日々是勉強

気軽に我流でワインを楽しんでみようかと。

第67回 正倉院展

2015-11-08 23:25:59 | Museum

2015.11.8. Sun.

奈良国立博物館 『第67回 正倉院展

    雨の3時過ぎ、流石に人も少なく、ゆっくり観覧。   

      

 「本年の正倉院展には、北倉9件、中倉22件、南倉29件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて63件の宝物が出陳されます。そのうち初出陳は12件です。例年通り正倉院宝物の来歴と概要がわかるような構成ですが、最新の調査成果を反映した内容に特色がみられます。
 聖武天皇ゆかりの北倉からは、七条褐色紬袈裟(しちじょうかっしょくのつむぎのけさ)が出陳されます。袈裟は『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』の筆頭に掲げられるもので、仏教に深く帰依(きえ)した聖武天皇の信仰を伝える宝物として注目されます。また彫石横笛(ちょうせきのおうてき)・彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)は、石でできた珍しい管楽器で、表面に美しい浮彫文様(うきぼりもんよう)が施されています。天皇のご所用にふさわしい豪華な装飾が特色です。東大寺伝来の紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)、漆鼓(うるしのつづみ)とともに天平の調べに思いを馳せてみてください。
 また本年は年中行事に関わる宝物が多数出陳されます。銀・銅・鉄で作られた大きな針(はり)や赤・白・黄色の縷(る)(糸)は、手芸・裁縫の上達を祈る乞巧奠(きつこうでん)という七夕(たなばた)の行事に使用されたと考えられるものです。紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)は象牙という高価な素材を使用し、華麗な装飾が施されており、天皇に鏤牙尺(るげしゃく)(撥鏤のものさし)を献上する2月2日の儀式に使用されたとの説があります。他に斑犀尺(はんさいのしゃく)、木尺(もくしゃく)も出陳され、様々な表情のものさしを見比べることができます。
 ところで、本年は平成21年~24年に宮内庁正倉院事務所で行われた特別調査の成果を示す宝物が出陳されるのも話題の一つです。以前の調査で鯨鬚(くじらひげ)とされていた柿柄麈尾(かきえのしゅび)の毛は猪毛だということが判明するなど、従来の説を覆す結果も今回の調査で得られました。また毛氈(もうせん)類の材質や製法についても新たな知見が得られております。最新の知見に展示品を通じてふれていただくとともに、古代の獣毛の使用法について思いを膨らませてみてください。
 このほか蘇芳地金銀絵箱(すおうじきんぎんえのはこ)や密陀絵龍虎形漆櫃(みつだえりゅうこがたのうるしのひつ)に施された流麗な絵画、柿柄麈尾や玳瑁竹形如意(たいまいのたけがたにょい)に施された精緻な細工、琥碧魚形(こはくのうおがた)や東南院古文書(とうなんいんこもんじょ)第三櫃第三十三巻から偲ばれる天平の生活様式や社会など、宝物の魅力を様々な角度からお楽しみください。」 

今年の展示は少し趣向が変わっていて、大物ではないが小物の変わり種が数点散見された。

三彩の塔や松露の細工物の付いた帯飾りが印象に残った。

    紫檀木画槽琵琶

   

   

珍しく筆の出展も有り、「文具三宝」って何だっけ?と調べたところ、筆、墨、硯でした。

細工もさることながら、竹の脂がしっかり残ったつややかな斑竹の輝きには目を奪われた。

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国立国際美術館  『クレオパトラとエジプトの王妃展』

2015-10-12 23:50:11 | Museum

2015.10.12. Mon.

 国立国際美術館  『クレオパトラとエジプトの王妃展』  2015年10月10日(土)-12月27日(日)

     

「約5000年前に誕生した古代エジプト文明の歴史は、王妃や女王抜きには語れません。彼女たちは王であるファラオを支え、時に政治的・宗教的に大きな役割を果たしました。

