とても面白かったので書いてみる。
■睡眠の科学 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか
睡眠の科学 (ブルーバックス)
[Amazonさんより引用]
内容説明
実は謎だらけの「睡眠」を第一人者が解明!眠る理由さえ定かではないほど、睡眠はいまだに謎に包まれている。「オレキシン」が睡眠に重要な役割をはたすことを初めて発見した著者による睡眠解説の決定版!
内容(「BOOK」データベースより)
人生の3分の1もの時間を費やしてまで、ヒトはなぜ眠らなければならないのか?いまだ答えが出ないこの究極の問いに、睡眠研究をリードする著者が迫る!眠りが脳にもたらす恩恵、睡眠と覚醒を切り替えるしくみ、不眠や夢遊病の原因…。睡眠を科学することは、脳の根本的なシステムを知ることである。
[引用終]
なぜ眠らない高等生物がいないのか。
哺乳類や鳥類は、必ず寝る。
鳥は飛んだまま寝る方法を開発し、イルカは右脳と左脳が交互に寝るとかいう変態プレイを生み出してまで寝る。
そこまでして、なぜ寝なければいけないのか。
睡眠を必要としない進化をすれば、圧倒的な優位に立てそうなのに、なぜそうしなかったのか。
極めて身近で、でも存在を疎かにされてる「睡眠」について、一線の著者さんが力説する。
「眠らないとどうなるのか」「レム睡眠とノンレム睡眠と覚醒の違いは何か」「そもそも何が原因で眠くなるのか」etcetc。
気になりだすとどこまでも気になるこれらのことが、丁寧に解説されています。
著者はさすが研究者の方、何の根拠もない健康本や啓発本とは、迫力がまるで違います。
仮説を立てた→実験する→反論も考えられる→実験する。
何十年もの間の多くの研究者の方の、こうして積み重ねられた血と汗の結晶である実験結果と最新理論が熱い。
筆者は「オレキシン」なる神経ペプチドを発見した方だそうです。経緯はこうだったらしい。
マウスの遺伝子情報を調べた
→脳の受容体が見つかった
→とりあえず何に反応するか調べた
→反応を示す物質が見つかった。オレキシンと名付けた。
→これが何の役に立つのか分からないので、調べた。
→オレキシン漬けにしたマウスは沢山エサを食べるようになった。
→よし、食事に関するものだ!
ところが後続の研究で、オレキシン受容体を破壊したマウスを遺伝子操作で作って観察していたところ(ネズミさんごめんなさい)、「エサを食ってる最中に気絶する」行動をすることが観察されました。
研究者曰く「癲癇の発作かと思った」。
しかしそこで、腹立たしくネズミを蹴らないところが研究者です。脳波を計って何が起こってるか確認しようとした。
その結果、「このネズミは寝ている」ということが判明。
「オレキシンを正常に受容できないと、活発に行動している最中に、いきなり寝る」。
これにより件のオレキシンは睡眠に関わる物質であると分かりました。
この現象はナルコレプシーです。
睡眠不足と言う訳でもないのに、突発的に居眠りしてしまうという病気。
謎だったこの病気の原因が、偶発的に発見されることに。
更にこれと逆の病気である不眠症への解決策にもなります。
オレキシンが覚醒に関わっているのなら、それを抑制すれば人は寝る。
現在使われている睡眠導入剤は、本来の睡眠とはかなり違う形で眠気を誘発しているそうです。(詳細も説明されてましたが割愛)
ですが、睡眠のメカニズムが分かったことにより、元を断つ方法が分かった。
そこで現在、不眠症の治療薬の開発が進み、数年内には実戦配備される見込みだそうです。熱い話だ。
最前線の人たちは凄いなと素直に感動します。
睡眠に関して他の知識を持っていないので、筆者の弁を全面的に信じるしかないわけですが、とにかく凄い。
下手な創作小説よりもどきどきする。
上記の経緯から、睡眠と空腹・満腹に関連があることも分かります。
単純に考えても、腹が減ったら餌を探さないと息絶えるので、覚醒と関連することは理解できる。
そしてもちろん、この単純な推測も実験によって確認してる。
「眠り」に関する最もらしい言及で、見かけるたびに不思議に思っていた謎も、これにより解けました。
