非国民通信

ノーモア・コイズミ

民間の工事にも適用しよう

2013-08-13 22:49:26 | 雇用・経済

社会保険未加入業者を公共工事から排除 29年4月から国交省適用(産経新聞)

 国土交通省は年金や医療、雇用の社会保険に加入していない建設業者を公共工事の下請けから排除する指針(ガイドライン)を定め、平成29年4月から適用する。悪質な未加入事業者が工事をダンピング(不当廉売)して受注するケースがあり、社会保険料を適正に負担する事業者が不利益を被る悪循環を断ち切るのが狙い。

 大手の業界団体も、下請けが出す工事見積書に従業員の社会保険料を別枠で明記するよう求める対策に乗り出す考えで、官民一体となって就業環境の改善に乗り出す。

 国交省が23年に公共工事を受注した建設事業者を対象に実施した調査によると、年金、医療、雇用の3保険すべてに加入している業者は84%にのぼる。ただ、1次下請け業者で実際に加入している従業員は55%、2次下請け業者以下では44%にとどまる。

 事態を重くみた国交省は、社保に未加入の下請けを選定しないよう元請けに要請するとともに、社保への加入が確認できない作業員は現場に入ることを認めないとする指針を定めた。

 

 公共工事に限った話のようですが、一般の建設作業現場にも適用することを本気で検討した方が良いのではないかと思われます。私の勤務先では主として通信事業者が発注する工事を請け負っており、昨今は短納期での対応を要求されることが多く、ここぞとばかりに下請けの業者が強気な態度を取ってくるわけです。こちらが発注元から厳しい納期を迫られていることを見透かして通常より高い工賃を支払わないと工事は請け負えないと強く出てくる、普段なら突っぱねるところでも発注元の定める納期に間に合わせるためには下請けの全面的な協力が欠かせないだけに元請け側が折れる場面も少なくありません。

 そうして下請け会社への支払額は上積みされているのですけれど――下請け会社で働く作業員の給与や待遇の改善に繋がっているか、その辺は関知できないところだったりします。下請けに作業内容の指示は出せても、従業員(下請けが連れてくる一人親方を含む)の扱いに関してまでは、なかなか踏み込めないわけです。もちろん、下請けが作業員をしかるべく社会保険に加入させているかどうかも私にとっては未知の領域です。上積みされた工賃を下請けの社長が会社の金庫にしまい込んでいるのか、それとも増えた作業に応じて従業員に還元しているのかは定かでありません。

 下請け企業における劣悪な待遇には「甘い」人(及び政治家、政党)もまた多いように思います。発注元、元請けに責任を転嫁する形で、下請け企業を「被害者」側に位置づける、下請け企業における従業員の不当な(時に不法な)取り扱いを大企業糾弾のためのダシにしてしまう論者もまた少なくないのではないでしょうか。確かに大企業/発注元(元請け)による零細企業/下請けへの無理強いは多々あるわけです。だからといって下請け中小企業が従業員を冷遇することが許されるのか、それもこれも大企業が悪いで済まされるのかと、そう疑問に感じるところでもあります。

参考、盗っ人猛々しい

 上記リンク先では、残業代の不払いを続けた悪質な下請け事業者(運送業)が荷主から台数削減というペナルティを課された例が取り上げられています。良いことです。残業代を払わない、社会保険に加入させない、そういう手法で経費を節約しては安値を武器に仕事を獲得するような事業者が蔓延れば、同業者が圧迫されるばかりですから。悪質な事業者は発注元から締め出しを食らって市場から退場してもらうべき、そうして真っ当な――せめて残業代くらいは払う、しかるべく社会保険には加入させている事業者が選別されるようにならないといけないでしょう。

 下請けが潰れると、発注元あるいは元請けも困ることになります。よほど調達ルートを分散させてでもいない限り、廃業する下請けが1社あっただけでも工程や納期には多大な狂いが生じるものです。ところが現状では下請け側にも潰れまいとする努力があって、かつそれを許すような環境もまたあると言えます。つまり、従業員に支払うべきものを支払わず、社会保険にも加入させず、節約を重ねて事業を存続させることが可能である、ゆえに「多少締め付けても下請けが潰れない」という大手/元請けにとってもやりやすい状況が作られているのではないでしょうか。むしろ下請けへの縛りを強くする、賃金の支払いや社会保険加入の有無を厳しく問うことで、「下請けへの支払額を考えないと、下請けが潰れる、そのせいで納期に影響が出てしまう」と大手/元請けに考えさせないとダメだと、そう私は思うわけです。

 

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