Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

ベロニカは死ぬことにした

2006-02-22 00:05:36 | 
           
パウロ・コエーリョ著、江口研一訳の『ベロニカは死ぬことにした』
今まで読んだ2冊とまた違う趣で、最初はひどく読み辛く感じた。本人のパウロと同じ名前のベロニカが出てきて話す章でそれまでの時間を一瞬見失ったように感じたのだ。

全てを手にしていたけれどしあわせではなかったベロニカは、ある朝死ぬことに決めて睡眠薬を飲んだ。だが目覚めるとそこは精神病院だった。

始まりはどうしようもない程の寂寥感、孤独に彩られている。そしてベロニカが入院する事になったヴィレット精神病院、そこにあるのは混乱と、不思議な自由。残り数日の命と宣告されたベロニカがたどり着いたのは、こんな絶望的な状況の中で陳腐に響くかもしれないが希望、愛、全てを受け容れることだった。それは、突然、天空の窓がばあっと開いたような、透明な眩しい光で空間が満たされたような、そんな感じ。その光景を想像すると満ち足りた気分になる。しかし、まさかこんな結末が待っていようとは思わなかった。
人は期限付きの生を生きているわけで、ベロニカと何ら変わらない、同じなんだよね。

偶然、この本を映画化した作品の公開時期と重なってしまった。ちっ!
邦画で題名も同じく『ベロニカは死ぬことにした』
           
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