安っぽい健康に関する話で、よく「人は25時間周期で体内時計が動いている」「少しずつずれるので、朝早く起きて光を浴びてリセットしよう」みたいなのがあります。
あらゆる意味で馬鹿馬鹿しい。
25時間周期というのは実験結果に反する。
仮にそれが事実だとしても、それならば人は「夜型→朝型→昼型→夜型」と少しずつ移行していくはず。でもそうはならない。
日光を浴びればリセットされる件も、時差ボケの説明がまるでつかない。
この疑問は「いわゆる腹時計の方が光時計に勝っているからだ」で説明できます。
食欲と睡眠が密接な関係にあるため、普段の食べるリズムを基準に生活サイクルが構築される
だから沢山寝ようが何しようが、食べる時間を変えない限り、夜型の人は夜型のままで固定されると思われます。
そしてこれもマウスを使って実験検証してるのが、格好いい。
「オレキシンが食欲に作用するようだ」「じゃあオレキシン受容体を遺伝子操作で壊そう」
「オレキシンは食事に影響するが、同時に覚醒にも影響するようだ」「じゃあ夜行性の動物に餌を昼に与え続けるとどうなる?」
仮説を思いついては実験し、同時に反論に対しても検証し、それを繰り返して構築していく。
当たり前といえば当たり前なのでしょうけど、最近の似非科学や嘘科学に辟易していただけに、非常に面白かったです。
あと、何かあるたびに遺伝子操作されるネズミさんに、感謝の意を表したい。今の科学って、凄いな。
【その他1】
紹介された実験の中で、「睡眠は何らかの物質によるものなのか(脳に何かが蓄積するために眠くなるのか)」の証明が印象的でした。
まず犬Aを用意する
眠らないように強制的に起こし続ける。眠いけど、犬A、頑張る。
次に犬Aの脳脊髄液を抜き取る。ぎゃあ。
そして十分に睡眠を与えた犬Bに投与する。
犬B、昏倒する。
よって、「脳に何らか睡眠物質が蓄積するので、眠くなる」ことが証明されました。
「脳が疲労したから」ではない。「何かの物質が貯まるから、眠い」。
確かにそれで確認できます。
でもなぜそんな実験をやろうという発想ができるのか。私には分からない。
研究者はクレージーだ。
【その他2】
レム睡眠とノンレム睡眠が興味深かった。
レムが夢をみたりする、いわゆる「浅い眠り」。ノンレムがいわゆる「熟睡」。
よく「眠りの周期は1時間30分だ」という話を聞くと思います。
これは「眠って最初の1時間はノンレム睡眠→1時間~1時間30分後はレム睡眠→そしてまたノンレム睡眠」と繰り返すことから。
これが一般的に言われることですが、それに対する筆者の「レム舐めるな」ぶりが面白かった。
レム睡眠は「浅い眠り」なんかじゃない。
実際、レム睡眠は非常に重要だそうです。ただ、何で必要なのかが良く分かっていない。
「何でわざわざレム睡眠なんて面倒なことを行っているのか」を確認するためには、レム睡眠を奪って影響を確認すればいい。
研究者の方はそう考えました。
考えたら実験するのが彼らです。もはや病気です。
レム睡眠かどうかは脳波を計ることで検出可能。
そこで「眠っているネズミの脳波を測定し、レム睡眠に入ったら叩き起こす」という非人道的な実験を行ったそうです。
頑張れネズミさん。
結果、レム睡眠に入るまでの時間がみるみる短縮して言ったそう。
通常1時間後に発生するはずのレム睡眠が、執拗に奪い続けると寝た瞬間に発生するようになるそうです。
つまり何が何でもレム睡眠を取ろうとする。ネズミさんも、必死だ。
それでも更にレム睡眠を奪い続けると、寝た瞬間に起こすことになってしまう。
そのため「一切眠らせない」と同じことになってしまい、「レム睡眠を与えないとどうなるのか」の検証ができないそうです。
これは結構意外だった。
私事になりますが、私は「寝て30分弱で、割と長いしっかりした夢の中から急激に目が覚める」「そういうときは激しく動悸がしている」現象が数年起きています。
昼休みに仮眠をとる習慣があるので、「30分ごとに起きる習慣がついてるんだろう」くらいに考えていたのですが、「夢を見ている」と「動悸」が気になります。
