非国民通信

ノーモア・コイズミ

「護身用」が役立つことって

2013-08-25 11:51:16 | 社会

そのウインナーは生です!結婚してビックリしたこと(教えて!ウォッチャー)

それまで違う生活を送ってきた男女が、一つ屋根の下で暮らすことになる結婚。一緒に住んでみてはじめて相手の意外な一面を知り驚くこともたくさんあると思います。教えて!gooにも、ビックリしたエピソードが色々と寄せられていました。

(中略)

「夫のベッド枕元に『護身用』の5番アイアン。近所に空き巣の被害があったそうで、『(夫うれしそうに)うちに来たら、撃退してやろうと思って』結婚25年の今。剣道の有段者の夫の枕元には、木刀とダンベル。幸か不幸か。いまだ空き巣は来ず」(puripe02さん)

 

 ……まぁ引用元では諸々の事例が列記されているのですが、ネタになりそうなものだけ。曰く枕元に「護身用」の5番アイアンを常備しているのだとか。どうなんでしょうね、アメリカでは「護身用」に銃の類を所持している家庭も多いわけですけれど、専ら「家族を射殺する」「誤射によって死亡事故を起こす」「強盗に奪われて自分の銃で殺される」「職場に持ち込んで乱射する」「子供が学校に持ち込んで乱射する」などのケースが多く、実際に「護身」の役割を果たすことは少ないと聞きます。

 最近ではエジプト辺りが顕著でしょうか、いつの時代も世界のどこかで「軍隊が政府を守るために自国民と闘っている」わけです。だからといって実際に果たしている役割がそのまま掲げられているものではありません。あくまで「外」から「護る」という建前で軍隊には税金が投入されているものです。それでも、自国民に銃を向けることが決して珍しくないのが軍隊の常だったりします。「護る」ためと称して保持されているものは、往々にして「内」を「攻める」ために使われるのが実態なのです。

 今も世界各国で、反政府勢力という名の自国民から政府を守るために軍隊が銃を手にしている、それと同じようなことが、上記引用元のpuripe02さんの家庭でも起こるのではないかと、他人事ながら危惧してしまいますね。少なくとも「護身用」のゴルフクラブが「空き巣を撃退する」ために使われるより、DVに使われる方が可能性はずっと高そうに思えますし、私は「護身用」の銃なり鈍器なりを手元に置いておきたがる人間とは付き合いたくないです。

 「(夫うれしそうに)うちに来たら、撃退してやろうと思って」云々も、大いに将来を懸念させられる点です。そう言えばウチの母はサバイバルごっこが大好きなようで、地震への備えを語るときはいつも「嬉しそう」です。いかに自分の備えが万全かを嬉々として語るのですが――流石に2年半前の震災後は、少なからずイラッとしました。誰か母を傷つけずに、これを止めさせる方法を教えてください。ともあれ、本来ならば好ましからざる事態への備えが役に立つ日を待ち望んでいる、そういう人もいるわけです。

 高度に平和ボケが進んだ国においては、戦争は避けるべきものではなく備えるべきものになるのかもしれません。いつか備えが役に立つ日を夢見ている、「(うれしそうに)うちに来たら、撃退してやろうと思って」と語るタイプも多々いるのではないでしょうか。護身あるいは防衛云々と唱えつつ、「いつか来る日」を楽しみに待ち受けている人は多い、ウチの母にしてから大地震に見舞われる日を心待ちにしているのではないかと腹立たしく思えてしまうことがあるのですから、まぁ嫌な話です。「備え」が役に立つような事態は決して望まれてはならないはずなのですが。

 

乗客手荷物で麻薬犬訓練、大麻樹脂124g紛失…成田空港(読売新聞)

 東京税関は26日、成田空港第2旅客ターミナルの手荷物荷さばき場で麻薬探知犬の訓練中に、厚生労働省から借りた訓練用の大麻樹脂約124グラムを紛失したと発表した。

 発表によると、紛失したのは25日。麻薬探知犬訓練センター(千葉県成田市三里塚)の男性職員(38)が、香港から午後3時30分ごろに到着した旅客便の乗客のスーツケースの外側ポケットに訓練用の大麻樹脂を収めた金属製容器(縦約11センチ、横約9センチ、高さ約3センチ)を新聞紙にくるんだ状態で入れて、探知犬の訓練を行っていた。

 一般客の荷物を使った訓練は内部規定で禁止されており、持ち主にも知らされていなかった。探知犬も大麻樹脂に気づかなかったという。同税関では、持ち主がそのまま持ち去った可能性が高いとみている。

 男性職員は「違反は承知していたが、実戦に近い形で、訓練効果を高めたいと思ってやった。過去にも一般客のスーツケースを使った訓練をしたことがある」などと話しているという。同センターでは、成田国際空港署や千葉県薬務課に紛失の報告をした。

 

 上記は2008年の報道ですが、「実戦に近い形で、訓練効果を高めたいと思って」旅客のスーツケースに麻薬を仕込んだ税関職員もいました。税関で仕込まれた麻薬が回収されずに別の場所で発見され、東南アジア辺りの厳罰主義の国で死刑にされた旅行者もいるのではないかと危惧されるところです。ともあれ模擬的な訓練では満足できなくなってしまう、より「本物」を求めて(この場合は一般客の荷物を訓練に使うなど)行為をエスカレートさせていく人は税関に限らず他でも見られるのではないでしょうか。護身や防衛と称して、「外」からの「敵」と闘う未来を夢想しているような人が、いつまでイメージトレーニングだけで満足していられるのやら。

 

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2 コメント

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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2013-08-25 22:11:50
どこかの政治家が「仲良くすることが一番の防衛である」といっていたのですが、私はそういう考え方が好きです。
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Unknown (非国民通信管理人)
2013-08-25 23:59:49
>ノエルザブレイヴさん

 それが当たり前のことだと、私などは思うのですけれどね。ただ右派、タカ派は元より、一般には左と目されている人も経済や特に食料関係が絡むと排外主義に転じると言いますか、防壁を築き上げることの方を好む傾向があったりするものですから……
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