「絶世の美女」と語り継がれるクレオパトラ(クレオパトラ7世)は、古代エジプト最後の王朝を率いた人物です。波乱に満ちたその生涯に、後世の人々はさまざまな物語を見出してきました。

本展では、クレオパトラを中心に、ハトシェプスト、ティイ、ネフェルトイティといった魅力あふれる女性たちに焦点を当て、その実像に迫ります。

ルーヴル美術館、大英博物館、ボストン美術館、ベルリン・エジプト美術館など世界の名だたる美術館・博物館の所蔵品を中心に、14カ国、約40の所蔵先から集う貴重な品々をお楽しみいただけます。」

久しぶりの国立国際美術館。 一時は会員になっていたほどはまっていたっけ。

「クレオパトラ」を前に押し出しているが、女王として君臨したハトシェプスト、少年王ツタンカーメンの祖母・ティイ、アマルナ時代を代表する王妃ネフェルトイティ(ネフェルティティ)や、イシスをはじめとする女神にもスポット・ライトが当てられていた。

新王国18~20王朝時代が中心で、プラス最後の王朝、クレオパトラの時代が加えられている体。 恐らく新王国では18~20王朝辺りが世相も落ち着いていて、素晴らしい美術品が多く作られたのではないかと思われる。 調べてみると、王に権力が集中し、金が戦利品として大量に持ち込まれたようだ。

今回の企画では、幅広い館からの出展だったのが目立った。 パリ・ルーヴル美術館、ロンドン・大英博物館、ベルリン・エジプト博物館、ウィーン美術史美術館プラス、小さな美術館や個人からの出展が多く、各地を巡ることは難しい私には、有難い。 「これは美しい」と感じるものは、大手の美術館より小さいそれの出展が多かったから、なおさらである。 (集めた学芸員さん、凄い!

もちろん、ルーブルや大英博物館のエジプト・コレクションには及ばず、迫力に欠けるのは否めないが、こじんまりとした見やすい会だった。

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展覧会チェック

2015-09-20 16:20:58 | Museum

 奈良国立博物館 『第67回 正倉院展』  平成27年10月24日(土)~平成27年11月9日(月)

 奈良県立美術館 『企画展 ― 錦絵誕生250年 ―  浮世絵版画 美の大世界』  2015年10月10日(土)~12月6日(日)

 国立国際美術館  『クレオパトラとエジプトの王妃展』  2015年10月10日(土)-12月27日(日)

 京都国立博物館 平成知新館  『琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る』  2015(平成27)年10月10日(土)~11月23日(月・祝)

 神戸市立博物館  『大英博物館展 —100のモノが語る世界の歴史—』    2015年09月20日~2016年01月11日

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白鳳-花ひらく仏教美術-

2015-09-11 22:27:16 | Museum

2015.9.11. Fri.

 奈良国立博物館 「開館120年記念特別展 白鳳-花ひらく仏教美術-」 (-19:)

   

 「白鳳は7世紀の半ばから710年に平城京に遷都するまでの間の文化や時代を指す言葉として、美術史学を中心に用いられてきました。この時代、天皇を中心とした国作りが本格化し、造寺造仏活動が飛躍的に展開し藤原京には大官大寺や薬師寺、飛鳥の地には山田寺や川原寺など壮麗な伽藍(がらん)が軒を連ねました。新羅をはじめ朝鮮半島の国々との交流は毎年使節が往来するなど盛んであり、大陸の先進的な文化がもたらされました。
 白鳳美術の魅力は金銅仏に代表される白鳳仏にあると言って良いでしょう。白鳳仏は若々しい感覚にあふれ、中には童子のような可憐な仏像も見ることができます。神秘性や厳しさを感じる飛鳥彫刻や、成熟した天平彫刻とはまた違う魅力です。一方、考古遺物に眼を向ければ、白鳳期の瓦の文様はわが国の瓦当(がとう)文様の頂点と呼ぶにふさわしく、寺院址からは堂宇(どうう)の壁面を飾っていたと思われる美しい塼仏(せんぶつ)が出土しています。白鳳文化が高度に完成された様式を築き上げていたことがわかります。
 奈良国立博物館は平成27年に開館120年を迎えます。これを記念し、仏教美術の専門館として長年にわたり構想を温めてきた白鳳美術を取り上げ、その魅力を追求します。」