また寝入りばなに金縛りにある頻度も結構高い。
これらはレム睡眠の特徴です。
もしかして私、慢性的に寝不足に陥ってるんでしょうか。
確かに細切れに寝ることが多いので、「1時間後にレム睡眠」のルールで言うと、絶対的なレム睡眠の量は少ないと予想されます。
(連続して6時間寝る人は4回取れますが、2時間×3回の睡眠だと合計時間は同じでも3回しかレム睡眠をとれない)
もしくはナルコレプシーを始めとした睡眠異常だと、「就寝直後にレム睡眠に入る」という特徴を示すそうなので、その線もあるのかもしれない。
日常生活にどうという影響が出てないので、だから何という訳でもないですが、疑問への解法が一つ見つかったのは純粋に楽しいです。
あと「意図的に金縛りを起こしたり夢を見る」方法もこれらから推測できます。(世の中には金縛りに憧れる人もいるらしい)
応用範囲の広い本だ。
【その他3】
夢の中で大発見をする例はしばしばあります。
私も悩んでいたことが、夢がヒントで解決したことはままある。
その例として、ドイツの生理学者レーヴィさんの話が載ってた。
彼は夢の中で、とある画期的な実験方法を思いついたそうです。
目が覚めるとすぐにその概要をメモにとり、そして再び寝たそうな。
だって眠かったから。
起きてメモを見た彼は頭を抱えました。
意味が、分からない。
悶々として一日を過ごした彼は、幸運にも次の日の夜に同じ夢を見たそうです。
飛び起きて、今度こそ研究室に直行し、こうしてレム睡眠と非常に関係の深いアセチルコリンを発見。
後にノーベル生理学賞を受賞したそう。
二度も続けて同じ夢を見たのは、レーヴィさんがどれだけ熱心に研究に打ち込んでおられたかを物語っています。
単に運が良かっただけではない。
そして「一回目は、二度寝してすっかり忘れた」というあたりも熱いです。お茶目さんだ。
■睡眠の科学 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか
睡眠の科学 (ブルーバックス)
[Amazonさんより引用]
内容説明
実は謎だらけの「睡眠」を第一人者が解明!眠る理由さえ定かではないほど、睡眠はいまだに謎に包まれている。「オレキシン」が睡眠に重要な役割をはたすことを初めて発見した著者による睡眠解説の決定版!
内容(「BOOK」データベースより)
人生の3分の1もの時間を費やしてまで、ヒトはなぜ眠らなければならないのか?いまだ答えが出ないこの究極の問いに、睡眠研究をリードする著者が迫る!眠りが脳にもたらす恩恵、睡眠と覚醒を切り替えるしくみ、不眠や夢遊病の原因…。睡眠を科学することは、脳の根本的なシステムを知ることである。
[引用終]
なぜ眠らない高等生物がいないのか。
哺乳類や鳥類は、必ず寝る。
鳥は飛んだまま寝る方法を開発し、イルカは右脳と左脳が交互に寝るとかいう変態プレイを生み出してまで寝る。
そこまでして、なぜ寝なければいけないのか。
睡眠を必要としない進化をすれば、圧倒的な優位に立てそうなのに、なぜそうしなかったのか。
極めて身近で、でも存在を疎かにされてる「睡眠」について、一線の著者さんが力説する。
「眠らないとどうなるのか」「レム睡眠とノンレム睡眠と覚醒の違いは何か」「そもそも何が原因で眠くなるのか」etcetc。
気になりだすとどこまでも気になるこれらのことが、丁寧に解説されています。
著者はさすが研究者の方、何の根拠もない健康本や啓発本とは、迫力がまるで違います。
仮説を立てた→実験する→反論も考えられる→実験する。
何十年もの間の多くの研究者の方の、こうして積み重ねられた血と汗の結晶である実験結果と最新理論が熱い。
筆者は「オレキシン」なる神経ペプチドを発見した方だそうです。経緯はこうだったらしい。
マウスの遺伝子情報を調べた
→脳の受容体が見つかった
→とりあえず何に反応するか調べた
→反応を示す物質が見つかった。オレキシンと名付けた。
→これが何の役に立つのか分からないので、調べた。
→オレキシン漬けにしたマウスは沢山エサを食べるようになった。
→よし、食事に関するものだ!
