
ですが、
(1) 夏海さんは「あとまわしにしたのは(破壊ではなく)仲良しになることだ」と明言している
(2) 結果的にキュアオアシスに完勝してしまった
この二つを思うと「魔女様の切ない物語」で済ませられない気がする。
厄介なことに魔女様の存在理由は「破壊」です。理由は分からんが、そういう生き物なので善悪ではない。したがって「破壊は悪いことだからやめよう」「うむ、分かった」は多様性の否定になってしまう。実際、そこには踏み込んでいない。
魔女様は自身の存在を否定しないためのギリギリの選択として、あとまわしを選んだ。しかし夏海さんは「仲良くなること」をあとまわしにしたといっている。
ではオアシスさんと握手すれば解決していたんだろうか…?
精々オアシスさんが心残りなく天寿を全うできたぐらいで、結果は「破壊のあとまわし」に落ち着くような気がします。破壊は魔女様の存在理由なので、「仲良くなったら破壊をやめる」は起きないはず。そしてその場合、オアシスさんが成仏してしまってるので今回ラストのような展開にならず、魔女様は悶々とあとまわしを続ける羽目になりそう。
ただそうすると、今回は何で消えていったんだろう。なんとなく老衰とかそんなのかとも思ったのですが、「破壊は存在理由だからやめられない」ではなく「存在理由たる破壊をやめたから消滅した」が正なのかも。
アンデルセンの「人魚姫」が王子の刺殺を断念して死を選んだように、魔女様も本質である破壊を放棄し泡となるのを選んだ。
経緯としては納得はいきますが、「悲恋」(魔女様の消滅)を回避できなかったのは良いんだろうか…?「今一番大事なこと」に「自死」を含めてしまうのは非常に危険に思えます。
古典的な「人魚姫」やディズニーの「リトル・マーメイド」は、犠牲を払わないと受け入れてもらえない世界観が問題視されています。
ローラに足が生えたエピソードでは令和らしい解決を見せてくれたと感動していたのですが(ローラ初変身時の感想)、ここにきて自己犠牲・自己否定による解決が浮上してきました。
シャンティアの事例とも似ているといえば似ていますが、あちらはシャロン王女の想いが何であれ力尽きるのは止められない。王女の「笑顔があふれる国にしたかった」も否定されてはいません。むしろ肯定されている。
プリキュアの秋映画はその年のテーマを圧縮した内容になっていると思っていて、今回も「今一番大事なこと」が凄く響いていました。(映画の感想)
でも「人魚」(ローラの変身事例)とは私の中で上手くリンクできてなかった。今回の魔女様、ローラの変身、シャンティア王女の3つを比較すると何かが見えてくるのかも。
「今一番大事なこと」をやっていれば本心が分かる…の面がありそうなので、「あとまわし(今一番大事なこと)を続けた結果、真のやりたいことに気づけた」とか?
まだ「なぜ人間との記憶を消さないといけないのか」が解決していないので、もう一回転あるのかしら。
バトラーとの決着も、爆殺して終わりとは思いづらいので何かありそう。期待したい。
【蛇足】
①回想シーンで出てきた昔の戦いは、雰囲気的に18世紀~19世紀っぽいです。ちなみに「人魚姫」のアンデルセンは19世紀生まれ。
この時のことをローラは「数百年前」と表現しています。「数百」は私の感覚では4~600ぐらいを指すイメージなのですが、そうするとトロプリは23世紀とかだったりするんだろうか。「ハグプリ」の2030年という厄介な問題があるせいで、時系列は気になります。いや辞書的には普通に200~300も意味するようなので、揚げ足にもならないような話なんですけれど。
②伝説のプリキュア様はキュアオアシス、本名はアウネーテ。アンデルセン「人魚姫」の元ネタの登場人物の名前だとか。
サマーさんたちに名を尋ねられ「キュアオアシス」と名乗っていましたが、「アウネーテ」と名乗った方が、みのりん先輩あたりは色めき立ったんじゃなかろうか。
そのオアシスさんはゾウやサメを召喚して戦っていたようで、現代のサマー達とほぼ同じ武装だったらしい。オアシスさんもやっぱり「おめかしアップ♪」とかやってたんだろうか、一人で。
先代プリキュアが全く同じギミックを使うのは何気に新鮮です。パリのキュアアンジェがオーケストラさんを呼び出したり、ミラージュ様がかわルンルンしたり…は設定的に無理そうだものな。