    

薬師寺の東塔解体修理に合わせての企画と思われる。

東塔の水煙実物の展示は有難かったし、薬師寺東院堂(とういんどう)の本尊である『国宝 聖観世音菩薩立像』の神々しさには身の引き締まるものが有った。

    オーラが醸し出されていた。

「青年を思わせるみずみずしい体型が魅力的。作風は8世紀初頭の唐代造像と共通するところがあり、遣唐使が持ち帰った新しい図像に基づく造像かと思われる。白鳳様式の掉尾(とうび)を飾る名作。」

国宝の仏舎利の容器も、当時の工芸の技術の高さを再認識させられるものだった。

つぎの部屋では法隆寺が中心の展示。

『観音菩薩立像(夢違観音) 』がいきなり出迎えて下さる。

「法隆寺東院絵殿(とういんえでん)に伝来。悪夢を善夢に変えてくれるという信仰から、夢違観音(ゆめちがいかんのん)の愛称がある。成熟した天平様式に近い要素も認められ、白鳳様式の掉尾(とうび)を飾る作品といえる。清冽(せいれつ)な少年の相が魅力的。」

嬉しかったのが金堂の国宝の天蓋の装飾品の展示。 鳳凰のなげしが間近に見ることが出来、有難かった。

『重要文化財 文殊菩薩立像(六観音のうち) 』も美しかった。

「クスノキ材を用いた一木造(いちぼくづくり)の像で、頭髪の一部や三面頭飾(さんめんとうしょく)などは乾漆(かんしつ)製である。白鳳期に流行した童形仏(どうぎょうふつ)の代表的作例。」

『国宝 阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏) 』の展示は博物館ならではのもので、厨子、像、台座、光背と別々に展示されており、普通見ることのできない部分まで観賞でき、興味深いものだった。

   

最後の部屋は工芸品。

以前東京の博物館で見た、法隆寺の『国宝 龍首水瓶』は正倉院御物のそれと並べて観てみたいものです。

美しいフォルムは現在の感性とも同じだと痛感。

三彩など、もっとゆっくり見たかったが、ここで時間が来てしまった。

仕事を置いて慌てて出かけたのだが、1時間ちょいでは少し時間が足りなかった…

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岡崎美術館巡り

2015-07-21 00:47:29 | Museum

2015.7.20. Mon.

 京都国立近代美術館 「北大路魯山人の美 和食の天才」  2015年6月19日(金)~ 8月16日(日) 午前9時30分 ~ 午後5時 月休(7/20開館)

     

「〈和食(WASHOKU)〉のユネスコ無形文化遺産登録を記念して、書や篆刻、料理、そして陶芸など多彩なジャンルで活躍し、美食の道をきわめた存在として広く親しまれている異才の芸術家、北大路魯山人(1883-1959)の展覧会を開催します。
 1883(明治16)年に京都に生まれ、書家、篆刻家として頭角を現した北大路魯山人(本名・房次郎)は、自らが厨房に立ち、古陶磁器に料理を盛り付け客にふるまう「美食倶楽部」を設立、このことが大きな転機となり料理の世界を探求していきます。その後共同で設立した会員制高級料亭「星岡茶寮」では、顧問兼料理長として、大胆かつ型破りな発想で独自のもてなしの世界を築くとともに、自らが理想とする器(うつわ)を求めて本格的な作陶活動を開始します。古陶磁に学びながらも、俎板皿や大鉢といった独自の遊び心を示す魯山人の器は、後世の料理人にも広く愛され、器と料理が繰り広げるその豊饒なダイアローグは美食を求める多くの人々を魅了してきました。
 今回の展覧会では、「器は料理の着物」として、和食の魅力を豊かに読み解き、その革新に挑んだ魯山人の仕事を通じて、日本の美意識、もてなしの精神、自然観を結晶させた器と料理の関係を紹介します。魯山人の陶芸・絵画・漆芸・書作品などを中心に、料理や献立に関する著述資料、そして京都の料亭の協力により現代の写真家が新しい視点でとらえた写真・映像を織り交ぜた構成で、美を味わう姿勢を貫いた魯山人の世界観を体感していただけることでしょう。」

