民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件について、テレビの報道が情報源を「関係者によると」と表現しているのは、「不適だ」と批判した原口総務相。その発言に波紋が広がっている。
テレビ各局は「取材源秘匿のため、関係者という表現を使うことはある」などとコメントする一方、放送免許を与える権限を持つ総務相が報道に注文を付けたことには、有識者から「報道規制と思われても仕方ない」と厳しい批判があがっている。
(中略)
読売新聞は20日、原口総務相に取材を申し込んだが、原口総務相は同省を通じて「お答えする時間がない」と回答した。
一方的に言いたいことだけ言って、いざメディア側から取材の申し込みをウケるや突っぱねる、この辺の姿勢はますます以て阿久根の竹原と民主党のスタイルが似通ってきたことを示しているような気がしますが、ともあれ今回の件も問題となる発言をしたのが民主党か自民党かで態度を翻す人ばっかりなのではないかと思います。取り敢えず、ネット上では。
とりわけ安倍内閣時代には自民党閣僚が金銭問題で辞職を迫られるケースが頻発していましたが、その時に民主党、及び民主党支持層は何をしていたのでしょうか? 自民党議員が追求されていた時は容赦なく、かつ一方的に疑惑解明を要求しておきながら、いざ自分の党が追求される段になるや検察が悪い、マスコミが悪い云々では筋が通りません。しかし、そうしたダブルスタンダードに何の躊躇いがないのも民主党であり、(主としてネット上の)民主党支持層でもあるわけです。かつて総務省による報道機関への干渉には強い警戒感を持っていた人の中にも、民主党が与党になってからは掌を返して今回の総務相発言に喝采を送っている人は少なくないのではないでしょうか。私にはそういう有様こそが、最も雄弁に日本の政治の水準を物語っているように思われます。
参考、全面戦争ですって
自民党議員の金銭問題が追及されていた時、自民党支持層は「カネの問題は重要なことではない」「マスゴミの偏向報道だ」と権力を擁護してきたものです。そして政権交代後、今度は反対に民主党議員が追求を受け、民主党支持層が同様の屁理屈で権力を擁護する、党の立場が入れ替わった他は何も変わっていません。かつて自民党議員が報道機関に介入した時、自民党と民主党、及びその支持層はどのような態度を取ったでしょうか? 私には現在の民主党支持層が昨年以前の自民党支持層と同じことを叫んでいるようにしか見えないのですが。
容疑者取り調べの全過程で録音・録画を義務付ける刑事訴訟法改正案(可視化法案)について、鳩山由紀夫首相は20日夕、今国会への提出は望ましくないとの認識を示した。小沢一郎民主党幹事長に絡む土地購入問題の捜査が本格化する中で、捜査当局が抵抗する法案を提出することは「検察批判と受け止められる」と説明。民主党内に検察側をけん制する言動が相次いでいることも含め「控えるべきだ」との考えも明らかにした。
自分に累が及ぶと、漸く他人に思いやりがもてるようになる人もいます。例えば石原慎太郎など、花粉症などの比較的「新しい」病気に関しては精神論で一蹴してしまうような性格のはずですが、自分自身が花粉症なので、その辺は理解があります。聞くところによると共和党で辣腕を揮ったチェイニー副大統領も、ガチガチの保守派でありながら同性愛者を罰する類の法案を尽く握りつぶしていたそうです――自分の娘が同性愛者だったために。だから民主党も、身内に逮捕者が出ただけに可視化法案に本腰を入れるかとも思われたのですが、色々と躊躇しているようです。
元より民主党がどれだけ可視化法案に本気だったかは推測するほかありません。民法改正案に関しては「これまでは野党だから(否決前提に)提出できた」と漏らす議員もいたそうです。可視化法案だって同じようなものだったのかも知れません。元より寄り合い所帯である民主党、賛成派の議員と反対派の議員の両方が在籍していて、党内のパワーバランス次第でどちらに転ぶかわからない、というのが実態だと思います。これを機会に可視化法案の早期成立を目指すか、それともこれを機会に可視化法案を棚上げするか、今がその岐路にあるのかも知れません。
