Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

パンズ ラビリンス

2007-10-12 00:03:49 | 映画 は行
             *公式サイト
2006年/スペイン・メキシコ/119分
原題:EL LABERINTO DEL FAUNO
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル

この作品、期待一杯で出かけたその期待をはるかに超え、そしてまた或る意味で想像を絶したダークで深いそして重い世界が広がっていて、どっぷりその中に沈んで・・・揺さぶられ、溺れてしまった
最初から最後まで激しい緊張が続き、それが暗い色調の中に展開する。その暗さは、フランコ軍とゲリラとの戦闘が繰り広げられる現実の世の中でも、物語の主人公オフェリアが牧神:パンと出会い試練の旅をする迷宮:ラビリンスの中でも同様なのが、見ていて本当に切ない。
現実の世界で自由に息ができない時、オフェリアの目の前に現れたパンの迷宮は、そこで辛い試練を与えられようと、それを解決しようと立ち向かうことを選ぶことができる、という現実世界では彼女が決して許されない「自由」が存在していたのだ。しかし、立ち向かう事を選ぶ自由はあってもその中でもパンに質問することは許されず、与えられた試練は越えていかねばならない。
それは彼女の周囲の人々、母カルメン、メルセデス、フェレイロ医師、フランコ軍の圧制に苦しみ抵抗する全ての人々も同様である。どちらも「no」を言うことを許されない。
この閉塞された世界は、最後に課せられた試練の場面でオフェリアが全てを賭けてパンに「¡ NO !」という言葉によってついに開け放たれる。その言葉はまた、ビダル大尉に向かってメルセデスの口から発せられることになる。現実と迷宮の世界は常に呼応し合う。
この螺旋の階段を上り下りするように行き来する彼女の織りなし構築した世界は、結局は悲劇的な結末であり同時に至福の結末だったのだと、胸が痛くなる慈しみの気持ちと切なさと悲しみの中で納得する。
素晴らしかった
コメント (2)
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