陶芸家としての作品性は拙いが、料理を盛った状態を想像するのがとっても楽しい魯山人の器。 やはり写真ではなく、実物を観ないことには感じ取れない感性を求めて出かけてみる。

「食」を芸術と認識した氏の作品は、やはり刺激のあるものだった。

新しい展示法も興味深いものだった。 「食事をバーチャルに体験できるインスタレーション」という、パリ、ギメ東洋美術館でも好評を博した『銀座・久兵衛』鮨のカウンターが再現されており、展示室でヴァーチャルに魯山人の器で食事を楽しめる趣向。

   

「魯山人が星岡茶寮で目指したことは、しつらい、料理、器、もてなしの精神といった、料亭におけるすべての構成要素が一体となった総合的な「美」の世界でした。また、魯山人の築き上げた料理にまつわる習慣は、現代の私たちの和食文化の基礎ともなっています。魯山人が理想とした料理をめぐる美の世界が現代にどのように継承されているかを、現代の写真家の視点でとらえた料亭の写真・映像や、食事を疑似体験できるインスタレーションと共に紹介します。」

ついでに(失礼な言い方だが)、「平成27年度 第2回コレクション展」も、軽く観覧。 4階からの眺望が美しかった。

     

 京都市美術館 「マグリット展

      

「ルネ・マグリット(1898-1967)は、ベルギーの国民的画家であり、20世紀美術を代表する芸術家。シュルレアリスムの巨匠として知られていますが、その枠にはとどまらず、独自の芸術世界を作り上げました。マグリットの作品は、言葉やイメージ、時間や重力といった、私たちの思考や行動を規定する要素が何の説明もなく取り払われており、一度見たら忘れられない魅力に満ちています。詩的で神秘的、静謐な中にも不穏でセンセーショナルな部分が潜む――イメージの魔術師が生み出す、不思議な“マグリット・ワールド”に、どうぞご期待ください。

日本におけるマグリットの展覧会は、1970年代以降何度か開かれてきましたが、本格的な回顧展は2002年以来、実に13年ぶりとなります(東京では13年ぶり、京都では44年ぶり)。

ベルギー王立美術館、マグリット財団の全面的な協力を得て、世界10か国以上から代表作約130点が集まる本展に、どうぞご期待ください。」

ベルギーに旅行した際、何度か出合った画家。 エッシャーのインプレッションが強烈で、あまり重きを置かずに観ていたが、こうしてスポット・ライトを当てて観賞すると、とっても興味深い。

時間に追われ、あまりゆっくり鑑賞できなかったのが残念だった。 出来れば再訪したいものだ。

 京都市美術館 「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」 6/16-9/27

     

 フェルメールは殆どの作品を観ることが出来たが、こちらは観た覚えはあるものの、あまり印象に残っておらず、この作品を観るために入場。

フェルメール・ブルーが鮮やかでないのが残念… それでインパクトが薄かったのだろうと思われる。

「ルーブル展」と銘打つには少し貧弱な構成だったが、ティツィアーノの作品は秀逸だった。

マグリットとの併催は面白い組み合わせだし、それに併せての構成なのだろうか? 確かにフランドルが多かったが…

閉場のアナウンスに急かされて、こちらも駆け足の観賞となってしまった。

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2つの魯山人展

2015-07-14 15:54:53 | Museum

ハルカスは無理そうだが、京都には行ってみたい。

 京都国立近代美術館 「北大路魯山人の美 和食の天才」  2015年6月19日(金)~ 8月16日(日) 午前9時30分 ~ 午後5時 月休(7/20開館)

