年末の社会保険庁解体に伴い、行き先が決まっていない同庁職員の分限免職回避策として、厚生労働省は、懲戒処分歴のある職員も含めて200~400人規模で厚労省の非常勤職員として採用する方向で検討に入った。
採用先は全国の地方厚生局とし、医療保険関連業務に従事することなどを想定している。ただ、長妻厚労相は同庁の後継組織「日本年金機構」に処分歴がある職員を採用しない方針を表明。世論の批判も懸念されることから最終決定に向けて曲折がありそうだ。
厚労省の内部資料によると、10月26日現在で、再就職支援が必要な職員552人のうち懲戒処分歴がある職員は約300人。処分の内訳は「年金記録ののぞき見」が約7割に上る。
分限免職回避策として、厚労省は懲戒処分歴のない職員については170人程度を年金機構の増員で対応する方針だが、懲戒処分歴がある職員の処遇がネックとなっていた。年金機構への移行で大量の分限免職者を出すことは、民主党の支持団体である連合からの反発が予想されるほか、過去の処分を理由に分限免職にすることは二重処分にあたるとして訴訟に発展する可能性が指摘されていた。
まぁ、過去の(精算済の)懲戒処分を口実にした体の良いリストラみたいなものなんですが、世間の受け取り方は違うでしょうね。言うまでもなく「過去の処分を理由に分限免職にすることは二重処分にあたる」はずですし、そうでなくとも社会保険庁が率先して正規雇用から非正規雇用への切り替えに踏み切るのはどうかとも思うわけで、当然のことながら批判があってしかるべき……なのですが、たぶん世間の「批判」は別の方向からわき上がってくることでしょう。
参考、隗より始めよ
上記リンク先では、当時の厚労相であった舛添氏が「日本では労働法が守られていない云々」と語りながら、その舛添氏のお膝元である厚生労働省でこそ労働法が守られていない現状を取り上げました。だからといって舛添氏が世間の批判を浴びるようなことはなく、非難は専ら厚労省職員に向けられていたわけですが、長妻氏と社保庁の場合も同様でしょうか。どこまで本気かはさておき、一応は民主党も正規雇用を非正規雇用で置き換える流れには反対しているはず、それなのに自らのお膝元ではあれこれ理由を付けて正規職員を非正規職員に切り替えようとしているのですから酷いものです。
ところが世間は民主党よりもタチが悪くて、非正規雇用への切り替えでは満足できない、これを機会に雇用を打ち切れと要求しているわけです。非正規職員に置き換えるという待遇引き下げでさえ「世論の批判も懸念される」ほどで、当初の「処分歴がある職員を採用しない」ことが求められているようですから。長妻氏も民主党も、もっと御手洗ヽ( ・∀・)ノ● ウンコーや経団連を見習って「お膝元」の労働者を徹底的にシバキ上げていかないと、国民様を敵に回すことになるのかも知れません。
しかし繰り返しになりますが、「過去の処分を理由に分限免職にすることは二重処分にあたる」わけです。いくら世論が要求しているからと行って、法の定めるところを超えて罰を加えることが許されて良いのでしょうか? 例えば刑期を終えた元刑法犯に、「おまえは前科者だから」などという理由で一方的に減給や解雇を言い渡したとしたらどうでしょう? こんなことが法治国家で許されて良いはずがありません。しかし、それを 国 民 様 が 要求しているわけです。
阿久根市の職場復帰問題 「法に基づき手続きを」 知事が竹原市長に助言(西日本新聞)
鹿児島県阿久根市の職員が懲戒免職処分を効力停止とした鹿児島地裁の決定後も職場復帰ができない問題で、伊藤祐一郎知事は13日の定例記者会見で、同市の竹原信一市長に、法に基づいて適正な手続きを取るよう助言していたことを明らかにした。
伊藤知事は10月28日にあった県内市長との意見交換会後、竹原市長と個別に会談。その際に「(法に基づく)手続きだから無視しちゃだめ」と言うと、竹原市長は笑顔を見せたが答えはなかったという。
伊藤知事は記者会見で「社会は法の支配。職員を処分するときも、判決が出たときにどう従うかというのも、法にのっとった適正な手続きを取るべきだ」と述べた。
選挙中にブログを更新したり(公職選挙法違反)、市長には任命権のない担当者を強制的に異動させたり、そして不法に職員を懲戒免職にしたりと違法行為を繰り返す阿久根の竹原市長が久々に登場です。有権者の支持を後ろ盾に日本の法律を無視した暴虐の限りを尽くす竹原市長でしたが、ちょっとは法律を守りなさいと県知事から苦言を呈されたとか。「竹原市長は笑顔を見せたが答えはなかった」そうですが。