邪推すれば、可視化で逆に言い逃れできなくなってしまう可能性もあるんですよね。ちょっとイっちゃってる支持層によると今回も小沢関係の疑惑は検察の国策捜査だそうですが、もし従来通りの密室で小沢の不正が証言された場合、それは「検察が強要して言わせているだけだ」みたいに強弁する余地もあるはずです。つまり密室での取り調べであるだけに、本当のことが語られたのか、それとも取り調べ側の筋書きを無理強いされただけなのか、その辺までは明らかになりませんから逆に言い逃れしやすいところもあるわけです。それで国民が納得するはずもありませんが、コアな支持層(=極右層)の声を国民の声と勘違いした自民党のように、民主党もまたコアな支持層の声を国民の声と勘違いしているとすれば――言い逃れの余地がある方に賭ける可能性もありそうです。
もともと寄り合い所帯であるのは明白でしたし、理念を掲げるイデオロギー政党でもないし、単に政権党になれる状況であったからというのではあまりにも悲しいのですが・・・
党の生い立ちを鑑みれば、根本的には今までと変らないことしかできないはずなんですが・・・
「政権交代」というスローガン(ある一定の方々の)は現実になりましたが、其の先にあるものを思うとなんともやりきれないと思うと同時に管理人様と同じく、この国の政治の水準に暗澹たる思いを感じてしまうのです・・・
どちらかと言えば民主党そのものより、民主党を支持した自分の「正しさ」への執着がコアな支持層を駆り立てているような気がします。元より民主党を選んだ理由は別にあったかも知れないのですが、政権交代のためには民主党しかない、民主党に賛成しない者は政権交代の敵である――そんな風に説いている内に、いつの間にか民主党が唯一にして絶対の存在だと思い込むようになってしまったのかも知れません。
http://watashinim.exblog.jp/10687172/
「悪徳ペンタゴン」との闘争の行方やいかに(笑)。
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/756f38b814212ad896d3d63f6b506ba1
さて、産経新聞のこちらの記事は、毎度おなじみとはいえ笑ってしまいました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100122/plc1001220331000-n1.htm
予想通りの主張とはいえ、ほんと警察や検察の犬ですね…。
>しかし、検察・警察の現場からは、「すべてにカメラが回っているとなるとプライバシーを含め容疑者の口は重くなり、真実の解明に大きな支障をきたす」という反対意見が大勢だ。冤罪を許してならないのはもちろんだが、未解決事件も増えることになっては治安が守れない。
一言。「馬鹿」
こんな発言をマスコミが擁護して(失笑)どうする。まあ、産経からすれば、治安が守れないなんて言う話より、警察や検察の特権が侵害されることのほうがいやなのでしょう。
かつてアメリカには高名な映画評論家と同姓同名の人間を捜し出して好意的なレビューを書かせた人がいるそうですが、前半はあの山口二郎とは思えない論調ですね。疑惑の対象が自民党筋だったらそれくらいは言うでしょうけれど、民主がやるなら何でもOKの人ですから。党に合わせて主義主張を変えるのは慣れっこなのかも知れませんけれど……
>Bill McCrearyさん
自民党筋でも「古い」自民党の系譜を継いでいる人は、それなりに現実的な判断が出来ている人が多いですよね。逆に「新しい」自民党の系譜に連なる民主党はどうなのかと注目したいところです。
ただ今回のように捜査の対象が「権力」であり取り調べを受ける側の方が立場が強い場合ですと、逆に検察側が手心を加えたり及び腰になったりする可能性もあると思います。そうなると民主党サイドとしては密室で済ませたいという思惑も出てくるのではないかと。権力の犬が権力にどこまで立ち向かえるかも問われる場面ですから。
初めてのコメントお許しください。
私が小沢氏関連の問題で一番気になっているのが「自民党に捜査は及ばない。」との漆間前官房副長官の発言。
なんの裏付けも無しに、こんな言葉が出るものなんでしょうか?