〈和食(WASHOKU)〉のユネスコ無形文化遺産登録を記念して、書や篆刻、料理、そして陶芸など多彩なジャンルで活躍し、美食の道をきわめた存在として広く親しまれている異才の芸術家、北大路魯山人(1883-1959)の展覧会を開催します。
 1883(明治16)年に京都に生まれ、書家、篆刻家として頭角を現した北大路魯山人(本名・房次郎)は、自らが厨房に立ち、古陶磁器に料理を盛り付け客にふるまう「美食倶楽部」を設立、このことが大きな転機となり料理の世界を探求していきます。その後共同で設立した会員制高級料亭「星岡茶寮」では、顧問兼料理長として、大胆かつ型破りな発想で独自のもてなしの世界を築くとともに、自らが理想とする器(うつわ)を求めて本格的な作陶活動を開始します。古陶磁に学びながらも、俎板皿や大鉢といった独自の遊び心を示す魯山人の器は、後世の料理人にも広く愛され、器と料理が繰り広げるその豊饒なダイアローグは美食を求める多くの人々を魅了してきました。
 今回の展覧会では、「器は料理の着物」として、和食の魅力を豊かに読み解き、その革新に挑んだ魯山人の仕事を通じて、日本の美意識、もてなしの精神、自然観を結晶させた器と料理の関係を紹介します。魯山人の陶芸・絵画・漆芸・書作品などを中心に、料理や献立に関する著述資料、そして京都の料亭の協力により現代の写真家が新しい視点でとらえた写真・映像を織り交ぜた構成で、美を味わう姿勢を貫いた魯山人の世界観を体感していただけることでしょう。

 あべのハルカス美術画廊 「~近代陶芸の巨人~ 北大路魯山人展」  7月9日(木)→15日(水) ※最終日は午後5時で閉場 

このたび、あべのハルカス近鉄本店では、『~近代陶芸の巨人~ 北大路魯山人展』を開催いたします。本展では、美の教養を可能な限り高く学び、慣習にとらわれぬ自由な創意で、食器の域を遥かに超えて近代陶芸における地位を確固たるものとした魯山人の陶芸作品を一堂に展覧いたします。
ぜひこの機会にご高覧いただきますようご案内申しあげます。

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大古事記展

2014-11-24 21:41:37 | Museum

2014.11.24. Mon.

祭日の定休日を利用して、こぱんちゃんと美術館に。

大古事記展』 @奈良県立美術館

「七支刀」が見たくて出かけたが、こぱんちゃんは既に東京の『国宝展』で見たことが有るのだとか。

 石上神宮のHPより

鉄製で、身の左右に各3本の枝刃を段違いに造り出した特異な形をした剣です。全長74.8センチで、下から約3分の1のところで折損しています。
剣身の棟には表裏合わせて60余字の銘文が金象嵌で表わされており、その解読が明治以降続けられ、現在では大体次の様に解釈されています。
 
(表面) 泰□四年(□□)月十六日丙午正陽造百練釦七支刀□辟百兵供供侯王□□□□作
(裏面) 先世以来未有此刀百済□世□奇生聖音故爲倭王旨造□□□世
 
冒頭の「泰□」の2字目は、現在僅かに禾偏(のぎへん)を思わせる線が残っているのみで、旁(つくり)にあたる所にはこの文字を探究した人がつけたと思われる傷痕があって、字は詳らかではありません。しかし、「泰和(たいわ)」として東晋(とうしん)の年号「太和」(西暦366~371)の音の仮借とみる説があり、それによるとこの七支刀は西暦369年に製作されたと考えられます。

