Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

15の夏を抱きしめて

2014-09-27 23:21:30 | 
                   
ヤン・デ・レーウ (著), 西村 由美 (翻訳)

内容紹介:大切な人を失ったとき、人はどのように立ち直ってゆくのか―。トーマスは15歳で死んだ。元恋人のオルフェー、母親、祖父には、まだ彼の姿が見える。トーマスも、現実を受けとめきれないオルフェーや、崩壊寸前の家族を静かに見守っている。愛と悲しみ、過去と現在が、重層的に織りなす物語。~裏表紙より

岩波書店から10代からの海外文学としてシリーズで刊行されている「STAMP BOOKS」の中の1冊であるベルギーの作家ヤン・デ・レーウ/西村由美訳の『15の夏を抱きしめて』を読んだ。
友人から紹介されたこの本、10代向きの作品ということだけれど、10代といわず大人も対象の本だと感じた。
扱っているのは「死」について、大切な人を失った時に人はどうその事実と向き合い、受け入れそしてそこから続く道を模索していくのだろうかということ。
それが死んでしまったトーマスと元恋人のオルフェー、母親、祖父とがそれぞれ彼の姿を見、語り合い、またトーマスが彼らの現在を読者に語る。物語は彼なしで生きている現在とかつて彼がいた過去と、そしてほの見える未来を暗示させ綴られていく。それぞれの心の軌跡がトーマスを介して鮮やかに浮かび上がり、彼らが現実を受け止め、受け入れていく姿が描かれる。心に深く響く一冊の本だった。
コメント
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