Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

海を飛ぶ夢

2008-05-22 00:04:14 | 映画 あ行
           
2004年/スペイン/125分
原題:Mar adentro
監督:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ハビエル・バルデム、べレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、マベル・リベラ、セルソ・ブガーリョ、クララ・セグラ、タマル・ノバス、フランシス・ガリード

スペイン、ラ・コルーニャの海で育ったラモン・サンペドロは25歳の時、岩場から引き潮の海へダイブした際に海底で頭部を強打、首から下が完全に麻痺してしまう。以来、家族に支えられながらも、ベッドの上で余生を過ごさなければならなくなったラモン。彼にできるのは、部屋の窓から外を眺め、想像の世界で自由に空を飛ぶことと、詩をしたためることだけ。やがて事故から20数年が経ち、彼はついに重大な決断を下す。それは、自ら人生に終止符を打つことで、本当の生と自由を獲得するというものだった…。(allcinemaより)

尊厳死を望んだ実在の人物ラモン・サンペドロの手記を基にアレハンドロ・アメナーバル監督が映画化した作品。観終わって深く静かに呼吸し、生きることについて考えていた。よく生きることは、よく死ぬこと、だという千葉敦子さんの言葉がふと頭をよぎる。
主人公のラモン・サンペドロを巡る女性たちのそれぞれのラモンに対する愛のありようが興味深い。それは自分のためにであり、自分の投影としてであり、すべてを受け入れすべてを捧げてである。ある時はロサであり、また別の時はフリアであり、ジェネであるときもあれば、マヌエラでもある。ばらばらなようでいて、すべてが「女性」なのだと思える。
そして、甥っ子のハビがこの作品の中に存在していたことで、どれだけ救われたことだろう。彼は何時如何なる時も、ラモンがどういう状況になっても彼の甥っ子のハビであり続け、その姿勢が変わることはない。そこに、大いなる救いを感じるのだ。また、ラモンが空想の中で飛んでいる映像のため息の出る美しさ、そしてそれが決して実現しない夢でしかないことに観ている側は悲しみを覚えるのだ。
また劇中とエンドクレジットで流れる音楽が、ガリシア地方ということで思い出すケルト・ミュージックの影響をそこに感じて耳に残る。監督自身が音楽担当しているというのも、凄いなあ~。
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2 コメント

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コンバンハ♪ (Puff)
2008-05-22 21:56:03
ホント、良い映画でしたよねー!
生きる権利、死ぬ権利。
尊厳死についてもいろいろと考えてしまう映画でもありましたね。。。

>決して実現しない夢でしかないことに
そうなんですよねー・・・
美しく優雅に飛ぶ映像は切なくも優しく、
胸に来るものがありました。

ハビエル・バルデム。
それにしても「ノーカントリー」とは全く違う演技にまたまたビックリです。うふ
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Puffさま! (rubicone)
2008-05-23 23:53:32
いつも貸し出し中だったのですが、ようやく借りられてみることができました。
重い主題でしたが、「生きること」についての意味を今一度自分自身に問いかけることになってました。ほんと、よい映画でした。

「ノー・カントリー」はDVDを待つことになると思いますが、チラシや予告で観たハビエル・バルデムはまるっきり別人!!ですよね~。私やっぱりDVDで、「ハモン ハモン」も観てるんですが、最初どの人がハビエル・バルデムかわからなかった・・・(笑)なんだか、もの凄い役者なんじゃないかと思うことしきりです!!
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