ところが後続の研究で、オレキシン受容体を破壊したマウスを遺伝子操作で作って観察していたところ(ネズミさんごめんなさい)、「エサを食ってる最中に気絶する」行動をすることが観察されました。
研究者曰く「癲癇の発作かと思った」。
しかしそこで、腹立たしくネズミを蹴らないところが研究者です。脳波を計って何が起こってるか確認しようとした。
その結果、「このネズミは寝ている」ということが判明。
「オレキシンを正常に受容できないと、活発に行動している最中に、いきなり寝る」。
これにより件のオレキシンは睡眠に関わる物質であると分かりました。
この現象はナルコレプシーです。
睡眠不足と言う訳でもないのに、突発的に居眠りしてしまうという病気。
謎だったこの病気の原因が、偶発的に発見されることに。
更にこれと逆の病気である不眠症への解決策にもなります。
オレキシンが覚醒に関わっているのなら、それを抑制すれば人は寝る。
現在使われている睡眠導入剤は、本来の睡眠とはかなり違う形で眠気を誘発しているそうです。(詳細も説明されてましたが割愛)
ですが、睡眠のメカニズムが分かったことにより、元を断つ方法が分かった。
そこで現在、不眠症の治療薬の開発が進み、数年内には実戦配備される見込みだそうです。熱い話だ。
最前線の人たちは凄いなと素直に感動します。
睡眠に関して他の知識を持っていないので、筆者の弁を全面的に信じるしかないわけですが、とにかく凄い。
下手な創作小説よりもどきどきする。
上記の経緯から、睡眠と空腹・満腹に関連があることも分かります。
単純に考えても、腹が減ったら餌を探さないと息絶えるので、覚醒と関連することは理解できる。
そしてもちろん、この単純な推測も実験によって確認してる。
「眠り」に関する最もらしい言及で、見かけるたびに不思議に思っていた謎も、これにより解けました。
安っぽい健康に関する話で、よく「人は25時間周期で体内時計が動いている」「少しずつずれるので、朝早く起きて光を浴びてリセットしよう」みたいなのがあります。
あらゆる意味で馬鹿馬鹿しい。
25時間周期というのは実験結果に反する。
仮にそれが事実だとしても、それならば人は「夜型→朝型→昼型→夜型」と少しずつ移行していくはず。でもそうはならない。
日光を浴びればリセットされる件も、時差ボケの説明がまるでつかない。
この疑問は「いわゆる腹時計の方が光時計に勝っているからだ」で説明できます。
食欲と睡眠が密接な関係にあるため、普段の食べるリズムを基準に生活サイクルが構築される
だから沢山寝ようが何しようが、食べる時間を変えない限り、夜型の人は夜型のままで固定されると思われます。
そしてこれもマウスを使って実験検証してるのが、格好いい。
「オレキシンが食欲に作用するようだ」「じゃあオレキシン受容体を遺伝子操作で壊そう」
「オレキシンは食事に影響するが、同時に覚醒にも影響するようだ」「じゃあ夜行性の動物に餌を昼に与え続けるとどうなる?」
仮説を思いついては実験し、同時に反論に対しても検証し、それを繰り返して構築していく。
当たり前といえば当たり前なのでしょうけど、最近の似非科学や嘘科学に辟易していただけに、非常に面白かったです。
あと、何かあるたびに遺伝子操作されるネズミさんに、感謝の意を表したい。今の科学って、凄いな。
(左画像) 睡眠の科学 (ブルーバックス) (右画像) 夢の科学 そのとき脳は何をしているのか? (ブルーバックス) |
【その他1】
紹介された実験の中で、「睡眠は何らかの物質によるものなのか(脳に何かが蓄積するために眠くなるのか)」の証明が印象的でした。
まず犬Aを用意する
眠らないように強制的に起こし続ける。眠いけど、犬A、頑張る。
次に犬Aの脳脊髄液を抜き取る。ぎゃあ。
そして十分に睡眠を与えた犬Bに投与する。
犬B、昏倒する。
よって、「脳に何らか睡眠物質が蓄積するので、眠くなる」ことが証明されました。
「脳が疲労したから」ではない。「何かの物質が貯まるから、眠い」。
確かにそれで確認できます。
でもなぜそんな実験をやろうという発想ができるのか。私には分からない。
研究者はクレージーだ。
【その他2】
レム睡眠とノンレム睡眠が興味深かった。
レムが夢をみたりする、いわゆる「浅い眠り」。ノンレムがいわゆる「熟睡」。
よく「眠りの周期は1時間30分だ」という話を聞くと思います。
これは「眠って最初の1時間はノンレム睡眠→1時間~1時間30分後はレム睡眠→そしてまたノンレム睡眠」と繰り返すことから。
これが一般的に言われることですが、それに対する筆者の「レム舐めるな」ぶりが面白かった。
レム睡眠は「浅い眠り」なんかじゃない。
実際、レム睡眠は非常に重要だそうです。ただ、何で必要なのかが良く分かっていない。
