2012年/スペイン・フランス/104分
監督:パブロ・ベルヘル
音楽:アルフォンソ・デ・ビラリョンガ
出演:マリベル・ベルドゥ、ダニエル・ヒメネス・カチョ、アンヘラ・モリーナ、マカレナ・ガルシア、ソフィア・オリア、インマ・クエスタ、ホセ・マリア・ポー
ストーリー:1920年代のスペイン。天才闘牛士アントニオはある時、アクシデントに見舞われ、荒れ狂う牛に体を貫かれて瀕死の重傷を負う。それを観戦していた妻はショックで産気づき、娘カルメンを生むと同時に亡くなる。一方、全身不随となったアントニオは、不幸にも恐るべき悪女エンカルナと再婚してしまう。はたして継母となったエンカルナは好き放題を繰り返し、カルメンにも手ひどく虐げるのだった。やがて美しく成長したカルメンは継母によって命を狙われ、死にかけたところを小人闘牛士団の一行に救われる。カルメンは“ブランカニエベス(白雪姫)”と名付けられ、彼らと共に巡業の旅へ出ることに。そして、いつしか女闘牛士として人気者になっていくブランカニエベスだったが…。~allcinemaより
大雪だからブランカニエベス/Blanvanieves:白雪姫と言う訳では全然なく・・・。しかし、外は白い雪の世界そして雪と格闘する雪掻きの現実。雪の降る前に観られてよかった。
この作品を勧めてくれた友人の「妖しい世界」と言う一言がすべてを語っている気がする。
冒頭、オーケストラの音合わせに合わせて紅い幕が左右に開いたところから、あれよあれよという間に作品世界に導き入れらてしまった感じ。
モノクロで彩られる台詞の一切ない、だからこそ感じることができる豊かな世界に溺れてしまった。
台詞のない分、音楽がそれ以上にしゃべって、喋りまくる、けれどあくまで抑制が効いて決して出過ぎない。フラメンコと闘牛の掛け声が呼応してそれを聞いているだけでぞくぞくする。そしてフラメンコのパルマ(手拍子)が効果的で楽しさを印象付けたり、不安を煽ったり・・・。悲しみと苦しさ、父と娘の束の間の温かい時間、そして不条理が支配するやりきれない世界。
童話の内包する残酷さを改めて思い、下敷きとなっているグリム兄弟の「白雪姫」の残酷さを今一度、思い出す。
舞台をスペインに据え、闘牛士と継母と小人闘牛団そして毒りんごとで新たに甦った「白雪姫」という世界を旅した後に残るひりひりするような苦みが残る。
ところで、この作品を観て初めて闘牛場で観客がハンカチを振る意味がわかったのは発見だった。
そして、全く字が書けない人はサインをしなければならないところでは十字を書く、と何かの本で読んだ記憶があったのだが、十字を45°傾けて書類にサインしている場面を見て、なるほどこれが!!と思った。他に写真撮影の場面だとか初聖体拝領の日のドレスの色が黒く染まった瞬間など、印象に残る場面が多い作品だった。
童話の残酷さを余すことなく描くと・・・こうなるのね~みたいな。
スペイン映画なのに、途中挿入される台詞が英語なのが何か変な感じでしたが・・・
白と黒の世界でより色を感じさせるというのは何故なのだろう?とモノクロの作品を見た時に思います。
豊かな色を感じさせてくれましたよね~
何とも言えないものが何時までも後に残りました。
十字のサインは、この映画で初めて知りました!
観ている時は何故バッテンを…?と思いましたが、
後から知って納得♪
他にもいろいろ(闘牛にまつわることなど)改めて知ったこともありましたですヨ。
お父さんを演じたダニエル・ヒメネス・カチョさん。
素敵なおじ様ですね。
過去作品を調べたら、観た役柄が「…」な役だったので気が付きませんでした。ハハ・・