非国民通信

ノーモア・コイズミ

研修と目的

2020-02-02 22:30:14 | 雇用・経済

ナメた態度で「社員研修」に臨んだ社員の末路 人事にマイナス評価を下される可能性も(東洋経済)

しかし、人事の立場から助言させていただくと、たとえ意味がないと思った研修であっても、誠実な態度で、真摯に受講すべきです。

なぜなら、研修における態度も、「評価」の対象になっているからです。

高い業績をあげているのに、評価が上がらない。給与が上がらない。昇進できない。

こうした不満や悩みを持っている人は、自分では気がついていない意外な盲点があるものです。その代表的な盲点の1つが、「社員研修における態度」です。

 

 皆様、会社の「研修」を受けたことはありますでしょうか。世の中には社員教育などとは無縁の中小零細企業も少なくありませんが、企業規模に見合わぬレベルで「教育」に力を入れている会社も多いように思います。もっとも、その研修の中身、教育の内容はどれほどのものかは別問題だったりしますけれど。

 「研修」を受けたことのある人は多いと考えられる一方、研修の中身が実務に関わることであったという経験を持っている人は、相当に少ないような気がします。勿論ポジションによって機会は異なりますが、とりあえず私が渡り歩いてきた諸々の会社では、いかに研修機会は多くとも実務に関わることは全く教えないのが一般的でした。

 ある意味で単一の組織として日本最大の研修機関は、自衛隊とすら言えるのが実態です。コンサルタントと称する占い師グループに委託されることもあれば、自衛隊に体験入隊させる会社もある、無人島で生活させたり、山中を行軍させて穴を掘らせたり、社訓を制限時間付きで暗唱させたり、それが日本企業における研修ですが、どうしたものでしょうね。

 当然ながらマトモな頭脳の持ち主からは「時間の無駄」と目されがちなのが会社の研修だったりしますけれど、そうした振る舞いは「人事にマイナス評価を下される可能性も」あると、東洋経済誌は警鐘を鳴らすわけです。まぁ、確かにそういうものなのかも知れません。私自身の経験としても、「この研修も評価の対象です」と明言されて来ました。実態として、この引用元の伝えるところは外れていないでしょう。

 日本を代表するブラック企業として名高いワタミも研修には熱心で、月1で早朝研修会などが開かれていたと聞きます。その他には創業者の著書やビデオレターを読んでの感想文提出が定期的に求められることなどでも話題を呼びました。渡邉美樹の説法を聞いても得るものはないですし、それで会社の売上が伸びることはありませんけれど、しかし人事評価との関係はいかがでしょうか。

 もし利益だけを追うならば、ワタミのような経営はあり得ないわけです。会社の収益を増やす上では、明らかに無駄なことばかりをやっています。しかし、「理想」を追うという視点で見れば、理に適っていると言えるでしょう。経営者の理想を追求するという意味では、ワタミの社員教育もまた目標に向かう一歩として間違っていない方法です。

 ワタミに限らずとも似たようなもので、それが会社の利益に繋がるかはさておき、会社の偉い人から見た理想に繋げるならば、それは有意義と見なされると言えます。会社の偉い人が考える「あるべき姿」に社員を近づける、このためにはコストを掛けて研修する価値があり、ひいては研修への参加姿勢が人事評価に繋がるのも当然なのだ、と。

 「成果」とは曖昧なものです。営業ならば売上の数値はあるかも知れませんが、数値化できない職種の人も少なからず存在します。では成果主義が称揚される時代の「成果」とは何なのでしょうか。一つには、会社の偉い人を「喜ばせる」ことが成果なのかも知れません。会社の偉い人が好む人間像を作り上げるための研修があり、その講師の言葉を真に受けて「良い子」になろうとする、そうした姿勢もまた成果であり、評価に結びつくものである、と。

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