王権神授説ならぬ、王権「有権者」授説とでも言うべきでしょうか。国民(市民/府民)の支持を得ていれば何でも許される、民意は法律よりも優先されるみたいなところがあって、それはまぁ何が何でも法律第一というのも問題があるのでしょうけれど、現状では民意を背にした横暴な振る舞いの方が明らかに目立つような気がします。国民(市民)の支持があるのだから、法律など無視して構わないみたいな空気になってしまうと、それこそ民主国家から独裁国家へと一直線ですよね。
「年金記録ののぞき見」とか「市長のケツを舐めなかった」などの軽微な違反ですら社会的な憎悪の的にされ、二重三重に罰せよという機運が盛り上がる、その一方で「他人の給与を不特定多数に開示する」等のより深刻な問題行動は喝采を浴びる、気に入らない奴はどんどん懲戒免職にしてしまえと国民が要求し、政治家がそれを煽る、果たしてこれが近代国家と呼べるのか疑問に思うほどです。
不快なものを除去するだけではダメなんですけどね
>伊藤知事は10月28日にあった県内市長との意見交換会後、竹原市長と個別に会談。その際に「(法に基づく)手続きだから無視しちゃだめ」と言うと、竹原市長は笑顔を見せたが答えはなかったという。
するなんて、ちょっと信じられないくらいお粗末な話ですが、それでもこの馬鹿市長に対して私の知る限りさほどの批判が起きないのはどういうことなんですかね。日本人の人権意識なんてそんなもんだといえばそれまでですが。
そういえば同じ鹿児島で、日の丸を切り刻んだ(とは私は思いませんけど)ことを強く非難した右翼の連中は、本質的にははるかに国辱もののこんな光景になにも言わないんですかね。
傲慢さと卑屈さを兼ね備えているのが日本社会ですからね。自身の権利は主張しないが、他人の権利を否定する時は、まるで神にでもなったかのような態度を取るわけで……
>Bill McCrearyさん
一時期は多少の注目も集まりましたが、最近では全然、批判らしいものが出てこないんですよね。地方分権、地域主権とは、こうした自治体首長の横暴、治外法権状態を是認するもの……ではないと思いたいです。
国民は公務員叩きが大好きだとしても、
>>選挙中にブログを更新したり(公職選挙法違反)、市長には任命権のない担当者を強制的に異動させたり、そして不法に職員を懲戒免職にしたり
ちょっと酷すぎますね。
政策云々の前に言動から呆れるほど頭がバカな政治家だと気づくはずですが。
彼は橋下と同じ部類です。政治家としては最低クラスですね。彼らの言動を見ると、本来なら世論から批判を受けとっくに失職していても可笑しくありません。
しかし、公務員叩きの急先鋒というだけで世論からは高い支持を得ています。
Yahooのコメント欄や2ちゃんねるを見ても、公務員憎しで橋下や竹原を称賛する人ばかり。
敵と定めた集団を攻撃するだけの無能な政治家とそれを崇拝する阿呆な大衆を見ると頭が痛くなります。
阿久根の無法者ですが、さらには給与の不払いまで決め込んでいるそうです。こんな人ですら地元での支持は厚い、ネット上の支持も強いようですから無茶苦茶ですよね。公務員さえ叩いておけば済むのが日本の政治になりつつあるのでしょうか。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20091121-567-OYT1T00786.html
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
この規定だけは、地方公務員法の労基法適用除外条文には入ってないのですが…
ちなみに国家公務員は労基法そのものの適用除外ですけどねOTZ
ちなみにこの規定…罰則有りです
(まあ、30万円以下の罰金刑ですが)
とりあえず裁判所の命令を聞かなかったらどうなるかは、わかってやってると思いたいですが…市の会計を封鎖されたら笑い事じゃすみませんし…
あの市長ですから裁判所の命令を聞かない可能性も考えられますが、どうなるんでしょう? 地方分権の名の下に住民の支持が厚い自治体首長は治外法権扱いにされたりして…… 最高裁が憲法判断に踏み込まない、行政に介入しないと宣言するように、地方裁も市長には?