Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

椿姫:さようなら、過ぎ去った日々よ

2008-08-13 23:08:13 | 音楽
G.ヴェルディのオペラ『椿姫』は数々の有名なアリアが随所に散りばめられた作品。
話の筋だけだと案外ありきたり感のある悲恋物語なように思ってしまうけれど、これにG.ヴェルディによる極上の音楽が付けられると、陰影がくっきりした実に深い話に変化するのだ。
その第3幕で主人公ヴィオレッタがジョルジョ・ジェルモンからの手紙を読み、そして歌うアリア「さようなら、過ぎ去った日々よ/Addio,del Passato」絶望感に苛まれつつヴィオレッタが歌うこのアリアは、何度聴いても胸が締め付けられる。
覚えてしまうくらい何度も読み返したジョルジョ・ジェルモンからの手紙を病み衰えた声で読み始めるヴィオレッタ。「Teneste la Promessa・・・」そして読み終えて振り絞るように、叫ぶように言う「È Tardi!」

最近この曲を弾いていて、改めて素晴らしさに打たれた。同時に伴奏法の講義の時に聞いたこのアリアの話を思い出していた。伴奏法の先生はその当時、現役でばりばり弾いてらしたので、講義の折に色々な公演にまつわる話など聞かせて下さったのだが、その中に「椿姫」のまさにこのアリアもあったのだ。オペラの公演ではこの手紙は普通は何も書かれていない白い紙を手にヴィオレッタが読み始めるのだけれどその日、この手紙に描かれていたのは・・・豚があかんべーをした顔、だったんだって。ヴィオレッタ役の歌手はそれを目にした途端、笑いをこらえるのに必死で、声は震えるわ、肩は揺れるわ・・・で、ものすごく真に迫った演技になってたんですって。
コメント (2)
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