2021.11.16. Tue.
『ブダペスト国立工芸美術館名品展 ~ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ~』 16:30- 於:「パナソニック汐留美術館」 16:30- 於:「パナソニック汐留美術館」
1.欧米における工芸のジャポニスムおよびアール・ヌーヴォーの展開を、ブダペスト国立工芸美術館のコレクションでたどる
19世紀後半のヨーロッパで、日本の美術や工芸の影響を受けた作品が様々な分野で作り出されるようになった現象のジャポニスムは、やがてアール・ヌーヴォーの源泉ともなります。工芸においても、イメージの模倣から始まり日本の装飾技法の研究を通じて、その魅力の根底にある自然へのまなざしや素材自体の効果を学び、探求が行われます。本展ではその様相を多数の優れた作例によってご紹介いたします。
2.ミントン社、エミール・ガレ、ドーム兄弟、ルイス・カンフォート・ティファニー、ビゴ社、ベルリン王立磁器製作所などの名品
ブダペスト国立工芸美術館の陶磁器ガラス部門から、国際的にも名高いアール・ヌーヴォーのコレクションをお目にかけます。これらには、19世紀末から20世紀初頭、作家や工房からの直接購入や、1900年のパリ万博での購入など、同時代の名品として集められてきた作品が多くあります。本展には収蔵以来の初公開作品や、国内外の展覧会から出品依頼の絶えないスター作品が選ばれて展示されます。
3.ハンガリーの名窯ジョルナイ陶磁器製造所の名品が多数出品
ハンガリアン・アール・ヌーヴォーにおいて大変重要な工房のひとつであるジョルナイ陶磁器製造所が制作した48件(56点)の作品が出品されます。ジョルナイ独自のエオシン彩が施された作品だけでなく、ファイアンスフィーヌのティーセット、結晶釉の壺、炻器による水差しなど多彩な素材と装飾で幅広くジョルナイの魅力を感じていただけます。
ブダペスト国立工芸美術館は、ロンドン、ウィーン、ベルリンにおける工芸美術館の設立に続き、1872年に創設され、設立以来、古今東西の工芸品の収集に当たり、当初、ハンガリー国立博物館から引き継いだ世界の古美術品からなる「歴史コレクション」と、万国博覧会における購入品(1873年のウィーン万博、1878年と1889年のパリ万博)及び有名企業(ヘレンド製陶所、ジョルナイ陶磁器製造所)からの寄贈品からなる「同時代のコレクション」を基としていました。1896年、ハンガリー建国千年祭の最終行事として、オーストリア・ハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフを迎え、エデン・レヒネルの設計による工芸美術館の新しい建物が開館しました。初代館長ジェルジュ・ラート(1828-1905)と第二代館長イエネー・ラディシッチ(1856-1917)が築いた国内外の幅広い人脈を通して、工芸美術館は第一級の工芸品を収集することとなり、美術館のアール・ヌーヴォー・コレクションの基礎は、主に1900年にパリで開かれた万国博覧会や館内で毎年開催されていたクリスマス展覧会で買い上げた作品によって築かれたのです。20世紀後半からは、ハンガリーの現代作家の作品を中心として収集が行われています。現在、工芸美術館は大規模な改築工事中で、リニューアル後、中央ヨーロッパで最も刺激的で魅力に溢れた美術館として再び開館予定です。
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