ずっと気になっているんですよ。
あと、マスコミについては“推定無罪”の原則が完全に吹き飛んでいるように私は見受けます。
まぁ、正直に言うと、今の“極右オカルト政党”と化した自民党に政権復帰への道を作りたくないんです。
あんなのに上に立たれたら堪らないですよ、私は。
政権交代で満足しきってしまったうえに、
・自分にはとことん甘く他人には異様に厳しい
・論点のすり替えと逆ギレおかまいなし
・二重基準当たり前
といった清和会的なものを見事に引き継いでいます。
それに敢えて苦言を呈してくれてる共産党に対する敵意は自民党支持者以上に強いので厄介です。
所詮は自民党の亜流政党ですので、期待しないでおきます(笑)
よく日本の戦争犯罪が問題にされている場面で、他国の戦争犯罪を持ち出す人がいますが、そういう人をどう思いますか? そして自民党議員の疑惑が追及されていた時に(南京大虐殺よろしく、なかったことにデモされるおつもりですか?)、あなたは何をしていましたか? その時も推定無罪の原則やら官僚悪玉論を振りかざして、自民党閣僚を熱心に擁護されていたのなら筋は通りますが、まずは胸に手を当ててご自分を振り返ってはいかがでしょうか? 論旨のすり替えやダブスタを厭わないその態度は、むしろバサラさんこそ極右オカルト的な考え方の実践者にしか見えませんがね。
>コンポコさん
そうなんですよね、小沢の疑惑が追及されているのに自民党議員の疑惑を持ち出すとか、特に証拠もないのに検察を悪玉に仕立て上げるとか。権力に対する「甘さ」は自民党支持層を凌駕するところがあって、かつ政党そのものの強権志向の強さを考えると自民党以上に危うい部分を感じさせます。
ちなみに公明党を最も嫌っていたのは当時の野党支持層である以前に自民党のコアな支持層(極右層)だったような気がしますが、それと同じようなことが当てはまりますかね。共産党を最も嫌っているのは昔年の与党支持層であるよりも、民主党のコアな支持層であるように見えますから。
私から見ればどちらも同じくらいに腐敗しているとしか見えないのですが。
民主党のポピュリズム的な面は好みませんが、検察は「公平」に捜査をしたらどうだ、とも思います。
この国には「法の下の平等」という大原則があります。
バサラさんの意見に南京事件を持ち出すことは適切ではないと思います。
また検察を批判すると「コアな民主党支持者」とレッテル貼りをするのもいただけません。私は今の民主党には幻滅していますが、検察ファッショも認めません。
修正主義者と事実認識について語り合っても不毛ですから、仮にそれが正しいとしましょう。では日本と欧米列強がどこかの国を侵略して、戦勝国は裁かれずに敗戦国だけが裁かれたとしましょう。では戦勝国が裁かれなかったから、敗戦国を裁くのはおかしい――バサラ氏やあなたが言っているのはそういうことです。
>検察を批判すると「コアな民主党支持者」とレッテル貼り
歪曲も甚だしい。欧米列強の侵略を非難するのが歴史修正主義者ではなく、日本の戦争犯罪を相対化するために欧米列強の侵略を持ち出すのが歴史修正主義者であるように、あなたのように国家権力を擁護するために検察の問題点を持ち出す輩が問題視されているのが理解できないのでしょうか?
確定事項に対しても、三割くらいは「本当にそうなのか?」という視点を持つように心掛けているつもりではいますが。
“相手の悪事を持ち出すことで、もう一方の悪事を中和しようとする姿勢”を極右的と言うのであれば、小沢氏問題に関しては私からは、管理人さんが極右的に見えてしまいます。
小沢氏問題と検察問題は“同時に”語られるべきと考えます。
なんにせよ、嘘じゃないならどっちでもいいんですけどね。
これからも面白い視点からのブログ、期待しています。
おじゃましました。
へー。そう仰るからには、自民党議員が疑惑を追及されていた時も、あくまで悪いのは告発する側であって自民党閣僚は悪くないと言い張っておられたんでしょうね? それともあなたの原則論が適用されるのは民主党議員限定ですか? あくまで小沢の問題と検察の問題を差し引きで語ることにこだわるなら、極右層にでも弟子入りして歴史修正主義者辺りと馴れ合った方が良いでしょう。偶々立場が異なることはあったとしても、彼らはあなたと同じように考える人なのですから。