Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

しわ/Arrugas

2013-07-05 00:32:56 | 映画 さ行
          

2011年/スペイン/89分
原題:Arrugas
監督:イグナシオ・フェレーラス
原作:パコ・ロカ
音楽:ナニ・ガルシア
ストーリー:養護老人ホームに預けられた元銀行員のエミリオ。お金に細かい同室のミゲルなど、施設に集まった老人は人それぞれ。完全に介護を要する老人は2階の部屋に入れられることもわかった。そんなある日、アルツハイマーのモデストの薬と自分の薬を間違えられたことから、エミリオは自身がアルツハイマーだと確信する。ショックを受けたエミリオのために、ミゲルは何とかしようと考えた結果……。~「シネマトゥデイ」より

シリアスで扱っている事柄は重いのに、そこはかとなく漂うユーモアに温かな視線を感じた。それは誰にでも用意されている「老い」を誰にも平等に起こる、生きていれば人間として当然のこととして、そして老いを描く以上に人間を描いているからではないだろうかと思った。
一人一人に生きてきた歴史があり、今起きている一つ一つの行為全てに確かな理由があるのだということに気付かされる。
オリエント急行で旅を続けている婦人の目に映る窓からの景色、プールに飛び込んで泳ぐエミリオの思い、ミゲルの思い・・・様々な人々の思いが交錯するresidenciaでの生活。特に好きだったのはモデストから恋人になってと請われて雲を取ってきたらね、と返事をするドローレスの回想シーン。ただただ美しい。現実は確かに残酷ではあっても心に温かなものが残る。
最後に「既に老人(ancianosと記されていた)になった人に、そしてこれから老人になるであろう人に捧ぐ」とあったけれど、これはすべての人に捧ぐ、ということだな、と胸一杯になって思ったのだった。素晴らしい作品だった

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2 コメント

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こんにちは~! (Puff)
2013-07-07 13:55:31
素晴らしい作品でしたね!
今年のマイベスト3入り決定です。

そうそう、今老いている親だけでなく、やがて自分にも
誰にも平等に老いが訪れることを改めて感じますよね。
それだけに胸に迫るものがあります。
私もラストのメッセージにはぐっと来ました!

絵のタッチもシンプルな中に優しさと温かさが感じられましたね。
心に残る映画がまた一つ増えました。
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Puffさま~☆ (rubicone)
2013-07-08 23:36:54
ほんとに素晴らしかった~
私も忘れられない作品の一つになりました!!
しかしジブリが選ぶ配給作品って、いいですよね~!!
そうそう、絵のタッチと話の展開が絶妙で、観終わって温かな気持ちになりました。
人はみんな生まれて生きて老いていくんですものね。
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