この七支刀は『日本書紀』に神功皇后摂政52年に百済から献上されたとみえる「七枝刀(ななつさやのたち)」にあたると推測されており、前述の推定に誤りがなければ、この七支刀の銘文は『日本書紀』の紀年を訂正し、その伝承を裏付けることになります。しかも、この銘文は、我が国古代史上の絶対年代を明確にする最古の史料なのです。

 

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正倉院展

2014-11-02 17:53:08 | Museum

2014.11.2. Sun.

こぱんちゃんと、『第66回 正倉院展』観賞に出かける。

今回のメイン展示は: 太字は特に観たかったもの。

鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ) 第2扇、第4扇、第5扇、第6扇
紫檀木画挾軾(したんもくがのきょうしょく)
衲御礼履(のうのごらいり)
黄金荘大刀(おうごんそうのたち)
伎楽面 崑崙(ぎがくめん こんろん)
桑木阮咸(くわのきのげんかん)
白瑠璃瓶(はくるりのへい)
鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいのほうきょう)
檳榔木画箱(びんろうもくがのはこ)
人勝残欠雑張(じんしょうざんけつざっちょう)

鋳造技術の傑作である「鳥獣花背方鏡」は、現在の技術では作れないと聞く。 ミステリアスな宝物にうっとり。

 「本年の正倉院展には、北倉6件、中倉28件、南倉22件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて59件の宝物が出陳されます。そのうち初出陳の宝物は6件です。例年通り正倉院宝物の概要と来歴がわかるような内容・構成となっておりますが、天皇皇后両陛下の傘寿を慶祝するような、華やかな宝物が揃っているのが特色といえます。
 聖武天皇・光明皇后ゆかりの北倉からは、天皇の身近にあった家具・調度類がまとまって出陳されます。「天平美人」として高名な鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)は奈良朝の華麗な宮廷生活を偲(しの)ばせるに十分です。また聖武天皇がお使いになったひじつきである紫檀木画挾軾(したんもくがのきょうしょく)や寝台である御床(ごしょう)、あるいは大仏開眼会(かいげんえ)で履かれたと思われる衲御礼履(のうのごらいり)のような宝物からは、聖武天皇の存在が確かに伝わって参ります。
 また、異国の気分を伝える白瑠璃瓶(はくるりのへい)や白石鎮子(はくせきのちんす)、仏・菩薩への豪華な捧げ物を納めたと考えられる密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)や檳榔木画箱(びんろうもくがのはこ)といった献物箱(けんもつばこ)、あるいは仏寺を飾ったかと思われる雑玉幡(ざつぎょくのばん)残欠(ざんけつ)、壮麗な鳥獣花背円鏡(ちょうじゅうかはいのえんきょう)、鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいのほうきょう)などの宝物、琵琶に似た弦楽器である桑木阮咸(くわのきのげんかん)などは、天平文化の精髄を今に伝えてくれます。
 ところで、宝物の献納目録を代表する『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』には多数の武器・武具が記されております。それらの大半は藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)(恵美押勝[えみのおしかつ])の乱(天平宝字8年[764])に際して出蔵され、ほとんどが宝庫には戻りませんでしたが、これらの武器・武具を彷彿(ほうふつ)させる、中倉伝来の品々がまとまって出陳されるのも話題の一つです。豪壮な黄金荘大刀(おうごんそうのたち)や類例のない武器である手鉾(てぼこ)、漆葛胡禄(うるしかずらのころく)とこれに附属する箭(や)など、天平の「武」の部分にもご注目下さい。
 このほか、昨今の保存修理技術の進展によって新たに修理が行われ、出陳可能となった伎楽面(ぎがくめん) 酔胡従(すいこじゅう)や、近年鑑真(がんじん)将来の可能性が指摘された四分律(しぶんりつ)などの宝物からは、現在進行形の宝物の置かれた状況が伝わって参ります。」