「何でわざわざレム睡眠なんて面倒なことを行っているのか」を確認するためには、レム睡眠を奪って影響を確認すればいい。
研究者の方はそう考えました。
考えたら実験するのが彼らです。もはや病気です。
レム睡眠かどうかは脳波を計ることで検出可能。
そこで「眠っているネズミの脳波を測定し、レム睡眠に入ったら叩き起こす」という非人道的な実験を行ったそうです。
頑張れネズミさん。
結果、レム睡眠に入るまでの時間がみるみる短縮して言ったそう。
通常1時間後に発生するはずのレム睡眠が、執拗に奪い続けると寝た瞬間に発生するようになるそうです。
つまり何が何でもレム睡眠を取ろうとする。ネズミさんも、必死だ。
それでも更にレム睡眠を奪い続けると、寝た瞬間に起こすことになってしまう。
そのため「一切眠らせない」と同じことになってしまい、「レム睡眠を与えないとどうなるのか」の検証ができないそうです。
これは結構意外だった。
私事になりますが、私は「寝て30分弱で、割と長いしっかりした夢の中から急激に目が覚める」「そういうときは激しく動悸がしている」現象が数年起きています。
昼休みに仮眠をとる習慣があるので、「30分ごとに起きる習慣がついてるんだろう」くらいに考えていたのですが、「夢を見ている」と「動悸」が気になります。
また寝入りばなに金縛りにある頻度も結構高い。
これらはレム睡眠の特徴です。
もしかして私、慢性的に寝不足に陥ってるんでしょうか。
確かに細切れに寝ることが多いので、「1時間後にレム睡眠」のルールで言うと、絶対的なレム睡眠の量は少ないと予想されます。
(連続して6時間寝る人は4回取れますが、2時間×3回の睡眠だと合計時間は同じでも3回しかレム睡眠をとれない)
もしくはナルコレプシーを始めとした睡眠異常だと、「就寝直後にレム睡眠に入る」という特徴を示すそうなので、その線もあるのかもしれない。
日常生活にどうという影響が出てないので、だから何という訳でもないですが、疑問への解法が一つ見つかったのは純粋に楽しいです。
あと「意図的に金縛りを起こしたり夢を見る」方法もこれらから推測できます。(世の中には金縛りに憧れる人もいるらしい)
応用範囲の広い本だ。
【その他3】
夢の中で大発見をする例はしばしばあります。
私も悩んでいたことが、夢がヒントで解決したことはままある。
その例として、ドイツの生理学者レーヴィさんの話が載ってた。
彼は夢の中で、とある画期的な実験方法を思いついたそうです。
目が覚めるとすぐにその概要をメモにとり、そして再び寝たそうな。
だって眠かったから。
起きてメモを見た彼は頭を抱えました。
意味が、分からない。
悶々として一日を過ごした彼は、幸運にも次の日の夜に同じ夢を見たそうです。
飛び起きて、今度こそ研究室に直行し、こうしてレム睡眠と非常に関係の深いアセチルコリンを発見。
後にノーベル生理学賞を受賞したそう。
二度も続けて同じ夢を見たのは、レーヴィさんがどれだけ熱心に研究に打ち込んでおられたかを物語っています。
単に運が良かっただけではない。
そして「一回目は、二度寝してすっかり忘れた」というあたりも熱いです。お茶目さんだ。
眠りの研究に限らず、大事なのは奇抜なアイデアと実験至上主義、というのには、とても共感できました。
どちらも、とても大事な要素だと思います。
でも、まずは、奇抜なアイデアというか仮設がないと、はじまらないとは思います。
ただ、奇抜なアイデアばかりで、それを検証しようともせず、理屈ばかり並べてるのは、むなしいと思います。
とはいえ、実験で検証できない学問もあるのも事実ですが、それって学問なのかいな?って個人的には思ってます。
とにかく実験して、結果を示すのがイチバンだと思います。
論より証拠って、昔から言うでしょ?
ただ、実験も、その方法を工夫したりとか、アイデアが必要ですよね。
起きているときには思いつかないのに、夢の中で思いつくというのは、寝ているあいだに起きているときは違う思考が自動的に行われているからなのかな?と。
それはそうと、実験は、どちらかというと、ヒラメキよりも根気かなと。
支離滅裂、失礼。
著者は研究手法として、遺伝子解析を行うことで未知領域=「奇抜なアイデア」を見つけ出し、今回の発見につなげたそうです。
アイデアの生み出し方すらも、今では確立していることに感動を覚えました。
(遺伝子解析で不明点を重点的に狙う…という手法自体が「奇抜なアイデア」ではありますが)
何にせよ、考えることで飯を食ってる研究者の方々は、発想力も行動力も違うなと感じました。
長年の疑問点が幾つも解消して、喜びのあまり書きなぐってしまったので我ながら長文記事でちょっと気恥ずかしいです…。