非国民通信

ノーモア・コイズミ

これを機に悪法を撤廃してはどうか

2024-03-17 21:59:41 | 雇用・経済

アマゾン、ふるさと納税に来春にも参入へ 仲介競争さらなる過熱か(朝日新聞)

 ネット通販大手のアマゾンが来年春にも、ふるさと納税の仲介事業へ参入することを調整していることがわかった。仲介市場は現在、楽天など国内4社がほぼ占めており、自治体向けに設定する手数料も高止まりしている。外資系の巨大プラットフォームが参入すれば、競争環境に変化が起きそうだ。

 今年に入りアマゾンから提案を受けたという複数自治体の関係者によると、同社は「アマゾンふるさと」というサービス名で専用ページをサイト内に開設すると説明しているという。2025年3月にサイトをオープンする予定とし、「早割プラン」など他社よりも低い手数料や独自の配送サービスをアピールしている。

 

 これまでふるさと納税の仲介市場は楽天など国内4社がほぼ占めていたそうですが、アマゾンが参入予定とのことで局所的に話題になっています。早くもアマゾンには勝ち目がないとみられているのか競合する国内の仲介事業者の株価が軒並み下がっているとも言われるところ、高止まりしていた仲介手数料が引き下げられることに繋がれば自治体の支出は減るでしょうか。国民の納税額は変わらないのに仲介手数料と返礼品の費用の分だけ自治体の税収を減らすのがふるさと納税の仕組みでしたけれど、これを機に見直しが図られれば、少しは世の中がマトモになるのかも知れません。

 アマゾンが儲かっても日本社会が豊かになるかと言えば微妙ではあります。ただ、筆頭に挙げられている楽天など国内の仲介事業者が儲かれば(アマゾンの場合とは違って)国民の生活が楽になるかと言えば、決してそんなことはなかったわけです。どうしても外資であるとそれだけで反感や警戒感も生まれますけれど、国内企業であっても中抜きビジネスにはもう少し厳しい目が向けられても良いのではないでしょうかね。

 

ふるさと納税厳格化のその後 仲介サイトはノーダメージ、憤る自治体(朝日新聞)

 ふるさと納税の経費ルールが昨年10月に厳格化され、自治体が返礼品や人件費の費用削減に追われている。手数料の引き下げを仲介サイトに働きかける動きもあるが十分に進んでいない。仲介サイト事業者の間では、返礼品を提供する企業からも手数料をとる「二重取り」の仕組みが新たに広がるなど、規制側とはいたちごっこの状態だ。

 「仲介サイトへお金が流出する割合が増えただけ。『サイト栄えて地域滅びる』だ」

 

 こちらはアマゾン参入が話題になる1ヶ月ほど前の記事ですが、仲介者が「日本の会社」であっても問題は大きいことが伝えられています。根本的には、ふるさと納税という制度に救済の余地がない、ふるさと納税という悪法を続けている限り歪みは大きくなるだけで、そこに外資の参入を阻んだところで救いはありません。まぁアマゾンという外資への反感が導火線になって制度そのものに疑問が持たれるようになることが、最も世の中を好転させるルートになるような気がします。

 地方の財源をどうにかしたいのであれば、地方交付税を拡充すれば済む話です。しかし自己責任を奉じる我が国は、ふるさと納税という制度を作り、各自治体の自己責任で税金の獲得競争を行わせています。そんな税金の奪い合いの勝者にばかり光が当てられている現状ですけれど、ふるさと納税を集めるためのコストは決して小さいものではない、積極財政派の自分から見てもムダ以外の何物でもない支出が増えていると言わざるを得ません。

 そしてふるさと納税で「選ばれなかった」自治体の税収は当然ながら減ってしまうわけです。これに限らず市場競争における敗者の存在を無視しがちな我が国ですけれど、いくら無視したところでその存在が消え去ることはありません。日本社会全体の底上げを図るためには自己責任と自由競争ではなく、対象を選別しない分配こそが必要であって、それはふるさと納税とは対極に位置するものです。もちろん対象を選別しない分配ならば事務的なコストも安く済む、仲介事業者を介在させる必要もない、何もかもがメリットと言えます。

 しかるに国民に歓迎されるのは自己責任と自由競争による格差であり、敗者を救済「しない」ことの方でした。ならば楽天その他の仲介事業者がアマゾンとの競争に敗れて衰退していくとしても、それは自業自得として受け入れるのが筋なのだと言えます。結果としてアマゾンが市場を独占し、その後に仲介手数料が大きく引き上げられる可能性もあるわけですが、そうなったときには改めてふるさと納税の全廃を議論したら良いのではないでしょうか。

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