ついでに新公会堂で開催されたシンポジウムの工芸のお話だけを聴講させて頂く。

15:05~15:55 正倉院学術シンポジウム2014 「日本工芸の源流としての正倉院宝物」  by 内藤栄氏(奈良国立博物館学芸部長)

『奈良工芸フェスティバル』「にほんしゅ、おつまみ、うつわ展」(-17:00)にも立ち寄り、こぱんちゃんは、奈良のお酒を試飲させて頂く。

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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美

2014-07-25 20:43:34 | Museum

気になる展覧会。

『ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美』  公式HP

会期: 2014年6月28日(土)-9月15日(月・祝)
開館時間: 10:00-18:00(最終入場は17:30)
休館日: 毎週月曜日
*ただし7月21日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館、7月22日(火)は休館
会場: 世田谷美術館 1・2階展示室
観覧料: 一般1500(1300)円、65歳以上1200(1000)円、大高生900(700)円、中小生500(300)円 
*( )内は20名以上の団体料金
*障害者の方は当日500円、団体300円、大高中小生の障害者の方は無料/介助の方1名までは無料、手帳をご提示ください
 
主催: 世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、ボストン美術館、NHK、NHKプロモーション
後援: 外務省、アメリカ大使館、世田谷区、世田谷区教育委員会
協賛: 損保ジャパン・日本興亜損保、大日本印刷、トヨタ自動車、三井物産
協力: 日本航空、日本貨物航空
All Photographs©2014 Museum of Fine Arts, Boston.

9/30-11/30まで京都市美術館にも来るよう。

クロード・モネ《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》1876年

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ラファエロ展

2013-05-27 01:10:59 | Museum

2013.5.26. Sun.

こぱんちゃんと久々の美術鑑賞。

体調の優れない彼女を気遣い空いてきただろう閉館前に飛び込む。

4時半過ぎての入場で1時間弱の鑑賞で少し駆け足だったが、さほど大きな美術館ではないので、充分堪能できた。

目玉の自画像と母子像はかつて一緒にイタリアに行った時にフィレンツェで観たものだったが、また時と場所が変わって見るのも感慨深いものがある。

特に母子像はバックの黒塗りが後世のもので、当時は部屋の中の絵であったX線による最新の解析が一緒に展示されており興味深かった。

『国立西洋美術館』(上野) 「ラファエロ展」  (毎週金曜日:午前9時30分~午後8時)

「ルネサンスを代表する画家ラファエロ・サンツィオ(1483-1520年)。ルネサンス絵画を完成させ、後の画家たちの手本となったラファエロですが、作品の貴重さゆえに展覧会の開催はヨーロッパにおいてもきわめて難しいとされています。本展はヨーロッパ以外では初となる大規模なラファエロ展です。
本展にはペルジーノらの影響が色濃く残る修業時代の作品から、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロに触発されたフィレンツェにおける作品、そして1508年にローマへ上京し、教皇のもとで数々の大規模プロジェクトに携わった晩年の作品まで、20点以上のラファエロ作品が集結します。特に《大公の聖母》はラファエロの描いた数ある聖母子像の中でも、最も有名なもののひとつです。さらにラファエロの周辺で活動した画家たちや、彼の原画による版画、それを図案化した工芸品等に至るまでを合わせ、計約60点が会場に並びます。以後の美術表現に絶大な影響を与えた画家ラファエロの全貌を知る、絶好の機会となるでしょう。」

 ラファエロ・サンツィオ《自画像》 1504-06年 油彩/板 47.3x34.8cm フィレンツェ、ウフィツィ美術館

 ラファエロ・サンツィオ《大公の聖母》 1505-06年 油彩/板 84.4x55.9cm フィレンツェ、パラティーナ美術館

鑑賞後ロダンの談議になり、「地獄の門」というこぱんちゃんに「天国の門」でしょう?と自信満々に突っ込む私…

脳内で地獄を天国に変換してしまう私のHappyさに自身で呆れる。

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